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HKT48石橋颯さん 「いぶくる」Wセンターで感じた心境の変化

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福岡を拠点に活動するHKT48の石橋颯さん(19)は、竹本くるみさん(21)との「いぶくる」で2作連続シングル曲の「Wセンター」を務めています。グループの先頭に立って1年半。うれしさと責任感、そして心境の変化も感じるそうです。ライブや今後への思いを伺いました。
2日間で延べ235万人(主催者発表)が訪れた福岡の大型連休の一大イベント「博多どんたく港まつり」。
5月3日、福岡市役所前の野外ステージでHKT48がライブを行いました。
無料で観覧できるイベントのため、ファンのみならず、シニア層から家族とともに訪れた子どもたちまで多くの観客で会場はあふれました。
石橋さんと竹本さんのWセンターによる「桜、みんなで食べた」で開幕。6期生の渋井美奈さん(16)がセンターを務めた「最高かよ」まで約30分、計9曲を披露し、盛り上がりました。
石橋さんは「メンバーは、HKT48を知ってもらえるチャンスだと思ってステージに立っていました。たまたま通りかかったという学生らしき方から私のSNSに『どんたく、見たよ。かわいかった』とコメントが来ていたりして、うれしかったです」と振り返ります。
「HKT48の盛り上がりってすごいんだぞ、というのを多くの方に知ってもらえたらと思っていました。劇場公演ではなく、こういった外でのイベントやフェスが好きだという方がかなりいるので、もっと出演できたらいいと思います」
ともに5期生の石橋さんと竹本さんは2023年12月発売の「バケツを被れ!」、24年9月発売の「僕はやっと君を心配できる」でWセンターを務め、グループの顔として活動してきました。
「『いぶくる』が一番しっくりきます。安定感が全然違う」と石橋さんは話します。
石橋さんは2024年7月に取材した際、竹本さんのことを、「性格が真逆、ポジティブと冷静というか。くるちゃんが絶対無理って言っているのを、私が大丈夫と言って励ます感じで、いいバランスだと思います」と話していました。
今回改めて伺うと、少し違うニュアンスで説明してくれました。
「私は割と感情を表に出したり、言葉に出したりするのが苦手な性格です。くるちゃんが落ち込んでいて、私も同じ気持ちの時もあるけど、私は『大丈夫、大丈夫、行けるよ』って同じ言葉を伝えることしか出来ていないです」
そんな石橋さんについて、竹本さんは昨年12月に取材した際、信頼感を口にしていました。
「戦友みたいな関係です。お互いを意識してより努力して輝いていける、いい存在だなと思っています」
グループの先頭に立って1年半、石橋さんは責任感をより強く感じるようになったそうです。そして心境の変化を感じています。
「自分自身強くなったと思います。初センターのころは不安でしたが、ファンの皆さんには絶対見せたくなかった。アイドルは笑顔を届けるべき存在でありたいと思っていたので、先輩や周囲のスタッフさんたちに支えてもらいながら、活動していました」
「それが、2作連続でセンターとして活動するなかで、6期生、7期生の後輩も増えるなか、次第に、自分が目立ちたいという思いより、支えてあげたい、引っ張ってあげたいという思いが強くなっています」
その裏には、自身が13歳で加入し、その直後から脚光を浴びてきたことへの思いがあります。
「(HKT48に)入った直後から先輩の中に入って活動させてもらったり、センターに立たせてもらったりして、うれしかったけれど、自分のなかでは怖さもありました。いま、後輩たちは若くて、(7期生だと加入から約1年という)初期ならではの競争意識があって、それは決して悪いことではなく、向上心があっていいことだと思います。ただ、加入初期にそうした経験をした私だからこそ、若いメンバーのさまざまな思いを分かってあげたいと思います」
HKT48は今年11月、劇場公演をスタートして15年目となる節目の年を迎えます。
立ち上げメンバーだった1期生は全員卒業し、現在は2期、3期、4期生が2人ずつ、ドラフト2期生が1人、石橋さんと同期の5期も次第に卒業し、現在は6人になっています。
代わって、活動3年目に入った6期生、昨春に加入した7期生が16人ずつと中心メンバーになりつつあります。
グループアイドルの世代交代という難しい局面にあるなか、次を見据えてHKT48の魅力をどう発信し、新たな強みとしていくか。
石橋さんは「15周年はすごい節目。先輩たちが作ってきたものを受け継ぎつつ、私たちのHKT48を作っていきたいと思います」と力を込めます。
さらに、強みについてはメンバーの仲の良さを筆頭に挙げます。
「これほどメンバーがいて、いい意味で先輩と後輩の区別がなく、メンバー同士の仲がいいのは、どのグループにも絶対に負けない強みだと思います。先輩たちが作ってきてくれた良さを絶対にこのまま続けたいです」
今後より発信していきたい魅力としては、ダンスを挙げました。
「実はダンスがとても上手いメンバーが、6期、7期生にも結構います。HKT48はダンスが魅力というイメージがあまりないと思うので、わちゃわちゃしている時と、格好よくダンスを決める時は決めるというギャップを、より多くの人に見て欲しいです」
4月に広島市で開かれたSTU48との「対バン」はそういったメッセージを感じるステージでした。
1時間近くあったHKT48のステージの終盤、メンバーが「地獄ブロック」と呼んだパートがありました。
「いぶくる」がWセンターの「僕はやっと君を心配できる」から、竹本さんがセンターを務め、激しいダンスで知られる「Make noise」(しかも間奏が長いバージョン)まで3曲ぶっとおし。
普段は涼しい顔で難易度の高いダンスをこなす竹本さんが、終わった後のMCコーナーで、肩で息をしてしばらく話すことができないほどでした。気迫あふれたパフォーマンスに会場は拍手と歓声に包まれました。
石橋さんは、「きつかったけれど、久しぶりのライブだから『見せてやるぞ』という意気込みで、メンバーも気合を入れて臨みました。ほかの48 グループと交流することがほとんどないので、昨年秋のNGT48に続いてSTU48とコラボできて、本当にうれしかったです」。
こうした多くの観客を前にしたライブや、トークの礎にあるのが、日々の劇場公演です。
撮影した大型連休中の2公演は、パフォーマンスだけでなく、途中のメンバー同士のトークもとても面白く、客席から笑いと大きな声援が絶えませんでした。
石橋さんに劇場公演をどう位置づけているか、尋ねました。
「完璧なステージを届けようとするライブと違い、チャレンジできるのは劇場公演しかありません。同じ曲目を何度も繰り返しているからこそ、振り付けや表情を変えてみようといったことが出来ます。MCもどう話せば伝わるか、より面白くなるか、メンバーで話し合って臨んでいます。公演でしか学べないことがたくさんあります。ファンの方も公演を見ていて、ここが変わったといった気づきを楽しめると思います」
そして、こう続けました。
「劇場には照明やマイクがあり、メイクさんや衣装の担当スタッフがいる、とてもいい環境がそろっています。水が欲しい時もマネジャーさんがすぐ持ってきてくれる。でも、それを当たり前だと思ってはいけないと思っています。何よりファンの方が前にいないと、私たちはアイドルではありません。そういったすべての支えがあってこそ、私たちはステージに立てている。全部当たり前じゃないからこそ、もっと頑張りたいと思います」
その言葉に、19歳のセンターが背負う重圧の一端を垣間見た気がしました。
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