話題
鳥類と爬虫類、もうゆうパックじゃ送れません 日本郵便がルール変更
そもそも今まで送れたことを知りませんでした…

話題
そもそも今まで送れたことを知りませんでした…
「鳥類と爬虫類はゆうパックじゃ送れません」ーー。日本郵便は4月1日からゆうパックなどで受け付ける生き物のルールを変更しました。そもそもこれまで、どんな需要があったのでしょうか。生き物の命を守るためにこのサービスを使ってきた人の声や、ルール変更の理由について取材しました。(朝日新聞withnews編集部・川村さくら)
郵便局で生き物が荷物として預けられるのを見たことはありますか。
「ゆうパック」などの日本郵便のサービスでは生き物も受け付けています。ただし、日本郵便のルールで、送れる生き物と送れない生き物が決まっています。
そのルールが変わり、4月1日から鳥類と爬虫類を郵送できなくなりました。
日本郵便は1月、「愛護動物のゆうパックなどによる引き受け終了」とのプレスリリースを発表しました。
元から引き受け不可だった哺乳類に、新たに鳥類と爬虫類が追加されました。
日本郵便は「動物愛護への対応を実施する」ためとしています。
愛護動物は動物愛護管理法で定められており、「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」「人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」とされています。
これまでは郵送できていた鳥類と爬虫類をサービスの対象外とすることで、日本郵便はすべての愛護動物を受け付け不可とした形です。
今後も、愛護動物に含まれない魚介類と昆虫類は受け付けるそうです。
ただし、生き物を送る際には温度調節や喚起などの特別な対応はできないことを日本郵便は以前から念押ししてきました。また、逃げ出したり排泄物が漏れ出したりしないよう、しっかり梱包することが求められます。
鳥類、爬虫類を送れなくなったことはどのような影響を生んでいるでしょうか。
飼えなくなった小鳥を引き取るレスキュー活動などをしている神奈川県藤沢市のNPO法人「ことりのおうち」には2024年6月、ゆうパックで小鳥1匹が届きました。
送り主の名前はなく、「飼い主が亡くなった為飼育ができなくなりました。どうかお引き取りいただけたら幸いです」と一筆が添えられていました。
ことりのおうちでは、レスキューはすべて対面で行っており、郵便では受け付けていません。
小鳥の入ったかごは密封された紙袋の中に入っていて、酸素が不足すれば小鳥は命が危険な状態だったといいます。
理事長の高見広海さんは「こんな事はしないで」と写真とともに怒りの気持ちをXにポストし、6万件を超える「いいね」がつきました。
X上では生き物を郵送できること自体を疑問視する声もあり、日本郵便に対応を改めるよう求める意見も上がっていました。
どういう事?!
— NPO法人ことりのおうち (@aqua87871980) June 22, 2024
ホント命をなんだと思ってるんですか?
宅急便で送られてきて
これじゃ不法遺棄と同じだし…
こんな袋で空気穴もなくカイロまで付けられたら
暑かっただろうに…
飼い主が亡くなったなら
協力はします!
でも名乗りもせず
命をこんな危ない方法で送るなんてありえないです…… pic.twitter.com/tFk7ttWSHa
今回の制度変更について、日本郵便は、「愛護動物に応じた温度管理や給餌などが行われない状態であること等についてお客さまから様々なご意見をいただいた」ことも一因だといいます。
高見さんは「知識のない素人の方が安易に命を送れなくなるので、日本郵便の変更には賛成」だと話します。
一方で、「動物取扱業の資格を持っているプロだったら郵送できるような、段階的な対応をすればよかったのではないか」とも言います。
青森県八戸市の一般社団法人「TURTLE RESCUE JAPAN」はかめのレスキューをしています。
非営利で一定数以上の動物を飼養・管理する「第二種動物取扱業」と、ペットとして人気の条件付き特定外来生物、アカミミガメを引き取る団体として国に届け出ています。
かめの保護団体は全国的に少ないといい、23年の発足以来300匹以上を引き取ってきました。
かめを飼い続けられなくなったと相談を受けた場合、第一には家族や知人に飼える人がいないか探してもらいます。
第二に全国に9箇所置いているシェルターに直接持ち込んでもらいます。
第三の最後の手段として、郵送でかめを引き取ってきました。
「空気穴をあける」「湿らせた水苔を敷く」など梱包方法を細かく指示する資料をつくり、環境省のチェックを受けて運搬を許可されています。
代表理事の長谷部亮さんはこう言います。
「郵送することはもちろん動物愛護の観点からすればよくないし、できるだけ使いたくないです」
「ただし、保健所に持ち込まれてしまえば殺処分になる可能性が高い。殺処分か、リスクがあっても郵送を利用して保護するか、2つに1つなんです。僕は助けられるものは助けたい」
今後はカメを遠方から運ぶ際には郵送できなくなり、航空便を使うしかありません。郵便局に比べて空港は近隣になく、輸送は難しくなります。
長谷部さんは「助けられる命が助けられなくなるんじゃないかと不安」と言いつつ、全国にさらにシェルターを増やすなど対策を練っていくと言います。
1/7枚