連載
#30 #令和の専業主婦
〝専業主婦への視線の変化〟感じる14歳差育児…「キャリア」問われ
「頑張っているのは同じ」

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#30 #令和の専業主婦
「頑張っているのは同じ」
第1子から第3子まで14歳の年の差がある、3人の子育てをする専業主婦がいます。長い子育て期間の中で感じる、専業主婦への視線の変化を聞きました。
関西地方の41歳の女性は、いま、3歳の第3子の世話に追われる日々を過ごしています。第1子とは14歳年が離れています。
第1子と第2子は2歳差で、2人が小さい頃は、専業主婦として子育てに専念しました。
第3子に恵まれるまではパートタイムで働いた期間も長くありましたが、現在は再び専業主婦としての生活をしています。
女性が第1子を妊娠出産したのは2000年代後半。地元の病院で事務職として働いていましたが、職場環境の悪さもあいまって「早く結婚して、専業主婦になりたい」と思っていたといいます。
「その頃は、専業主婦もアリな時代で、私自身も『夢はお嫁さん』みたいな感覚もありました。職場では無視されるようなこともあり、しんどくて、早く辞めたいと思っていました」
その頃の子育てについて女性は、「退職したお母さんが多く、専業主婦が多かった。育児サークルも盛んで、公民館を使ったりして楽しくやっていた」と振り返ります。
女性が住んでいた地域では幼稚園も人気だったといい「幼稚園の送迎バスを待つ間のおしゃべりとか、楽しかったですね。人気の幼稚園は書類を提出するのに並ばないといけなかったりしましたが、いまは廃園になるような幼稚園もあると聞き、時代の変化を感じます」。
現在3歳の第3子を育てる中で感じるのが「育児ってこんなに孤独だったっけ」。
第3子が0歳だった当時、ママ友と子どもを遊ばせる中で「来年も一緒に来たいね」と話をすると「来年から働くんだ」と告げられたことも。「同じ月齢のお母さんたちがどんどん子育てセンターからいなくなっていく」中で、取り残されたような感覚になることもありました。
とはいえ、女性も第3子の幼稚園生活が落ち着いてからは、パートタイムの仕事を探す予定だそう。
第3子を授かる前までは、自治体の会計年度職員として、パートタイムで働いていた時期も長かった女性。パートタイムで働いていたのは、第1子と第2子の子育てを優先するためでもありましたが、「妊活」のためでもありました。
「以前から、子どもは3人ほしいと思っていたのですが、なかなかできず。気長にとは思っていましたが、40歳を前に、専門の病院にかかりはじめました」
すると、週に複数回病院にいく必要があったり、急な通院が必要になったり――。
そんなとき、パートタイムで働いていた環境がよかったといいます。「労働時間が短いこともあり、仕事の後に病院に行くこともできました」
そして、子育てを始めて20年ほどになる現在について、女性は「ちょうどいいと感じている」といいます。
家計的にも「家族としての生活が成り立つ」程度の収入があり、多忙な夫や、遠方の両親のことを考えると、パートタイムとしての収入があった時期もありつつ、子どもたちの成長を見守れるいまの状況は「ありがたい」。夫が体調を崩した時期など、生活に波がある中で「支える」側に回れたことに満足しているといいます。
一方、「キャリアはどうするんですか?」とママ友に聞かれたときにモヤモヤとしてしまう気持ちも。
「いまは働く人が中心に話が進む時代。『ワーママ』の声の方が多いし、強いなと感じます。専業主婦の声が届きにくく、みえていないような気もします。でも、頑張っているのは同じだということが伝わればいいなと思っています」
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