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話題

推しが転生して「猫猫」になっていた件 アクスタリサイクルの最前線

推しの魂が宿っている気がしてなかなか捨てられないですよね…

神田明神の文化交流館で販売されている、リサイクルアクリルを使った「薬屋のひとりごと」グッズ
神田明神の文化交流館で販売されている、リサイクルアクリルを使った「薬屋のひとりごと」グッズ

目次

今や推し活に欠かせないアクスタ。ランダムグッズで推しが出なかったり、推し変したりして手放したいけどどうすれば…?っていうことありませんか。リサイクルアクリルから作られた「薬屋のひとりごと」グッズが配布されていたので、見てきました。(朝日新聞withnews編集部・川村さくら)

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「捨てるのはしのびない…」

配布されたリサイクルアクリルのキーホルダー。ゲットして撮影しておられた方に声をかけて撮りました
配布されたリサイクルアクリルのキーホルダー。ゲットして撮影しておられた方に声をかけて撮りました

不要なアクリルグッズを持ち込めば、人気アニメ作品「薬屋のひとりごと」の主人公・猫猫(マオマオ)と壬氏(ジンシ)のアクリルキーホルダーがもらえる「アクリル感謝祭2025in神田明神」が17日に開かれました。

先着500人に渡されるキーホルダーを受け取るべく、10時からのイベント開始を前に現地には長蛇の列。

訪れた方々に話を聞きました。

配布を待つ人たちの行列
配布を待つ人たちの行列 出典: 三菱ケミカル提供

「薬屋のX(旧ツイッター)で知って来ました。ランダムで外れてずっとタンスに眠っていたグッズを持ってきました。アクリルって燃えるのか何ゴミとして出せばいいのか、分からなかったから助かります」

巨人とのたたかいがテーマの作品の主人公のアクリルキーホルダーを持ち込んだ人は、埼玉県春日部市から足を運びました。

「一番くじで同じものを2つ引いちゃったけど、捨てられなくてもう10年くらい取っておいたやつです。回収はありがたい取り組みです」

アクリルグッズ回収ボックスにアクスタが投入されていく
アクリルグッズ回収ボックスにアクスタが投入されていく

回収箱を開けてみると、正午ごろにはすでにぱんぱん。

対応スタッフによると、50個ほどを持ち込んだ人もいたのだとか。アイドルらしき女性の同じ型のアクスタでした。

アイドルらしき女性のアクスタがずらり
アイドルらしき女性のアクスタがずらり

「『置き場所がなくなって』とおっしゃっていました。〝推し変〟か〝推し増し〟されたんですかね。捨てづらいから『アクリル 処分』とネットで調べてこのイベントを知ったそうです」

箱の中身をのぞいてみると

板がいっぱい入っていました
板がいっぱい入っていました

箱の中身で特に目についたのが、購入時にアクスタがはまっている板。アクスタ本体を抜き取っても残って困りますよね。

キャラクターものだけではなく、男女問わずアイドルがデザインされたものも目立ちました。推し活文化全体にグッズとしてアクスタが普及しているのを感じます。

薬屋コラボの効果絶大

アクリルグッズを回収するこのイベントの開催は今年で3年目。

開いているのは、三菱ケミカルなど複数の企業で組織する「アクリルグッズ等再生利用促進協議会」です。

薬屋とコラボした今回は、これまでで最多の回収量だといいます。

薬屋のひとりごとの主人公・猫猫(マオマオ)と壬氏(ジンシ)の大きなパネルもリサイクルアクリル製です
薬屋のひとりごとの主人公・猫猫(マオマオ)と壬氏(ジンシ)の大きなパネルもリサイクルアクリル製です

神田明神には、医薬を司るとされているえびす様こと少彦名命(すくなひこなのみこと)がまつられています。

今年は5月に開かれる神田祭にあわせ、薬屋の原作小説のイラスト展やコラボグッズの販売などが行われています。

感謝祭も同時期に開かれることになったため、3者のコラボが実現しました。

神社で預けて感謝を伝える

神田明神の禰宜・岸川雅範さんは「グッズに『今までありがとう』と伝える場になれば」と言います。

感謝祭ではご祈禱も行われました
感謝祭ではご祈禱も行われました

普段も企業などからの依頼で「魚」「図書館」など様々な対象への感謝祭が開かれているそう。

「アクリルグッズにもきっと小さな神様が宿っている。お礼参りのようにその感謝を伝える感謝祭の場で、みなさまのグッズを預からせていただきました」

リサイクルアクスタ、国内初販売

境内の「文化交流館」ではさまざまな薬屋グッズが販売されていますが、アクスタの一部はリサイクルアクリルで作られたもの。

左は通常のアクスタ、右がリサイクルアクリルでつくられたアクスタ。見分けはつきません
左は通常のアクスタ、右がリサイクルアクリルでつくられたアクスタ。見分けはつきません

アクリルグッズ等再生利用促進協議会の事務局長で、コンテンツビジネスを担う企業「ひかりてらす」代表取締役の山田裕介さんは「リサイクルアクリルで作られたIPグッズが一般販売されるのは、我々が知る限り国内初」だと言います。

同じデザインでも、通常1650円のものがリサイクル製だと2200円と割高ではあります。それでも10対1くらいの比率でリサイクル製のものを選んで買っていくお客さんもいるそうです。

推し、無限の命

三菱ケミカルの倉地与志也さんがアクリルのリサイクルの現状を教えてくれました。

「アクリルは元々車のテールランプやコンビニの看板、デパートの化粧品売り場の展示台などに使われていました。推し活グッズとしてアクスタなどが人気になってから、アクリルが使われる数も急増しました」

三菱ケミカルの倉地与志也さん
三菱ケミカルの倉地与志也さん

「ペットボトルは現在93%がリサイクルされています。しかしアクリルはリサイクルの数値も分からない。海外に輸出されるか、埋め立てられてたり焼却処分されたりしているのが現状です」と倉地さんは指摘します。

「リサイクルで重要なのは『出口』を作ること。リサイクルしたら何に使えるのか、出口を確立することがリサイクルの普及には欠かせません」

また、アクスタのなかには、実はアクリル製品ではないものも混じっているのだとか。「塩化ビニール、ポリプロピレン、ペットなどが使われています。一般の方には見分けるのは無理です。そのため『アクリル』マークの普及を目指しています」と話しています。

左はリサイクルが可能なアクリルであることを示すマーク、右はリサイクルアクリルを使用していることを示すマーク
左はリサイクルが可能なアクリルであることを示すマーク、右はリサイクルアクリルを使用していることを示すマーク

アクリルは熱分解によって原料のメタクリル酸メチルに戻ります。リサイクルの環境が確立されれば、捨てられずにまた次の形に生まれ変わり、無限のリサイクルができるかも――。

あなたのアクスタが転生して、誰かの推しになる日も近いかもしれません。

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