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「青森県、テープカッターになる」〝汎用性が高い〟その地形に着目
青森県の地形から、何を想像するでしょうか? 「テープカッターになる」というSNSの投稿が話題になりました。作ったのは障害のある人が働く事業所です。アイデア商品の裏話を聞きました。
画像には木製のテープカッターが写っていますが、よく見ると特徴的なその形は「青森県」そのものです。
投稿文は《青森県、今度はテープカッターになる》。
青森県の〝右上〟にあたる下北半島にセロハンテープをセットし、〝左側〟の津軽半島にある刃でテープを切る構造です。
この投稿は「これは欲しい」「元からそうだった的なフィット感」「職場に置きたい」と1.9万件のいいねがつき、「青森県、汎用性が高くて良い」とその特徴的な地形にも注目が集まりました。
青森県、今度はテープカッターになる。 pic.twitter.com/ZtFaPwav3K
— ふれ愛プラザあおば(就労継続支援B型事業所あおば) (@fureai_aoba) January 13, 2025
作ったのは青森県八戸市の「就労継続支援B型事業所あおば」です。障害がある人に働く機会を提供しており、現在は高校卒業後から70歳手前の約30人が、得意なことを生かして木工製品作りや箱折りなどの仕事をしています。
「テープカッター」を発案したのは、スタッフの西村豪(たけし)さん(35歳)です。「目標工賃達成指導員」という肩書で、「皆さんが働いたものがより売れるように、仕組みを考えたり、新商品を考えたりしています」。
なぜ青森県をテープカッターに?
実は、テープカッターには「前作」がありました。
青森県の形を生かしたスマホ立てです。下北半島にスマホを寄っかけるようにして置くもので、その名も「よっかがれ(寄っかかれ)!青森」。2カ月で600個売れるというヒット作になりました。
そのスマホ立ての制作をしている当初から、青森県の〝汎用性の高い〟地形に注目をしていたと言います。「スタッフの間で『青森県の形って、テープカッターにもなりそうだよね』と話していました。ほかに作っている人がいないか調査して、今回、試作してみることにしたんです」
もともと、大学ではデザインを専攻していたという西村さん。「面白いデザインを考えるのが好き」だったと言います。
さらに作品に影響したのはその〝青森愛〟でした。就職活動の時も「青森はいいところ。出たくない」と思っていたと言います。作品にも、みんなで青森を盛り上げたい、という気持ちがにじみ出ています。
2年ほど前から新商品を作ることになり、最初に発案したのは「スマホタテ」。青森県産のホタテ貝を、スマホ立てにしました。「ダジャレから思いつきました」
2作目は「あおもりけん玉」。皿の部分に青森県の形が付いている、けん玉です。この青森県のパーツに、たまたまスマホを立ててみたのが「よっかがれ!青森」を生み出すきっかけになったとのこと。ヒントはどこに転がっているか、分かりません。
ほかに、息の長いヒット作となっているのは、南部せんべいの形を模した木製のコースター「こびりっコースター」。「こびりっこ」は、赤飯を南部せんべいではさんだ軽食のこと。パソコン担当の利用者がゴマやピーナッツなど本物そっくりにせんべいの模様をデザインしてくれ、それを木に転写しています。
利用者は並行してこれらの作品を作りつつ、企業から請け負った箱折りや、割り箸の袋詰めなどをして、売り上げなどから工賃をもらいます。
昨年は「おかげさまで売り上げが伸び、工賃がアップしました」。利用者も喜び、モチベーションが上がったと言います。
今回投稿したのは、テープカッターの試作品だったそうです。投稿する前は「面白がってくれる人はいると思っていたが、まさかここまで広がるとは思っていなかったです」と予想外の展開に喜びます。
その反響の大きさから、さっそく「商品化」が決定しました。コメントの様子から「県内だけでなく、日本中の青森にゆかりがある方にも刺さっている」と全国からの発注も期待しています。
これは利用者さんがやすり掛けを練習した木片です。
— ふれ愛プラザあおば(就労継続支援B型事業所あおば) (@fureai_aoba) December 4, 2024
皆さんに触ってもらえないのがすごーーーく残念なのですが、これ信じられないくらい✨スベスベ✨なんです!!!
もはや木じゃない!「最先端技術で製造した新素材ですか?」っていうくらいの肌触り👍
丁寧な手仕事に脱帽です😲 pic.twitter.com/7T3rBmVf8Q
反響の大きさに、さぞかし施設もわいたことだろうと思っていましたが、実は、スタッフの中で9割はSNSを使っておらず、今回の投稿が「バズっている」ことも「ピンと来ていない」そう。
現在は発売に向け、商品化の最終調整中です。特に苦戦しているのはテープカッターの刃にあたる「津軽半島」にある小さな〝突起〟。
「中泊(なかどまり)町のあたりが、テープを切るときに引っかかってしまわないように、考えています」
なるべく忠実に地形を再現したい、でも使いやすさも追及したいーー。挑戦を続けています。
テープカッターは施設に併設する販売所で売るほか、メールでの注文や発送の依頼も受け付けるそうです。
西村さんには、すでに青森県の形を生かした次回作の構想もあるそうです。青森県の形のポテンシャルについて、西村さんは「複雑で、印象深く、ひっかけたり、乗せたり、いろいろできそうですよね」と話します。
「これからも、施設のみんなで楽しみながら、作っていきたいです」
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