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「恋人は?」「孫の顔見たい」…帰省先での〝圧〟半数が「感じた」
58.3%が、母親から
「いい人はいるの?」「結婚は?」――。
実家に帰省したとき、自分の人生について踏み込んだ質問をされたらどんな気持ちになるでしょうか。マッチングアプリを運営する会社が「わたしのき(なこわらび)もち」という実家への手土産の販売を始めました。背景には、「結婚へのプレッシャー」を感じる人たちの思いがありました。
婚活マッチングアプリの「Pairs(ペアーズ)」の運営会社エウレカ(東京・港区)は今月、期間限定で「わたしのき(なこわらび)もち」の販売を始めました。
商品名からもわかるように、ただの「わらびもち」ではありません。
和菓子の製造・販売を行うストラク(横浜市)の和菓子ブランド「京都利休生わらび餅」とコラボレーションしたもので、パッケージにはこんな言葉が綴られています。
この商品の背景にあるのは、20歳から39歳のPairsユーザー4047人(男性6割、女性4割)に行った調査です。
調査では、帰省時に実家で恋愛や結婚の話をした経験がある独身者1532人のうち、「帰省時に恋愛や結婚の話題が出るとプレッシャーに感じるか」という質問に、「とても感じる」「やや感じる」と答えたのは46.1%で、約半数が、プレッシャーを感じたことがあるということが判明。
話題を投げかけてくる家族は58.3%が母親で、13.7%が父親、祖父母が11.4%だったといいます。
プレッシャーを感じた言葉について聞くと、最も多かった回答は「恋人はいないのか?」で66.3%、続いて「孫の顔が見たい」が34.4%、「誰々さんは結婚したらしい」が28.7%でした。
調査では、「恋愛や結婚のプレッシャーに対して帰省時にどんな行動を取っていますか」という質問項目も。
「恋愛や結婚よりも優先度が高い事柄があると伝える」27.8%、「親としっかり話し合う」16.0% という回答が並び、「親の理解を得ようとしている人が合計で43.8%になっています」(担当者)。
「自分が大切にしていることを直接伝えたり、腫れ物扱いになりやすい恋愛や結婚の話をしっかり話し合い、親の理解を得ようとする人の割合が高いのが特徴的だと思います。家族に対しては自身のスタンスを理解してもらおうとコミュニケーションしている実情が明らかになっています」
その一方で、同じ質問に対しては「特に何もしていない」が最多の38.2%となっていることに触れ、「親とのコミュニケーションを減らしている、プレッシャーを感じている人たちも数多くいますが、この調査の対象者はマッチングアプリを利用している人たちであることから、恋愛や結婚を望んでいないわけではない」。
「ただ、その気持ちを親に伝えるという点では心理的なハードルがある。そういった点にペアーズは着目して、プレッシャーを感じている若者に、『わたしのき(なこわらび)もち』で支援できればと企画しました」と担当者は話します。
商品パッケージには「自分のペースで歩んでいる」という一文があります。
担当者は「子どもに寄りすぎたメッセージだと親が傷つきますし、だからといって親への配慮を意識しすぎると、肝心の子どもに伝わりきらない」と考えたといいます。
そこで、核となるコンセプトは「マイペースな人生の宣言」にし、「恋愛や結婚に関する親御さんとの会話自体を否定するのではなく、『私は私のペースで人生を歩んでいます』と子どもが堂々と主張し、親御さんにとっても賛同しやすく、引き続き愛情をもって見守ろうという気持ちになるものになるよう意識しました」
では、自分のペースで歩みたいという子どもの気持ちを親はどう受け取ればいいのでしょうか。
「若者は恋愛や結婚に消極的とよく言われますが、ライフプランとして自分なりのペースでみんな取り組んでいます」
「恋愛を見つける方法も、その後の進み方にも正解はなく、ゆえに人知れず頑張っていたり、大っぴらに相談できずにぼんやりと悩んでしまったりすることも多いのが恋愛です。恋人ができたり、結婚が決まったり、結果ばかりが気になってしまうかもしれませんが、ぜひ静かに見守って、本人からの報告や相談を待つ、という姿勢でいていただければと思います」
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