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帰省で気づく親の〝異変〟 「家にゴミがたまり始めた」が兆候なワケ

「きれい好きだったのに、家にゴミがたまり始めた」「急に身なりを気にしなくなった」。そうした状況は、親の〝異変〟の兆候かもしれない――
「きれい好きだったのに、家にゴミがたまり始めた」「急に身なりを気にしなくなった」。そうした状況は、親の〝異変〟の兆候かもしれない―― 出典: Getty Image

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「きれい好きだったのに、家にゴミがたまり始めた」「急に身なりを気にしなくなった」。そうした状況は、親の〝異変〟の兆候かもしれない――。そう話す専門家は、お盆などの帰省時は、親の変化に気づく機会になっていると話します。

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帰省で親の介護が頭をよぎる

話を聞いたのは、有料老人ホームなどの検索サイト「LIFULL 介護」を運営する「LIFULL senior(ライフル シニア)」の小菅秀樹さん。これまで1500件以上、入居相談に応じてきました。「LIFULL 介護」では、施設の探し方などの記事も提供しており、小菅さんは「編集長」の肩書でコンテンツ制作も担っています。

小菅秀樹さん=LIFULL提供
小菅秀樹さん=LIFULL提供

そんな小菅さんは、お盆やお正月などの帰省時期になると、「LIFULL 介護」の閲覧数が、数割程度上がると話します。

この〝怪現象〟については、こう説明します。「帰省によって、親の変化に気づくことで、介護に関心を持つようになり、サイトの訪問者が増えています。ただ、聞き取りをすると、緊急性が高い方は少数派です。『そろそろ親の介護が必要かもしれない』と情報収集目的でサイトを訪問する方が多いようです」

月にいくらかかるのか? どのような種類の施設があるのか? 入居するならどのタイミングか? 親の介護が頭をよぎったときにまず浮かぶのが、こうした疑問だそうです。

「曜日が分からない」という〝異変〟

どんな時に、親の〝異変〟に気がつくのでしょうか。

小菅さんは、「重い物を運べなくなった」「歩くのがつらそうになった」「曜日が分からなくなった」「薬を飲み忘れるようになった」などの状況から、〝異変〟を感じ取る人が多いと話します。

これらの背景には、身体機能の低下と、認知機能の衰えの二つの側面があるとします。いずれも、介護の必要性を検討する際に考慮するポイントでもあります。

「象徴的なのが、『きれい好きだったのに、家にゴミがたまるようになった』ケースです。ゴミを持って歩くのがしんどい、曜日が分からず収集日を覚えられないなど、身体機能と認知機能、両面が衰えた結果であることもあります」

ほかに、「昼夜逆転の生活になった」「社交的な親だったのに外出しなくなった」といった状況から〝異変〟に気づく人が多いそうです。

帰省で気がつく親の〝異変〟(小菅秀樹さんへの取材から)
帰省で気がつく親の〝異変〟(小菅秀樹さんへの取材から)

近隣から知らされる〝異変〟

帰省時、近隣住民とのコミュニケーションから〝異変〟に気がつく人も珍しくないそうです。

「かつては『徘徊』と言われていた歩き回りですが、近隣の方から知らされるというケースもあります。歩き回ってなかなか自宅に戻ってこなかったというようなことが何回か続くと、近隣の方がまず〝異変〟に気づきます。親の方は問題と認識していない一方で、帰省時に近隣の方が子どもたちに耳打ちする。そんなケースです」

確認したい三つのこと

小菅さんは、将来的に介護が必要になった時の備えとして、「健康状態」「介護に関する要望」「お金」の3点を確認した方がよいと話します。

「帰省は、こうしたコミュニケーションのきっかけになります。もちろん、1回の帰省ですべては確認できません。帰省を『ジャブ』程度にとらえて、帰省後も、SNSや電話を活用したコミュニケーションをつづけていくことおすすめします」

その上で「健康状態」については「親にどんな持病があるのか、かかりつけ医は誰か、といった情報は、仮に介護が必要な状態になった時には施設などから求められる情報で、確認してほしい点です」と話します。

「もちろん、真正面から聞きづらいと思います。ですから、『どんな薬を飲んでいるの?』『この前、雑誌で健康の記事を読んだんだけど』などと話題を振るのも手です。ただ、話したくない親御さんもいらっしゃるでしょうから、無理に聞かず、継続的にコミュニケーションを取る中で確認していくことがよいと思います」

知っておきたい「地域包括支援センター」

「介護」については、「自宅での介護がよいのか、有料老人ホームなどの施設がよいのか、どんな生活を続けたいのか、など本人の希望をしっかりと聞いておくことも大切です」と小菅さん。「ほかには、健康保険証や介護保険証の保管場所も確認のポイントです」

「介護サービスの中で中心的な役割を果たすのが『地域包括支援センター』です。地域ごとに設置されていますので、まずは場所を確認して、親御さんに伝えるだけでも情報のサポートができます」

「お金の話は、余計に難しいかもしれません」と小菅さん。「望む介護に必要な費用はいくらかかるだろう? と水を向けて、今後の話のとっかかりを作るだけでも十分です」

「ただ、親御さんには、自分からは言いづらいけど、聞かれれば話す準備をしている、という方もいらっしゃいます。お金の面で必要なのは、年金などの収入と貯蓄に関する情報です。入院した場合の支払いなどを考えると、民間保険の保障内容を確認されてもいいかもしれません」

「介護サービスの中で中心的な役割を果たすのが『地域包括支援センター』です。地域ごとに設置されていますので、まずは場所を確認して、親御さんに伝えるだけでも情報のサポートができます」
「介護サービスの中で中心的な役割を果たすのが『地域包括支援センター』です。地域ごとに設置されていますので、まずは場所を確認して、親御さんに伝えるだけでも情報のサポートができます」 出典: Getty Image

相手を主体に

小菅さんは、大切なことは相手を主体にして考えることだと話します。

「繰り返しになりますが、帰省は、コミュニケーションのきっかけにすぎません。やりとりを重ねていくときに、親御さんを知る、親御さんが望むことは何なのかという視点を持ってもらえれば、理解も深まるのではないのでしょうか。老後に始めた趣味は何か? 1日何をして過ごしているか? 離れて暮らしていると、案外知らないことばかりです。そうした関わりの中で、将来に向けての確認をしていくことが自然だと思います」

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