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ブリンバンバンボン、海外再生が「非常に特異」Spotifyの分析

ヒップホップユニットCreepy Nuts。R-指定(左)とDJ松永
ヒップホップユニットCreepy Nuts。R-指定(左)とDJ松永 出典: ソニーミュージック提供

目次

12月31日に放送される「NHK紅白歌合戦」に初出場するCreepy Nutsの楽曲「Bling-Bang-Bang-Born」(BBBB)は今年大流行しました。Spotifyで2024年に「国内で最も再生された楽曲」と「海外で最も再生された国内アーティストの楽曲」の2冠に。担当者は、海外での広がり方が「非常に特異」と指摘します。どこでどう聞かれ、どう広がっていったのか、詳しく聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・篠健一郎、文化部・宮田裕介)

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海外で「同時多発的」に拡散

<BBBBは、海外での再生比率が、国内を上回る約7割となりました。Spotify上の様々なリスニングデータを注視しているSpotify Japanの音楽部門企画推進統括の芦澤紀子さんに話を聞きました>

――BBBBは、1月にアニメ「マッシュル-MASHLE-」のオープニングテーマとして配信されました。どのように人気が広がっていきましたか。

配信直後、日本よりも先に米国で再生数が急上昇しました。東南アジアが比較的少なく、米国と欧州、中南米を中心に同時多発的に再生数が伸びていきました。これまで日本の楽曲は、欧州ではフランス、ドイツ、英国で伸びる傾向がありましたが、BBBBはスペインやイタリアなども含め欧州全体で非常に人気でした。

これまで海外でヒットした、YOASOBIやAdoなどのアニメ関連の楽曲は、東南アジアが火付け役になり、SNSなどでアニメの映像とともに、米国や欧州などに飛び火し、大陸をまたぐように時間差で広がっていくことが多かったです。

その意味でBBBBは非常に特異でしたね。こんなケースはこれまでにあまり見たことがありません。

――なぜ、そんな特異な広がり方をしたのでしょうか。

アニメの主題歌であったこと、アニメのキャラクターの曲に合わせた踊りが、「踊ってみた」動画をTikTokなどに投稿したくなるものだったこと、この二つが掛け合わさったことも要因にはあると思いますが、それだけでは説明がしきれない広がり方です。

「Bling-Bang-Bang-Born」のメロディーに合わせてキャラクターが踊る「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編」のオープニング映像©甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会
「Bling-Bang-Bang-Born」のメロディーに合わせてキャラクターが踊る「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編」のオープニング映像©甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会

言語の壁、崩れ始めている

――他にどんなことが考えられますか。

サウンドが、ジャージークラブという昨今のヒップホップで世界的に流行しているリズムに、ラテン感のあるサウンドが掛け合わさって新鮮さがありました。Spotifyでも当初、南米などのスペイン語圏からの反応が多くありました。

アニメファンに刺さったというよりは、サウンドがキャッチーで直感的に多くの人に受け入れられたのではないかと思います。

「Bling-Bang-Bang-Born」という、何語かよくわからない、呪文のような歌詞も非常に耳に残り、また聞きたくなる、もしくは口ずさみたくなる「中毒性」がありますよね。

――日本のヒップホップが海外で聞かれること自体も珍しいように感じます。

日本語を使ったラップとしては、米ラッパーのミーガン・ジー・スタリオンが、千葉雄喜とコラボした「Mamushi」も今年海外でヒットしました。タイトルもそうですが、「お金稼ぐ 私はスター」などと歌詞にも日本語が断片的に使われています。

米国のヒップホップは文化的背景の理解が必要なジャンルとされ、日本語がそこに入っていけるとは思っていなかった人が多かったのではないでしょうか。

日本語の響きがどこかエキゾチックだと感じられていることに加えて、言語の壁が崩れてきていることも背景にあるとみています。

――どういうことですか。

日本の音楽業界では「英語で歌わなければ欧米圏ではヒットしない」が「通説」でした。

それが、コロナ禍でライブなどリアルで音楽を楽しむことができなくなった代わりに、ストリーミングやSNSなどデジタル上で楽しむ人たちが増えたことで、多様な音楽に触れる機会となり、特に若い世代の言語の壁が崩れ始めています。

近年、K-POPやラテン音楽がヒットし、Z世代を中心に、歌詞の意味がわからなくても、サウンドそのものを楽しむ人が増えていると感じています。

海外から発見されている「ガラパゴス」

――そのK-POPが海外展開では先を行きます。J-POPにはどのような特徴、可能性がありますか。

K-POPは、緻密(ちみつ)な戦略に沿って楽曲を作り、国家規模でそれを応援する体制を作って世界に輸出しており、ある種フォーマット化されているとも言えると思います。

日本は、CD市場が非常に大きく、国別の音楽売上は米国に次ぐ世界2位の規模です。それゆえに海外よりも、国内のファンを意識した楽曲作りを続けてきた。その結果、日本独自の多様な楽曲が生まれました。

例えば、J-POPで一般的な「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ」といった楽曲の構成は海外では珍しいです。

日本ならではの歌謡曲も、海外からは新鮮に映り、竹内まりやさんの「プラスティック・ラブ」などのシティポップが自然に広がっていったことにつながりました。「ガラパゴス」が今、海外から発見されているような感覚があります。

Spotify Japanの音楽部門企画推進統括の芦澤紀子さん
Spotify Japanの音楽部門企画推進統括の芦澤紀子さん 出典: Spotify Japan提供

――海外でヒットする楽曲はやはりアニメが多いのでしょうか。

かつてはそう考えられていましたが、今は、アニメとのタイアップが、海外での唯一の「勝ち筋」ではありません。実際、Spotifyの海外で最も再生された日本の楽曲で、2023年は10曲中7曲がアニメ関連ではありませんでした。

「非アニメ曲」の一つ、藤井風の「死ぬのがいいわ」は、タイでのTikTok投稿がきっかけで、配信から2年後の2022年に海外でヒットしました。

アニメの力がなくても、楽曲そのものが海外のリスナーを魅了していると言えるのではないでしょうか。

BBBBや「死ぬのがいいわ」などの事例を見ると、そもそも緻密に計算して方程式に沿って楽曲を作ってヒットさせる、というようなものが、日本の楽曲については今あてはまらなくなっているように感じています。

逆に言えば、日本のアーティストは自身のユニークさに自信を持って世界に打ち出し、反応があったときにタイムリーにそれに対してSNSで発信するなどアクションをしていくことが、海外でのヒットにおいて重要だと思います。その意味で明るい未来が今来ているのではないかと考えています。

【人気曲に占める英語の割合減少】「世界同時多発」で注目集めた♪ブリンバンバン 異例のヒットの背景
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【「ブリン・バン・バン・ボーンはビビディ・バビディ・ブー」】世界でバズったBBBBダンス 考案者はダンス素人「直感でした」

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