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「何の制限もなく自由に!」 ダンボールお面で楽しむ〝贅沢な時間〟
年末年始、何か思いっきり「作ってみる」ことに熱中してみると、とても「贅沢(ぜいたく)」な時間になるかもしれません。用意するのはダンボールとグルーガン。子どもから大人まで夢中になるダンボールのお面作りの魅力を取材しました。
「手を入れるのは怖い。でも中の〝ご褒美〟を取るためには手を入れないと……」。そんな子どもたちの冒険心をあおる「クジ入れ」が、SNSで話題になりました。
身近にあるダンボールで、愛嬌のあるモンスターのような表情がおもしろいクジ入れの制作者は井上嘉和さん(@inoue_yoshikazu)。本業のフォトグラファーの傍ら、「DANBOL(ダンボル)」という活動名で、ダンボールでお面を作ったり、ワークショップを開催したりしています。
15年ほど前から家族の節分行事で始めたお面作り。「かぶるタイプのお面は、没入感があり、かぶるだけで自分を変えられるのがおもしろい」と言います。
その魅力は「仕事とは違い、何の制限もなく自由にやりたい表現ができる」ことだと言います。ワークショップに参加した大人からは「最近、こんなに自分の手を動かすことはなかった」という感想が聞かれるそう。
ダンボールという身近な素材が、創作に対するハードルを下げ、大人も子どもも楽しめる理由の一つ。「素材がダンボールだと『もったいない』とか余計な感情がわかない。すぐにはがして、つけなおせるので『失敗』もなく、すべて味になるんです」と井上さん。
そんなダンボールのお面作りを家で楽しむ方法を聞きました。
用意するのはこちら。
・ダンボール
・グルーガン(熱で溶かした樹脂で接着するもの。100円ショップなどで買えます)
・新聞紙など
・ゴミ袋
重要なのは「早さ」だと言います。井上さんのお面は、短冊状に切ったダンボールを貼って立体感を出しますが、たとえば作っている途中で「乾かす」という待ち時間が発生すると、手が止まってしまい、楽しい気持ちが途切れてしまいます。
すぐに接着できるグルーガンを使っているのは、それを防ぐ工夫の一つ。「どんどん作業できると、作りたいという、クリエイティブな気持ちがずっと持続します」
ダンボールは短冊状に切っておきます。幅はざっくりと2.5センチぐらいがちょうど良く、自由に曲げられるように、中芯(中のなみなみ)に対して垂直に切ります。
もし子どもと工作をする場合は、最初に大人がダンボールを短冊状に切ったものをたくさん用意しておくと良いそうです。
机の端にゴミ袋を止めておくと、片付けも楽。
グルーガンでやけどをしたりダンボールで手を切ったりするのが心配な時は、タクシー運転手が使うような目が細かい「綿の手袋」を使うと良いと言います。子ども用のサイズもあり、100円ショップでも売っているそうです。
お面の作り方は、まず、短冊状のダンボールをお面をかぶる人の頭に合わせて、はちまき状に巻き、さらに頭頂部に十字に短冊を着け、「ヘッドキャップ」のようにします。
あとは目をふさがないように注意しつつ、自由に短冊状のダンボールで「盛りつけていく」と言います。
立体感を出したいところには、新聞紙などの紙をこよりにして、巻き込むようにすると丸みが出るそうです。
「自由に」といっても、何を作ればいいのでしょうか? 井上さんのテーマは鬼や邪神など不思議なもの。「子どもたちがうわっとなる反応でしか得られない幸福成分があります」と笑います。子どもたちはゲームのキャラクターになりきったり、大きなリボンをつけたり。「かわいくありたい、強くありたい、という自分の中の欲求を表せる何かがお面にはある」と言います。
親子で作ると相談しあったり、とんでもないリクエストが来たりして、想像もできないお面ができるそうです。
お互いに否定せず、「好きなだけ使いなさい」とダンボールを用意して思い切り作ると、「絶対におもしろいものは作れる」と言います。「思っていたものと違う物になっても、それはそれでおもしろいんですよ」
「〝タイパ〟や〝コスパ〟といったことが話される時代に、めちゃくちゃ無駄なことをやっているんですけど、それを親子で楽しめる時間が、とても贅沢になっている世の中なんだなと感じています」
井上さんはダンボールのお面をつくってかぶり、人と共有する一連の活動「ダンボル」と呼びます。挑戦したい人へ一言お願いすると、こんな言葉が返ってきました。
「自分の中からわき上がる物をダンボールにぶつけて、君もダンボルになろう!」
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