連載
#101 夜廻り猫
「普通のカップルは政治の話なんかしない」話題を拒否され…夜廻り猫
長年の婚活で、やっと出会えたパートナー。ふたりで街頭演説の前を通りかかったとき、政治の話をしたところ……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、政治の話題を口にした女性のエピソードです。
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。部屋にひとりでいた女性の、心の涙の匂いに気づきます。
女性は、婚活を始めてから10年。「やっと出会いがあったの」と振り返ります。女性が寝込んだ時には、2時間の距離を飛んできてくれた優しい人でした。
きょう、たまたま街頭演説の前を通り、憲法改正の話になりました。
すると彼から「あのさ、普通のカップルは政治の話なんかしないよ」「俺、知ったかなヤツ嫌いなんだよね」と言われてしまったのです。
女性の祖母は、毎日2時間かけて新聞を読み、聞けば何でも教えてくれる人でした。
「私は何でも話せる人と付き合いたい」「言ったら怒る人とは付き合えない」と語ります。
「でも、いい人なのに~!」と涙する女性。遠藤は「あぁぁ…残念だなぁ」と声をあわせるのでした。
作者の深谷かほるさんは、「先日、若い人が『普通のカップルは政治の話なんかしないよ』と話しているのを聞きました。驚きました」と語ります。
「誰とでも、気軽に政治の話ができるわけではない現状がある、というのは私も知っています。それだけに、近い間柄なら話したいテーマではないでしょうか。それに、政治や社会課題は誰でも知っておくべきことではありませんか」と問いかけます。
政治は、私たちみんなの「足場」を決めるもの。「だからこそ、現代史を学びつつ、憲法というものはどういうものか、いま社会に足りていない倫理観は何だと思うか、原発政策・災害対策・感染症対策……。ひととおりのことは知っておきたいです」と深谷さんは語ります。
「そんなに難しくはありません。新聞を読めば分かります。欲を言えば2,3紙を比較したいところですが……」
深谷さんは「それに、パートナーなら、相手が話したいことには興味を持ったらどうでしょう、とも思います。政治について話すこと、どこが面白いのかを教えてもらえば、きっと楽しいはずですよ。ぜひ話してください」と呼びかけています。
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