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色鉛筆アーティストの原画に「感動」 学芸員も絶賛の〝リアリティ〟
もはや、意味が分かりません…!
コカ・コーラやファンタなどをリアルに描き、たびたび話題になっている色鉛筆アーティストの慧人(けいと)さん(@Yassun0222K)が、初めての個展に挑戦しています。地元の人々だけでなく、ふだんSNSで作品を見ているファンが遠方から足を運び、リアルな交流が生まれていました。
特別展「慧人 色鉛筆で生み出すリアル」が開かれている、静岡県浜松市の平野美術館。色鉛筆アーティスト・慧人さん(21)=大阪府在住=の50点を超える原画とメイキング映像、使用する画材が展示されています。
「感動しまくりでした!」
「幸せな気持ちにさせていただきました」
「(リアルすぎて)意味が分かりませんでした」
「慧人さんに刺激を受けて、色鉛筆を買いました!」
慧人さんが在廊した11月下旬、来場者たちは直接本人に感動を伝えていました。
慧人さんは2018年以降、SNSにコカ・コーラのペットボトルやファンタの缶、ぬいぐるみなど、本物そっくりの立体画を投稿しています。
SNSでは話題になるたびにユーザーからたくさんの感想が寄せられましたが、リアルな声を聞く機会はほとんどありませんでした。
これまでも2度、グループ展に参加したことはありましたが、目の前のファンから直接感想を聞いた慧人さんは、「モチベーションにつながります」と感激していました。
今回の個展は、平野美術館の副館長が慧人さんに声をかけたことがきっかけで開催されました。昨年銀座で開かれたグループ展を訪れ、慧人さんの作品を目にしていたそうです。
個展を担当する学芸員の三浦風音(かのん)さんは、慧人さんの作品の魅力について「光と影の描き方がすごくリアリティがある。作品によって光と影の色が違い、モチーフに対する温度感が伝わりやすい」と語ります。
平野美術館では日本画の展示が多く、SNSで人気のクリエイターによる個展は珍しいそうです。
慧人さんの作品は日本画に比べてサイズが小さいため、「どのように迫力を持って見せるか」を考えたといいます。
美術館のデザイナーと検討した結果、作品を拡大したパネルを用意して原画とともに展示しました。〝加工〟されたパネルがそばにあることで、原画のクオリティがより引き立っています。
三浦さんは「SNSや画面を通してでは感じられない色鉛筆の筆致やあたたかみを感じてほしい」と話します。
慧人さんが在廊した日は、熊本や千葉、兵庫などに住むファンや、絵を描くことが好きな小学生も訪れました。
学芸員の三浦さんによると、展示には老若男女問わず訪れていて、特に自身も色鉛筆画を描いていたり、慧人さんの作品を知ったことで絵を始めたという人が多いそうです。
慧人さんは、「SNSにアップすることに慣れてしまったからか、人に見られているという感覚がなくなっていました。今回、個展を通して作品が人の目に触れ、自分が作家である実感がわきました」と話します。
「僕の作品がこんなにも人の心に深く刺さっているということがうれしく、自信にもなりました。今後も展示会を増やしていきたいですし、SNSでの発信も頑張っていきたいです」
個展は12月22日まで開かれています。
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