お金と仕事
「豪雪地で干し芋」「屋久島で収穫」 旅しつつ農業バイト、移住にも
バズった「闇バイトより農業バイトを」に、「どこで探したら?」
お金と仕事
バズった「闇バイトより農業バイトを」に、「どこで探したら?」
「闇バイトより農業バイトを」――。茨城県の農家が発信したSNS投稿が28万の「いいね」がつくなど大きな話題になりました。このポストには「やってみたいけど、どこで見つけたらいいのか」という反応もありました。期間限定でできる農業バイトはどうやって見つけられるのでしょうか?
「大自然の中でゆずを収穫」「屋久島でたんかん収穫作業」「豪雪地津南で干し芋づくり」――。
全国各地から農業バイトの募集が掲載されるサイトがあります。
2019年から始まった「おてつたび」は、「お手伝い」と「旅」を掛け合わせたサービス。
登録したユーザーは、全国各地の1次産業や宿泊産業の事業者が募集する期間限定のバイトを、期間や場所などの条件から探すことができます。
働き手には、仕事内容に応じた賃金が支払われるほか、宿泊を伴う場合には宿泊費の負担はゼロ。交通費のみが自己負担です。
おてつたびの広報・園田稚彩さんによると、サイトに掲載する事業者には、事前に30分以上の対面もしくはオンラインでの面接を行うほか、すべての募集内容に目を通し、労働関連の法律に抵触するものがないかなどのチェックを経てから、掲載をしているといいます。
闇バイトじゃなくて
— むぎわら (@hollyfox310) October 24, 2024
農業でバイトしてみませんか
大概とっぱらいです
忙しい時期だと…
来たい日だけでも
すごく感謝されます
若いだけでも
すごく感謝されます
短期間でも
すごく感謝されます
未経験でも
すごく感謝されます
一生懸命な姿だけで
ものすごく感謝されます
大概お土産も付きます pic.twitter.com/8nVGaypQTg
おてつたびに働き手として登録しているユーザーは6万4千人。働き手を募集している事業者は1700あります。うち4割が1次産業の事業者で、そのほとんどが農業の事業者だといいます。
おてつたびのサービス開始当初は、宿泊事業者の登録が多かったそうですが、農業に携わる人の不足を背景に、農業の登録事業者は増加しているといいます。
「応募者は若い方も多いですが、最近では早期退職者で、就農を経験したいという50代以上の方も増えてきています」
おてつたびでの経験を機に、バイト先の地域に移住して就農、起業にまでこぎ着けた50代のユーザーもいたといいます。
農業バイトに参加する年代は、20代が約6割、20代から40代で8割を占めるそうです。
「バイト先」は、全国各地に広がりますが、登録事業者の特徴として、「SNS発信に力を入れるなど、新しいことにチャレンジしたいという若い農家さんが多い」と園田さんは言います。一方で、「人手不足でどうしようもないと苦しんでいる地域」もあると指摘します。
地域全体で人口が減っているエリアでは、期間限定で手伝ってくれる働き手を確保できない農家も多いといいます。
「いままでは家族や近所の人たちが手伝ってくれていたけど、農家自身も周辺の住民も高齢化する中で、人手が足りていない状況のところも多くあります」
そのような地域では、行政が間に入ることで、バイトの確保に成功している例もあるそう。
「なると金時」や、「鳴門らっきょ」が特産の徳島県鳴門市では、市役所が農家とおてつたびとの間に入り、募集ページを作成するなど、高齢の農家が苦手とする作業を代行しているそうです。
同じ仕組みでバイトを確保する長野県中野市は、休日の観光案内なども手配しています。
「地方自治体としては、移住者の確保も見据えつつ、まずは関係人口(地域と多様なつながり方をする人たち)をつくりたいという思いがあると考えます」と園田さん。
おてつたびで募集をする数多くのバイトの中でも、農業バイトは「すぐに埋まってしまうほど人気」とのこと。
「闇バイトよりも農業バイトを」の投稿への反応では、農業バイトを探す手段として「おてつたび」に言及するものも複数ありました。
園田さんは「注目されてうれしいです。農業バイトでは、農家さんから『ありがとう』『助かる』といった声をかけてもらう経験もできます。対価だけではない魅力を伝えることができたらいいと思います」と話しています。
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