何気なく橋を渡っていると、その横を大きなパイプが走っていることに気づいた――。いったい、中には何が通っているのでしょうか。行政やインフラ企業を取材すると、実は世界と各家庭をつなぎ、私たちの生活を支える大事な構造物であることがわかりました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
<江東区・豊洲にある朝凪(あさなぎ)橋を渡っているとき、ふと横を見やると、やけにでっかいパイプが走っていました。一度、気になると、他にもあちこちに、こうした構造物があることに気づくようになります。一体、中には何が通っているのでしょうか。>
まず、朝凪橋のある江東区に問い合わせてみました。土木部道路課橋梁係によれば、朝凪橋のような都道が走る橋の管理は、東京都が担っているということ。そこで朝凪橋を管理する、東京都建設局の第五建設事務所補修課の担当者に話を聞きました。
一般論として、「橋の横をでっかいパイプが通っている」ような構造物には、「水管橋(すいかんきょう)」や「ガス管橋」と呼ばれるものがあるということでした。
水管橋とは、上下水道管が河川や水路などを横断する場合に用いられる構造物で、道として使われている橋に管が付属して設置される形と、管のための独自の橋を作る形があります。都市ガスを運ぶガス管の場合も構造は同様です。
朝凪橋については、道の橋に管が付属して設置されるタイプですが、都が管理する上下水道のものではなく、おそらくガス管ではないか、という回答でした。
東京ガスネットワークを取材しました。広報担当者によれば、東京都江東区朝凪橋の横を走る薄緑色の大きなパイプは、同社所有のガス管であるとのこと。
「東京湾などで海外から受け入れた都市ガスをお客様のもとに届けるために、河川を横断して都市ガスを輸送する必要があります」
また、同社には千葉県の袖ケ浦など4カ所の基地と東京都江東区までを結ぶ天然ガスのパイプラインがあり、そこからさらに各家庭に都市ガスが届けられています。
そして、「その方法として、ガス管専用の橋を建設する場合があります」。豊洲のようなベイエリアには、このような構造物が多く見られますが、それは「東京湾に流れ込む河川が多いため、このような景観を見る機会が多いと感じられるのだと思います」ということでした。
世界と私たちの家庭をつなぎ、都市のインフラを支える大事な構造物。自分のよく通る道にも、意識してみると、水管橋やガス管橋があることに、気づけるかもしれません。