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ネットの話題

愛しの「ぽてぽてボデー」 とあるメーカーのマスコットが話題に

花の中にたたずむ「ググ」のぬいぐるみ。何を考えているのか、表情からは読み取れません
花の中にたたずむ「ググ」のぬいぐるみ。何を考えているのか、表情からは読み取れません 出典: 冨士精密提供

目次

グッズ展開できるかわいさ――。SNSで、とある企業のマスコットが人気を博しています。表情の読めない顔とぽっちゃり体形の不思議な魅力。この企業に話を聞くと、実は著名人が手がけた歴史あるキャラクターでした。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)

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顔はナット、体はぽっちゃり

ぽっかりと空洞が空いているように見える無機質な顔と、ぽっこりとお腹が出た柔らかそうな体。

SNSで話題になっていたのは、大阪府豊中市のゆるみ止めナットメーカー「冨士精密」のマスコットキャラクターです。

SNSでは「ゆるみ止めナットなのにゆるキャラとは」「もっさりした体形がかわいい」といった反応が寄せられていました。

ググのぬいぐるみ。お腹が柔らかそうです
ググのぬいぐるみ。お腹が柔らかそうです 出典: 冨士精密提供

広報担当者によると「名前は『ググ』といいます。ナットをググッと締めることが由来です」。

頭についているのは会社の主力商品である、ゆるみ止めナット「U-NUT」。

模様のように見えるのは、「フリクションリング」と呼ばれる部品で、締め付けたナットがゆるむのを防ぐ効果があるそうです。

冨士精密で製造しているゆるみ止めナット
冨士精密で製造しているゆるみ止めナット 出典: 冨士精密提供

ググが生まれたのは1999年、会社の創業30周年記念事業の一環の企画がきっかけだったそうです。

「『うちにもキャッチーなマスコットキャラクターが欲しいよね』という話になり、プロに依頼して作ってもらおうということになりました」

ググをデザインしたのは、TVのコメンテーターとしても有名な漫画家の黒鉄ヒロシさんだそうです。

黒鉄ヒロシさんがデザインしたググ。独特の暖かみを感じるタッチです
黒鉄ヒロシさんがデザインしたググ。独特の暖かみを感じるタッチです 出典: 冨士精密提供

「この時、キャラクターのデザインだけでなく、『ググのナット学入門』という漫画まで描いていただきました」

担当者によると「ググの生態は謎に包まれています」とのことですが、この漫画での描写などから「兄弟に宇宙飛行士がいる」「推定5歳」など断片的なググのプロフィールが分かるそうです。

グッズは非売品

冨士精密ではググのぬいぐるみのほか、タオル、ボールペンなどのノベルティグッズにググをあしらっているそうです。

「グッズは取引先にお渡ししたり、展示会で配布したりするためのもので、販売はしていません。今回、SNSであまりに大きな反響をいただいたので、わずかな数ではありますが、ぬいぐるみのプレゼント企画を実施しました」

右側の釣り竿を持った特別仕様のググは、社員の手作りだそうです
右側の釣り竿を持った特別仕様のググは、社員の手作りだそうです 出典: 冨士精密提供

担当者によると、これまでも取引先などとのやり取りの中で「冨士精密さんのマスコットかわいいですね」と話題になることもあったそうです。

SNSで話題になった後は、企業向けの展示会などで「私は業界関係者ではないのですが、ググが好きなんです」とググ目当てで冨士精密のブースを訪れる人もいるそうです。

身近なところでググっと

ゆるみ止めナットは日常の様々な場面で使われているそうです。

「例えば、日本製バイクのほとんどに、弊社のゆるみ止めナットが使われているはずです。他には、コンビニでホットスナックを入れている保温ケースなどにも使われています」

ゆるみ止めナットの製造風景。鈍い光沢を放つナットが流れていきます
ゆるみ止めナットの製造風景。鈍い光沢を放つナットが流れていきます 出典: 冨士精密提供

バイクや自動車、産業機械のほか、橋や建物などにも使われているそうです。

「朝日新聞さんの大阪本社がある中之島フェスティバルタワーにも、弊社のナットが70万個以上使われていると聞いています」

これには記者も驚きました。

朝日新聞大阪本社がある中之島フェスティバルタワー
朝日新聞大阪本社がある中之島フェスティバルタワー 出典: 朝日新聞社

ナットは私たちの暮らしに欠かせない重要な部品でありながら、BtoB製品ということもあり、必ずしも一般層からの認知度は高くありません。

広報担当者は「ググがSNSで話題になったおかげで、会社や製品のことを知ってもらうことができたのはうれしいかぎりです」と話しています。

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