ネットの話題
もはや魔法 ガトーショコラの食品サンプル 宙に舞う粉砂糖を再現
食品サンプルメーカーが行っている「社内コンクール」の作品が、Xで話題になりました。ガトーショコラの上に舞う粉砂糖。「どんな魔法がかかってるんだろう」と思わず目を疑ってしまう作品について、話を聞きました。
ガトーショコラに粉砂糖を振りかける一瞬を食品サンプルで再現したもので、ケーキの上で粉砂糖が宙に舞っているものです。どう見ても、浮いている……魔法?
《この表現は審査員も唸らせた》
投稿文は、こう続けます。
《食品サンプル技術の極み。
最先端の試みを皆さんにはここで、目撃してもらっています。》
この投稿には、「時間が止まってる!?」「すごすぎて、脳がバグりそう」「これが社内コンクールだと?」と感嘆するコメントがつき、いいねは1万6000を超えました。
この表現は審査員も唸らせた。
— 株式会社いわさき_食品サンプル (@IWASAKI_SAMPLE) August 18, 2024
ガトーショコラに粉砂糖を振りかける一瞬を、食品サンプルで再現。
title 『 演出、D 』
〈いわさき社内コンクール2024作品〉
食品サンプル技術の極み。
最先端の試みを皆さんにはここで、
目撃してもらっています。#食品サンプル pic.twitter.com/oaUdY01nSv
いわさきの広報担当者に話を聞きました。
この作品は、7月に開催された年1回の「社内コンクール」で出品されたもの。作ったのは、お菓子類をメインに製作する工場に所属している、入社歴36年の女性の製作担当者だそうです。
マーブルケーキの再現度の高さや、積み重なったチョコレートの断面などにベテランの技が光ります。実は、昨年度のコンクールでは、リンゴをテーマにした作品で、グランプリを受賞した猛者でした。
今年のテーマ「魅力あふれる食品サンプルの可能性 ~観る人の心を躍らせよう!~」に合わせて、彼女が挑戦したのは「振りかける粉砂糖」の再現でした。
ひらめいたのは、「クリアボード」を活用することでした。角度を変えた作品の画像をよく見ると、確かにケーキの上に、垂直にクリアボードが立っています。その表面に〝粉砂糖〟を貼り付けているため、宙に浮いているように見えたのです。
「クリアボードだと意識させないため、垂直に立てるための構造を考えるのに苦労しました」
ボードを自然に支えるため、頭をひねり、「割りチョコ」でタワーをこしらえ、「チョコレートの世界観」の中にボードを紛れ込ませました。
SNSで寄せられた反響からも、この作品が連覇したものと思いましたが、全社員による「写真審査」と役員や各部署の責任者が見る「1次審査」は通過したものの、「最終審査」で惜しくも敗退。
「新しい粉糖の表現方法等に対する審査員の反応もよかったのですが、受賞はありませんでした」とのことで、社内コンクールのレベルの高さに驚かされます。
この「粉砂糖マジック」を凌駕した今年のグランプリは、「完熟?! クラッシュ〝パイ〟ナップル」という作品でした。
パイナップルをハンマーで割ったら、中身が「パイ」だったというユニークな瞬間を再現したそうです。
受賞理由を聞くと、「食品サンプルは基本的に現物料理を型に入れて製作するので、パイ生地などは非常に再現が難しい食材なのですが、それを非常にリアルに再現できていた点や、パインのみずみずしさが上手く表現されていた点」が高く評価されたそうです。
また、食品サンプルは「人を明るい、楽しい気分にさせてくれるもの」であり、〝パイ〟ナップルのような、「ダジャレ的なタイトルだったり、ちょっとクスッとさせてくれるところがあると評価があがりやすい傾向にある」とのこと。
一般人が驚く「リアル感」は、コンクールではもはや「最低条件というか、前提条件のようなもの」で、グランプリを取るにはアイデアと技術、完成度などがすべて高いことが求められるそうです。
普段は飲食店からのオーダーに応える忠実な物作りをしている製作者たちにとって、社内コンクールは「作りたいものを作る」ことが許されている場だそうです。
コンクールで、普段とは違うチャレンジをすることで、これまで多くの新技術や、新しい表現方法の発見・開発につながってきたと言います。
「互いの技術を共有し、研鑽していくことで、製作技術は常に進化を遂げられると思っています」
※5日12時、情報を更新しました
1/8枚