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「覚えていますか、マリトッツォを」本場で食べる、夢を叶えた結果
「やっぱり本場は違う!」
「覚えていますか? 3年くらい前に日本でマリトッツォブームがあったのを」ーー。日本で人気になったイタリア発祥のスイーツ。ブームのさなか、「本場」で味わうまでは絶対に食べないと誓って、執念を燃やし続けた人がいます。SNSで発信して話題になった、念願の「マリトッツォ初解禁」。一体、どんな味だったのか、「誓い」を守った結果を聞きました。
《覚えていますか?3年くらい前に日本でマリトッツォブームがあったのを》
その後、生クリーム以外にもたっぷり何かを詰めた和製「XXトッツォ」をあちこちで目にしました。
りのさんの投稿は続きます。
《私はどんなにおいしそうなマリトッツォを目にしても絶対に買いませんでした。なぜならマリトッツォという存在を知ったその瞬間から、絶対に本場イタリアで食べると誓ったから。ついにこの日が来ました。これから食べてきます》
りのさんの一連の「お食い初め」投稿には、「意思の強さを感じました」「日本で全く見なくなったのでクリーム好きとしてはさびしい」などとコメントが付き、反響を呼びました。
覚えていますか?3年くらい前に日本でマリトッツォブームがあったのを。私はどんなにおいしそうなマリトッツォを目にしても絶対に買いませんでした。なぜならマリトッツォという存在を知ったその瞬間から、絶対に本場イタリアで食べると誓ったから。ついにこの日が来ました。これから食べてきます。 pic.twitter.com/09rBAE14xM
— りの🌻海外ノマドフリーランス (@ririririnotan) June 13, 2024
りのさんに話を聞きました。
初めて、マリトッツォの存在を知ったのは、日本でブームになった時でした。「わざわざ液体の生クリームを買ってきて自分で泡立て、スプーンですくって食べるくらいの生クリーム好き」というりのさんには、どストライクな見た目だったそうです。
けれど、「初マリトッツォは絶対に本場、イタリアで食べよう」と心に決め、けして日本では口にしませんでした。
それには強い、理由がありました。
りのさんは、もともと青森県出身で、現在はフリーランスのWebライターとして、海外を中心に様々な場所を移動しながら仕事をする「ノマド生活」を送っています。これまで訪れた国は約60カ国。
そんななか、海外で日本食を食べた経験が、〝誓い〟のきっかけになったそうです。
「海外での滞在期間が長くなると、やはりどうしても日本食が恋しくなります。そこで海外の日本食レストランに行くわけですが『ちょっと残念』と感じることが多々ありました」
味だけではなく、食感や温度、盛り付け方などへの違和感。
「国によっては日本の調味料が手に入りにくく、味付けが現地調味料でアレンジされていることもありますし、現地の方がおいしいと思う味にカスタマイズして提供されていることもあります」
そのため、一方的に〝海外の日本食の味〟を否定はできないとしつつも、「海外で出合う自国の料理に違和感を覚えた経験」が、マリトッツォを見つけた時に頭をよぎったと言います。
そこで「マリトッツォの出身国がイタリアであるならば、まずその本物をインプットしようじゃないか」と決意。以来、ブームのさなかも日本では、ぐっと我慢してきたのです。
日本でのマリトッツォブームは、ちょうどコロナ禍でした。その後、海外に渡航しやすくなってからも、りのさんのノマド生活の中心はアジア中心だったため、なかなか「マリトッツォ」にたどり着きませんでした。
「今年こそはヨーロッパ方面に行きたい」と考えて、円安の心配もありましたが、思い切って渡航。今回が初めての訪問となったイタリア滞在の目的はもちろん、「マリトッツォを食べるため」でした。
アジアよりも比較的生活費が高いイタリア滞在は、3泊4日という日程を組みました。
日本ではあまり姿を見なくなってしまった「マリトッツォ」。ですが、本場イタリアでは観光エリアのカフェやレストランにかなりの確率で置いてありました。
観光客がいないベーカリーでも、メニューに乗っていないマリトッツォを、地元の常連客風の人が4つ、慣れた様子で注文しているのを目撃して、「本場では、スイーツではなく朝食として食べる、といううわさは本当だった…!」とうれしくなったそうです。
そんな中、選んだ「人生初マリトッツォ」は、「せっかくなら世界的に有名な観光スポットで、自分に課した〝おあずけ〟を解禁したい」と、ローマ有数の名所「トレヴィの泉」近くのカフェを何店かまわって、見つけました。
本場のマリトッツォは「とても多彩」で、大きなマリトッツォ、日本でよく見かけた小ぶりで丸いマリトッツォ。いちご入りや、チョコがのったものもありました。
「お店によって種類は本当にさまざまで、宝探しをしているような気分でした」
見つけた中でも、1番大きなマリトッツォを購入しました。
3年待って、念願の一口目。りのさんはSNSでその感激を、こう記しています。
《オレンジの味がしてオレンジクリーム!? と思ったら、パンにオレンジの皮?が入ってた。口の中にほのかに甘く爽やかな風が吹いた》
《生クリームは全然甘くない。でもミルク感しっかり》
《あれ、私丸呑みしたっけ?というくらいデカいサイズも余裕でいける》
《「うわ〜この3年かけてじわじわ上げてきた期待をしっかり超えるのね〜!」と嬉しかった》
この食レポには、日本の根強いマリトッツォファンから「やっぱり本場は違う」「これだけのために、イタリアに行きたくなった!」と感嘆の声が上がりました。
海外で食べた日本食にちょっと違和感をおぼえるという海外あるある。
反対に、マリトッツォのように「日本で人気があるものを、本場で食べたら、印象が変わった」という食べ物がないか、りのさんに聞いてみました。
まず、りのさんが挙げたのが、「インドのチャイ」。特に「寝台列車に乗ったときに飲んだチャイ」が、「今でも忘れられないくらいの感動」だったと言います。
「失礼ながら、何年も洗ってませんと言わんばかりの汚いヤカンから注がれるチャイが、こんなにおいしいなんて想像しないじゃないですか。でも実際は、信じられないほどのおいしさ。この濃厚あったかチャイを目覚めと同時に飲んだとき、『インド人はこんなにおいしいものを毎日飲んでるのか…』と嫉妬したくらいです」
また、今回、イタリアで「小腹が空いたタイミングでたまたま見つけたお店」で食べた「ピザ」も、「日本で食べるピザの何倍も上をいきました」。
あまりのおいしさに、「ピザを食べて出た最初のひとこと目は『うそ!?』でした」と衝撃を振り返ります。
日本での仕事を辞めて、英語が話せないまま世界一周の旅に出て、今は1年の90%を海外で過ごしているというりのさん。
「生活のしやすいタイとマレーシア、ベトナムの東南アジアトライアングル(と、勝手に呼んでいます笑)」を中心に、1カ月ごとに拠点を変えつつ、好きな国に何度も行く旅スタイルに落ち着いたそうです。
「今の生活にはかなり満足しています。『今日が人生最後の日なら、こんな過ごし方をしただろうか?』という問いに、毎日ではないものの『YES』と答えられる日が増えてきたのがそう思う理由です」
夏には日本に一時帰国し、8月には東京で、海外でのトラブルやノマドについて話をするイベントを開催する予定とのことです。
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