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「分かりやすい!」ヘルプマーク説明 見た目で判断しにくい障がい
必要なサポートとは?
見た目では分かりにくい障がいや病気があり、配慮が必要なことを周囲に知らせる「ヘルプマーク」。少しずつ広がってきましたが、実際どのような人が着けているのか、どのようなサポートをしたらいいのか、知っていますか? さまざまな事例の説明が「分かりやすい」と、SNSでたびたび話題になるポスターがあります。制作に込めた思いを聞きました。
SNSで注目されたのは、神戸市が作ったポスターです。
「気づいてくださいヘルプのサイン」と書かれ、視覚障がいや知的障がい、聴覚過敏、義足、人工関節、妊娠初期などヘルプマークを付けた15の例が紹介されています。
その多くは、見た目からは分かりにくい障がいや病気です。
ポスターでは、ヘルプマークについてこう説明しています。「外見からわからなくても配慮を必要としている方などが、そのことを周囲に知らせるためのマークです。このマークを見かけたときは、思いやりのある行動や見守りをお願いします」
SNSでは、「すごく分かりやすい!」「このポスター全国に広がってほしい」「人工関節も使っていいの?知らなかった」といった反応が寄せられています。
そもそもヘルプマークは、2012年に東京都が導入し、都営地下鉄や都営バス、都立病院などで配布されていました。少しずつ全国に広まり、現在はすべての都道府県で導入されています。配布の有無については各自治体へ確認が必要です。
2018年にヘルプマークを導入した神戸市は、当初からポスターやチラシを作り、公共機関などで周知していました。
初期のデザインは現在とは異なります。ヘルプマークが大きく描かれ、「援助が必要な方のためのマークです」と、存在そのものに重点を置いたポスターでした。
デザインをリニューアルしたのは2023年6月。初期のポスター制作から時間が経ち、はがされたり色あせたりしていたため、ヘルプマークの認知度アップの取り組みの一つとしてポスターを一新したといいます。
障害福祉課事業企画担当課長の山下清治さんは、制作に込めた思いを次のように話します。「外見で分かりにくくても、こういう方が困っていると広くお伝えしたかった。多くの障がい者団体の方と、どのような図柄だったら理解を得られやすいか意見交換をしながら制作を進めました」
ポスターに描かれた視覚障がいの人は、白杖を持っていません。見え方は障がいのある人それぞれで違っており、白杖を使わないこともあるため、見た目からは分からないケースを採り入れたといいます。
具体的な例が描かれることによって理解が進むほか、当事者にとっても「自分がつけていいんだ」と気づきがあるそうです。
妊娠中の場合マタニティーマークを付ける人がいますが、ヘルプマークも対象になります。ポスターに妊娠初期の人が描かれていたことについて、SNSでは「私もつけたかった」「妊娠初期はヘルプマークの方がいいかも」という声がありました。
ヘルプマークをつけた人を見かけたら、どうしたらいいのでしょうか?
神戸市が制作したチラシの裏には、具体的にできるサポートの例が書かれています。
「公共交通機関では、席をお譲りください」
「駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をお願いします」
「マークや(ヘルプ)カードに記載された内容に従って配慮・支援をお願いします」
「災害時は、安全に避難するための支援をお願いします」
山下さんは、「『困りごとはありませんか?』と声をかけるのはハードルが高いと思いますが、危なくないか見守って、危なかったら声をかける。気にしていただくだけでも違います」と話します。
ポスターがSNSでたびたび話題になり、担当したメンバーたちも喜んでいるそう。「広まってくれることもうれしいですし、『分かりやすい』という声がたくさんあり、ポスターを作った意図をくみ取ってくれる方がいてうれしいです」
引き続きヘルプマークを広く知ってもらうための広報をしていくと話しています。
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