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「偉人と対面できた」銅像探偵団が語る魅力 DOUZOファイブとは

大河ドラマ「光る君へ」の主人公でもある紫式部の銅像。日本に女性の銅像はどのくらいあるのでしょうか
大河ドラマ「光る君へ」の主人公でもある紫式部の銅像。日本に女性の銅像はどのくらいあるのでしょうか 出典: 2023年、福井県越前市の紫式部公園、乗京真知撮影

目次

最近、銅像が気になってしょうがありません。誰の銅像が多くて、女性の銅像はいくつある? 近年の流行は? さまざま調べていたところ、ネット上で各地の銅像を集めたサイト「日本の銅像探偵団」を発見しました。いったいどんな探偵団なのか…主宰者に話を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・山下知子)

偉人と「ご対面できた」 銅像の魅力

主宰している関東在住の遠藤寛之さん(50)が探偵団を始めたのは2003年。歴史が好きで、江戸城を築いた太田道灌(1432~86年)にはまり、道灌の銅像11体(現在は15体)をめぐったのが開設のきっかけです。

「偉人が3次元で建っているってすごくないですか。『ご対面できた』と感じられるのは、銅像の一番の魅力です」

北は北海道から南は鹿児島まで約20人が「団員」として銅像の情報を寄せています。退職後の趣味としている男性が多い一方、女性団員もいます。

東京帝国大総長や文部大臣、枢密院議長を務めた濱尾新像=2024年5月10日、東京都文京区の東大・本郷キャンパス
東京帝国大総長や文部大臣、枢密院議長を務めた濱尾新像=2024年5月10日、東京都文京区の東大・本郷キャンパス

銅像とひと口にいっても、奈良の大仏や、裸婦像に代表される街のパブリックアートなど、種類は様々。探偵団では「功績をのこした人物を顕彰するために建てた偉人顕彰像」と、アニメ関連の像を対象としています。

現在、探偵団のサイトには5000体の銅像情報があります。存在は確認しているものの、情報が寄せられていない銅像約千体については「指名手配」し、情報提供を呼びかけています。

名だたる「DOUZOファイブ」とは?

そんな銅像の世界で、「誰」の像が一番多いのでしょうか。

答えは浄土真宗を開いた親鸞(1173~1262年)。探偵団によると、全国で2000体近くあります。

遠藤さんは「当初は、真言宗を開いた空海(774~835年)かと思っていましたが、確認できた銅像数や、浄土真宗の寺院数などから親鸞に軍配をあげました」。

なお、銅像と聞いて多くの人が思い浮かべる、高知・桂浜の坂本龍馬▽仙台の伊達政宗▽上野の西郷隆盛▽渋谷のハチ公▽札幌のクラーク博士――の5銅像を、遠藤さんは「DOUZOファイブ」と名付けています。

東大の銅像19体、すべて男性とオス 探偵団では?

この5月、記者は東大キャンパス内で銅像めぐりをしました。19体すべてが男性とオスでした。

【関連記事】犬の像もオス 「東大が男だらけ」でなぜ困るのか 副学長の危機感
https://asahi.com/articles/ASS5X0C2QS5XULLI002M.html

探偵団で確認した約5000体のうち、女性の銅像はどれくらいあるのでしょうか?

遠藤さんが改めて数えてみたところ、単体だと100体ちょっと。夫婦像を含めると200体近くあることが分かりました。

日本の歴史や社会を反映してか、やはり女性は圧倒的に少ないようです。

銅像製造で知られる富山県高岡市の竹中銅器にも尋ねました。

竹中伸行社長(61)も「女性は少ない」ときっぱり。これまで造ったことがある実在の人物は、隣県・福井ゆかりのお市の方や紫式部。「ただ、アート作品だと圧倒的に女性が増えます」とのことでした。

遠藤さんが女性銅像を分析したところ、単体では「創業者の妻」が多かったそうです。

「夫婦像も合わせて考えると、いわゆる『内助の功』をたたえてきた文化が背景にあると思います」と言います。

女性で最も数が多かったのは、「日本のナイチンゲール」と呼ばれる瓜生岩子(1829~97年)の銅像。今の福島県喜多方市に生まれ、明治時代、孤児や窮民の救済などに尽力しました。同県内を中心に6体、確認されています。

東京・浅草の浅草寺にある像は、女性の銅像としては最も古い明治34(1901)年にできたそうです。

東京・浅草寺の瓜生岩子の銅像=2017年
東京・浅草寺の瓜生岩子の銅像=2017年

アニメの銅像も… 銅像から歴史を辿る楽しさ

さて現代。近年は、アニメの銅像が増えているそうです。

「ゲゲゲの鬼太郎」などの銅像が並ぶ、鳥取県境港市の取り組みが街おこしの成功例として知られ、各地のアニメ銅像設置の火付け役になった、と遠藤さんはみています。

なお、数の上でも圧倒的王者は「ゲゲゲの鬼太郎」。妖怪を含め、約170体あるそうです。

遠藤さんが今、最も見に行きたい銅像もアニメ関連です。

2020年に大分県日田市の大山ダムにお目見えした、人気漫画「進撃の巨人」の主人公らの像。同市は作者・諫山創さんの故郷で、巨大なダムの壁を主人公らが見上げる構図になっています。

大山ダムを壁に見立てて設置された人気漫画「進撃の巨人」の主人公らの像=2020年、大分県日田市、寿柳聡撮影
大山ダムを壁に見立てて設置された人気漫画「進撃の巨人」の主人公らの像=2020年、大分県日田市、寿柳聡撮影

遠藤さんは「ダムマニアではないけれど、ダムとセットでぜひ見たい」と話します。

改めて、銅像の魅力とは?

遠藤さんは「銅像でその人を知り、そこから歴史をたどる楽しさがあります。有名人でも『なぜその場に建っているのか』という問いから、その地域の物語を知ることができます」。

銅像をめぐる旅はこれからも続けていくそうで、「沖縄で、琉球王朝第二尚氏の始祖・尚円王の像も見たいですね。騎乗姿がかっこいいんですよ」と教えてくれました。

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