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〝性感染症がテーマ〟の音楽フェス?現状を打破したい…主催者の思い

〝自分事〟化するために、同じ目線で。

性感染症がテーマのフェス?写真はイメージです=Getty Images
性感染症がテーマのフェス?写真はイメージです=Getty Images

目次

性感染症の予防が大事だと分かっていても、なかなか具体的な行動は起こせない――。そんな課題感から、若者が多く集まる渋谷で、ラッパーのあっこゴリラさんたち6組のアーティストが出演するフェスが開催されます。なんで音楽フェスで性感染症の予防啓発?主催者に話を聞きました。

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なぜ性感染症のイベントが「フェス」?

渋谷区のMIYASHITA PARK(宮下パーク)の芝生ひろばで、14日に開催される「BLUE HANDS TOKYO」は、性感染症をテーマにした音楽フェスです。

性の語りにくさや風潮に対して、アプローチするソーシャルプロジェクト「#しかたなくない」が企画し、オンライン・ピル処方サービス「スマルナ」などを展開する株式会社ネクイノが主催のこのイベント。担当者に話を聞きました。

「BLUE HANDS TOKYO」=主催者提供
「BLUE HANDS TOKYO」=主催者提供

――性感染症予防のイベントで「フェス」という形態をとることに新鮮さを感じました。著名人の登壇イベントなら聞いたことがあったのですが……。

#しかたなくない・田中佳佑(NEWPEACE Inc.)
「性感染症を予防しましょうと言われたとき、『そんなことわかっている』と考える人も多いでしょう。でも自分に限っては大丈夫と思っている方が大半で、検査するなどして具体的に自分事化することはできていません」

「その現状に対しては、上から説得するのではなく、みんなでミーム(文化の中で人から人へと広がる行動)を作る必要があります。だから今回は、参加者が同じ目線で盛り上がるフェスの構造を活用したいと考えました」

「参加アーティストにフェスの出演を依頼する際も、内容を丁寧にお伝えし、課題認識を共有してくれる方にお願いしました」

増える梅毒感染者「啓発は空中戦ではなく…」

――主催のネクイノは、性感染症の郵送検査キット「smaluna check(スマルナチェック)」 のサービスも展開しています。国内の性感染症の現状に課題を感じているのでしょうか。

ネクイノ代表・石井健一
「若い人たちの間で梅毒の感染が増えています。いろんな背景があるので、感染拡大の要因はひとつには絞れません。しかし、弊社ではオンラインのピル処方サービスを展開していることもあり、周辺領域の課題解決もやりたいと考えて、フェスの主催に手を挙げました。『#しかたなくない』の考えにも賛同しています」

【国立感染症研究所によると、2013年からの10年間で、梅毒の男性患者は10倍、女性は23倍に急増。20代の女性や、20~50代の男性で特に増加している】
梅毒、身近な病気に…男性10倍・女性23倍 早期治療が大切な理由

「避妊や生理のトラブルを緩和するための低用量ピル、緊急避妊薬のアフターピルについては、社会的な認知も徐々に広がってきたと感じています。一方で、性感染症のリスクは自分事になっていないと感じます。その啓発は、空中戦ではなく地上戦でやった方がいいという思いがあり、フェスというかたちが有効だと感じています」

【スマルナがインターネットを通じて性感染症検査について調査した際、535人のうち65.8%が「性感染症検査を受けたことがない」と回答。その理由について尋ねると、77.3%が「思い当たる症状がないから」と答えた】
【スマルナユーザー535人に聞きました】女性の健康に関する意識と行動の関連性からみる婦人科へのアクセスと課題について
スマルナの調査結果=主催者提供
スマルナの調査結果=主催者提供

意識高い人だけが集まる場所はNG

――今回のイベントがフェスというかたちをとったことにも驚きましたが、場所が渋谷であることにも、狙いを感じました。

石井「渋谷は若者文化が発展していて、新しく生まれる文化に比較的寛容な印象があります。そこで発信することに意味を感じていますし、渋谷の中でもシンボリックな場所である宮下パークでの開催に至りました」

田中「宮下パークで開催すれば『その辺を歩いている人』がふらっと参加しやすいのではないかと思いました。意識の高い人だけが集まる場所にはしたくないですし、出演アーティストを見たいという人や、たまたま立ち寄った人に、何か持ち帰ってもらえるといいと思っています」

2020年に開業した「MIYASHITA PAEK」=2021年6月、大野択生撮影
2020年に開業した「MIYASHITA PAEK」=2021年6月、大野択生撮影 出典: 朝日新聞社

パートナーとの関係「安心できる」ものなのか

――今回のフェスでは、メッセージボードへ記入をした人は性感染症の郵送検査キットを無料で配布するそうですね。参加者にどんな変化を期待していますか。

田中「『#しかたなくない』のプロジェクトは、社会の固定観念や慣習から、性や身体にまつわる様々な『諦め』を変えたいという想いから始まったものです。パートナーとその関係が安心できるものなのか、そしてその要素の一つとして『性感染症の予防』について話し合えるかどうかが、鍵になると考えます。もし話し合えたら、それは安心感につながるのではないでしょうか」

「フェスに参加した人には、そんなパートナーとの関係性への『気付き』を与えられたらいいなと思います」

石井「性や身体にまつわる課題は、身近にあります。誕生日や結婚記念日など、きっかけを作り、年に何回かでいいので考えてもらえたらいいなと思っています。フェスがそのきっかけになればいいなと思っています」


     ◇
「BLUE HANDS TOKYO」は14日、渋谷・宮下パークの芝生ひろばで開催。12時開場、12時半開演。入場は無料。参加アーティストはあっこゴリラ、ラブリーサマーちゃん、maco maretsなど計6組。メッセージボードへの記入をした人には性感染症の郵送検査キット「smaluna check(スマルナチェック)」を無料で配布。

詳細はこちら https://shikatanakunai.com/event/2218/

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