MENU CLOSE

連載

#4 withHealth

ジムでよく聞く「InBody」の正体 創業者はどんな人?今後は?

トレーニーの知名度が高い「InBody」を製造するメーカーはどんな会社なのか。※画像はイメージ
トレーニーの知名度が高い「InBody」を製造するメーカーはどんな会社なのか。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

一般的な体組成計より高精度と認知されている体成分分析装置のInBody(インボディ)シリーズ。国内でも医療機器として病院などに導入され、プロスポーツ選手にも利用されています。しかし、韓国に本社を置き、世界に展開する同社は、創業者や今後の目標など、謎も多い企業です。どんな会社で、どんなことをしていくのか、日本法人のインボディ・ジャパン社を取材しました。(朝日新聞with Health)
【PR】進む「障害開示」研究 心のバリアフリーを進めるために大事なこと

韓国のいち研究者が立ち上げ

ジムやヘルスケア施設をよく利用する人は「InBody無料測定」といううたい文句を見かけたことがあるのではないでしょうか。

これは、国内でも複数の製品がクラスⅡの管理医療機器の承認を取得し、病院などに導入されるほか、プロ野球チームや大学駅伝チームなど、数多くのスポーツ選手にも利用される高精度体成分分析装置であるInBody(インボディ)シリーズのことです。

InBodyでは、体脂肪量や筋肉量、細胞内外の水分の分布を、一般的な体組成計よりも詳細に計測できます。

主力である上位モデルの価格は300万円弱。「無料測定」のうたい文句が成立するのは、普段なら一般にはなかなか利用できない製品を、手軽に利用できるからです。

一般的な体組成計よりも高精度であることが知られ、スポーツ紙などでは、「InBody」が体組成の測定結果を示す一般名詞のように使用されることもあります。

しかし、このInBodyを製造・販売するインボディ社のことは、あまり知られていません。そもそも、同社は韓国に本社を置き、世界110カ国以上に展開するグローバル企業。創業者でありCEOは韓国出身のKichul Cha氏です。

Cha氏は1958年に韓国の大田で生まれました。1980年に延世大学の機械工学科を卒業、1982年に韓国科学技術院(KAIST)で機械工学の修士を取得した、もともとは工学系出身の人物でした。

1992年に米国ユタ州立大学で生体工学の博士課程を修了、その後ハーバード大学医科大学博士課程に入学し、90年代初期に研究員の職にあるとき、体組成を正確に分析する方法を研究していました。
 

売上高は200億円、9割が海外

自身が開発した技術をもとに、Cha氏は1996年、韓国のソウルにインボディ社の前身になるバイオスペース社を設立。その2年後、最初のInBodyプロダクトが誕生しました。

日本を含む競合他社との市場の奪い合いにより、売上が低迷した時期もありますが、同社は「過去25年間で約20%ずつ成長してきた」とします。2022年の売上高は日本円で約200億円でした。

2000年に一つ目の海外の子会社がアメリカに置かれ、同じ年に二つ目として日本にも法人が設立されました。海外拠点は現在までに110カ国以上にあります。韓国国内では、研究者が立ち上げたベンチャー企業が、グローバルに成長した例として紹介されています。

実際に生産された製品のうち、医療用・専門家用の90%ほどが海外売上。韓国の天安工場で生産されるInBodyの90%が輸出されています。

日本法人のインボディ・ジャパン社によれば、現在国内では医療用・専門家用のInBodyが全国に1万5000台以上、普及しており、特に医療用のInBodyの導入がメインの事業になっているということです。
 

体組成のビッグデータを活用

独自技術により、他の体組成計より測定の精度が高いという評判が広がりますが、実は同社はその詳細については、企業秘密として開示していません。そこで世界中の研究者たちは、こぞってInBodyによる測定結果を検証してきました。

その結果、プールに人を沈めて体積と密度を求めたり、X線を照射して透過率の差を比べたりする、科学的により正確とされる体組成の測定法と、InBodyの測定結果が高い相関を示しました。つまり、前述の評判は結果論で、現在も検証は続いているといえます。

インボディ社は2023年3月、世界初をうたう試みとして体成分のビッグデータを公表しました。世界に蓄積されたInBodyによる測定データを基に、国や性別、年齢により異なる体組成変化の様相やトレンドなどを紹介するものです。

2023年12月時点で、世界中に蓄積されたInBodyの体組成データは約1億件に上ります。

同社は体組成のバランスを通じて、病気になるメカニズムや、健康になるための方法がわかるとします。テクノロジーの発展によりデジタルヘルスケアの重要性が増す中、同社は韓国本社にデータサイエンティストを雇い、解析を進めていることを明かしています。
 

withHealth関連記事】
Haruhiさん 歌い踊り、全国からファンが集う「暗闇フィットネス」インストラクター - 朝日新聞デジタル

連載 withHealth

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます