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イルカ、アザラシの「避難」受け入れ のとじま水族館への恩返し
1日に起きた能登半島地震によって、半島の中央部にある「のとじま水族館」も配管が壊れるなど被害を受けました。のとじま水族館は、飼育が難しくなったイルカやアザラシ、カワウソを近隣の動物園や水族館に受け入れてもらっています。受け入れた水族館には「昔の恩返しをしたい」という思いがありました。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)
石川県七尾市にあるのとじま水族館は、1日に発生した能登半島地震で配管が壊れたり、水を濾過(ろか)する装置が壊れたりと甚大な被害を受けました。
水族館のホームページには「地震の影響のため、当面の間休館させていただきます。営業再開のめどにつきましては随時HPで情報を発信いたします」と書かれています。
9日には、飼育していたジンベエザメの「ハチベエ」(オス)が死んだと発表しました。地震で設備が壊れ、水槽内の環境が悪化したことが原因とみています。
動物たちを安全に飼育できなくなったとして、のとじま水族館は急きょ、動物をほかの動物園や水族館へと「避難」させました。
石川県能美市のいしかわ動物園は4日、ゴマフアザラシ2頭とコツメカワウソ2頭を受け入れました。
いしかわ動物園は地震後、園内を点検して安全が確認されたことから、2日以降も通常どおり開園。「今後は4頭の健康状態を注意深く見極めながら飼育していきます」としています。
こういった動物の避難については、⽇本動物園⽔族館協会(JAZA)と⽇本⽔族館協会が調整をしたそうです。
JAZA安全対策委員⻑の辻本恒徳さんは「現状で、のとじま水族館からは他の動物の移送について要望はないですが、今後のことも考えて全国の動物園へ連絡して、受け入れの調整を続けています」と話します。
福井県坂井市の越前松島水族館には6日、カマイルカ2頭とゴマフアザラシ1頭が移されました。職員5人を派遣し、トラックで運んだそうです。
越前松島水族館の松原亮一館長は「配管やプールが壊れたり、水温を保つ装置やろ過装置にも被害が出ていると聞いています。できる限りのことはしたいと思いました」と話します。
実は越前松島水族館は、1997年に日本海で発生したナホトカ号重油流出事故のときに、のとじま水族館にイルカ3頭を預かってもらったという過去がありました。
松原館長は「重油流出事故の時は、うちも全国にSOSを出して助けを求めました。自分たちがどうにもできない非常事態に、手を差しのべてくれたことは本当に心強かった」といいます。
「今回は地震災害で、当時とはかなり状況が違うかもしれませんが、恩返しの気持ちも込めて、預かった動物たちを大切に飼育したいです」
現在、のとじま水族館から来たイルカとアザラシの3頭はとても元気に過ごしているということです。
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