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お金と仕事

清掃工場で大晦日の夜勤「覚悟は決まってる」 収集なくてもフル稼働

「当然、紅白なんか見れませんよ」

光が丘清掃工場で働く小坂正幸さん(左)と、柴山幸康さん
光が丘清掃工場で働く小坂正幸さん(左)と、柴山幸康さん

目次

大掃除、始めましたか? 年末年始は多くの自治体でゴミ収集がストップしますが、そのゴミが集まる清掃工場は、年末年始も稼働しています。

年末は敷地内で収集車混雑

清掃工場で働き始めて17年になる小坂正幸さんと、16年になる柴山幸康さんの現在の勤務地は、練馬区にある、光が丘清掃工場です。
光が丘清掃工場は、2021年に建て替えが終わったばかりで、一日あたり300トンの焼却能力があります。

清掃工場は一般的に、12月20日以降が繁忙期とされることが多く、その理由はやはり年末の大掃除による家庭ごみなどの増加です。
小坂さんは「敷地内で、ごみ収集車が普段以上に混雑する日が続きます」と話します。

2021年に建て替えが終わったばかりの、東京都練馬区にある光が丘清掃工場
2021年に建て替えが終わったばかりの、東京都練馬区にある光が丘清掃工場

24時間、ゴミは燃やされている

ゴミの搬入は主に日中に行われますが、実は清掃工場は24時間ゴミを燃やし続けています。その理由は「止めてしまうと不経済だから」と小坂さん。
どういうことかというと、焼却炉を一度止めてしまうと、元の温度に戻すのに1日かかり、その間、都市ガスを使用する「助燃ガスバーナー」を使い続ける必要があります。

一方、燃やし続けていれば、追加の都市ガスは必要なく、効率的にゴミを燃焼処理しつつ、燃焼によって発生する熱エネルギーによる発電も続けることができます。

他にも、止めてしまうと焼却炉が傷んだり、環境にもよくないという事情もあります。

そのため、清掃工場でゴミを燃やさないのは年に数週間の点検や部品交換のときのみになります。

年末年始勤務を振り返る小坂正幸さん(左)と、柴山幸康さん
年末年始勤務を振り返る小坂正幸さん(左)と、柴山幸康さん

年度初めにわかる年末の勤務

清掃工場で働く人は大きく4つの係に分けられます。「管理係」「技術係」「整備係」「運転係」です。
中でも小坂さんと柴山さんが所属する「運転係」は、夜勤のある職場です。日勤、夜勤、夜勤明け、休日の4日間を一つのサイクルとして勤務します。

「決まったサイクルだから、年度の初めにすぐに勤務表が出る」といい、年間の勤務表が出たときに最初に目がいくのは、やはり年末年始の勤務だといいます。
過去には3年連続で31日の夜勤にあたった経験もあるという小坂さんですが、「運転係になった時点で覚悟は決まっています」と笑い飛ばします。

小坂さんが清掃工場で17年間勤務した中で、運転係に配属されたのは6年間。柴山さんは16年間の勤務のうち、運転係に配属されたのは10年間でした。大晦日が夜勤にある年もありましたが、二人とも年始年末が夜勤だったからといってがっかりはしない」といいます。

休憩室で年越しそば、つかの間の大晦日

小坂さんに、大晦日が夜勤だった日の思い出を聞くと、「おそばを買って勤務に入ることかな」。

日中に家族と年末年始の買い出しに行き、夕方、おそばや天ぷらを買って夜勤に入ったといいます。「夜勤に入るのは6人。その中で全員分をまとめて私が買い出ししたこともありました」

おそばは夜勤に入る全員分を先に茹でておき、休憩に入るメンバーから、順々に休憩室で年越しそばをすすり、そこでひとときの大晦日気分を味わうのだといいます。

勤務中は、焼却炉などの監視のため、モニターで常に工場内の状況をチェック。焼却炉で異常が発生するなどした場合には警報が鳴り、すぐに不具合対応などの作業をしなくてはいけません。「当然、紅白(歌合戦)なんか見れませんよ」(小坂さん)

そして無事に年が明け、午前9時半の勤務交代時間を迎えると、日勤のメンバーと「あけましておめでとう」とあいさつを交わして、帰路につきます。

職員は、モニターで常に工場内の状況をチェックしています。
職員は、モニターで常に工場内の状況をチェックしています。

現金、指輪……大切なものなくさないためにも分別を

年間を通し、小坂さんに清掃工場で起きた印象的な出来事を聞くと、「現金や指輪、数百万円の時計を探しに来られる人もいました」。ただ、誤って捨てたことに気付き清掃工場まで足を運んでも、ゴミをためておく「ごみバンカ」に投入された後だと、見つけるのは至難の業だといいます。千数百トン単位でゴミをためておけるバンカ内では、ゴミ内容の偏りを均等にするためにクレーンで混ぜる「攪拌(かくはん)」という作業もなされています。

「いままで見つけた人を見たことはありませんし、ごみバンカは酸欠になる恐れがあり大変危険なところで、入ることはできません」

分別をおろそかにすると、大切なものがまぎれこむ場合もありますが、リチウムイオン電池など、火災につながる可能性がある危険なものもあります。鉄くずが紛れた場合には、機械のすき間に挟まってしまうため、一旦焼却炉などを呈しさせて取り除く作業が発生します。

このようなことも含め、小坂さんはゴミを出す前に「しっかりと分別をしてほしい」と呼びかけます。

24時間体制でゴミの焼却と、それに伴う発電の様子を見守る清掃工場。年末年始、ゆっくりと過ごせる「日常」を支える人たちがいます。

光が丘清掃工場の「ごみバンカー」の中の様子
光が丘清掃工場の「ごみバンカー」の中の様子

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