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「心身をすり減らして向き合う」親も…子どもの付き添い入院を語る
俳優の石田ひかりさんや病院関係者らがトークセッションを開きました
「たまには1人になりたい時がある。少しでもリセットできたら、また笑って子どもと向き合えるのに」ーー。子どもの入院に付き添う親たちは、ほぼ24時間つきっきりで世話をし、食事はコンビニ、睡眠は簡易ベッドという環境で過ごすことがあります。付き添い入院の現状やサポートを知ってもらおうと、12月上旬、俳優の石田ひかりさんや病院関係者らがトークセッションを開きました。石田さんは「ご両親のご苦労は、私の想像をはるかに超えるもの」と語りました。
トークセッションは12月上旬、心臓などの病気の子どもが入院する榊原記念病院(東京都府中市)に、付き添う保護者向けの休憩スペース「ドナルド・マクドナルド・ファミリールーム」が設置されたことを記念して開かれました。
石田さんは、ファミリールームを開設した公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(DMHC)のアンバサダーを務めています。
DMHCは、付き添う家族の滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス(DMH)」を全国12カ所に展開しています。
DMHを何カ所も見学し、利用者と話したという石田さん。2人の娘を育てていますが、「利用する立場にならなければ、存在を知る機会がない」と感じたそうです。
「ご両親のご苦労は、私の想像をはるかに超えるものだと思います。日々心身ともにすり減らしてお子さんと向き合っている姿は、胸に迫るものがありました。少しでも、何らかの形でお力になれないだろうかと強く思いました」
ファミリールームの設置には、付き添う家族の声も参考にされました。同病院が事前にアンケートを採ったところ、次のような意見が集まったといいます。
「24時間ずっと共同生活をしているから、たまには1人になりたい時がある。子どもはかわいくて仕方ないし、そばにいたいけど、術後でずっと機嫌が悪かったり、泣かせないようにずっと気を張っていたりすると、少しでいいから離れたいって思ってしまう時もある。少しでもリセットできたら、また笑って子どもと向き合えるのに」
「(病状の悪化や予期せぬ手術の決定など)つらいことがあった時に、そっと泣いたり、気持ちを落ち着かせたりする場所がほしい。泣いていた顔で子どもの前には戻れないし、子どもの前では絶対に泣いているところを見せたくない」
食事に関する意見も多く寄せられました。
「給湯室の電子レンジを増やしてほしい。お弁当を温めるために数人が並んでいる。待つのはたった数分かもしれないが、精神的に不安定な我が子をベッドに置いていると、その数分がとても長く感じる。諦めて何度と並び直すこともあった」
「コロナの影響で病院外に出ることは禁止され、付き添いを交代することもできず、24時間子どもを見続ける。毎日コンビニ食は非常につらいものがあった」
同病院では付き添う保護者に食事の提供はないため、保護者はコンビニで買った食事をベッドサイドで食べているといいます。
保護者の切実な声を受け、ファミリールームには電子レンジ2台、トースター1台が設置されました。ミニキッチンも併設し、簡単な調理もできるそうです。
また、コーヒーや紅茶、フリーズドライのスープ、パン、くだものなど、軽食カウンターや冷蔵庫・冷凍庫には協力企業などから寄付された食品が並び、自由に食べることができます。
DMHCによると、「ドナルド・マクドナルド・ファミリールーム」は世界260カ所以上で開設されていますが、日本では初めて。DMHCのボランティアが中心となって運営され、保護者は無料で利用することができるそうです。
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