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#9 宇宙天文トリビア
ふたご座流星群が15日にピーク 「1時間に70個」8年ぶりの好条件
三大流星群の一つ「ふたご座流星群」が12月15日にピークを迎えます。なんと今年は8年ぶりの好条件。暗いところでは1時間に70個もの流星を見ることができそうです。また、ふたご座流星群のふるさととなる謎めいた天体への探査も計画されています。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)
12月15日の午前4時ごろ、ふたご座流星群がピークを迎えます。国立天文台によると、13〜15日の3夜にかけて見ごろとなり、どの日も午後9時ごろから見える流星の数が増え、夜明けを迎える翌朝の午前5時ごろまで観察できます。
最も多く見られるのは14日夜〜15日明け方にかけて。15日午前0〜3時ごろには、街の明かりなどがない暗い空であれば、1時間あたり70個ほど見える可能性があると予想されています。
また、今年は13日が新月でほぼ月明かりがありません。見られる流星の数はここ数年で最も多く、8年ぶりの好条件だそうです。
流星研究家の佐藤幹哉さんは「これを逃すと、次に同じくらい見られるのは2026年で、1時間に65個くらいです。31年には今年と同じくらいで、1時間あたり70個見られるでしょう」と話しています。
流星(流れ星)とは、宇宙空間にある直径1mm〜数cmほどのちりの粒が地球の大気に飛び込んできて大気と激しく衝突し、光を放つ現象です。
ふたご座流星群は、小惑星フェートンが放出したちりの帯に地球が突っ込むことで起きます。地上では、ふたご座の方向のある1点から流れ星が放射状に飛んでくるように見え、この点を「放射点」といいます。
流星は放射点から飛び出し、夜空のどこにでも現れます。ふたご座の方向をじっと見るというよりは、夜空全体をぼんやりと眺めるといいでしょう。街灯などがない方角を見上げ、目が暗さに慣れるまで15分間は観察し続けるのがコツです。
12月の夜はとても寒いです。防寒をしっかりして出かけましょう。
今、このふたご座流星群のもとになるちりを噴き出した小惑星フェートンへ探査機を送る計画も進んでいます。実は、フェートンの正確な形や表面の地形はよくわかっていません。
そこで、探査機で500kmの距離まで近づき、秒速36kmという高速で、すれ違いざまに天体の表面を撮影します。そしてその場で、フェートンが放出しているちりの成分を分析し、データを地上へ送ります。
打ち上げは2024年度を目指していましたが、打ち上げに使う小型ロケット「イプシロンS」の開発が遅れているために、25年度へと延期になりました。
探査計画の責任者で、千葉工業大学惑星探査研究センター所長の荒井朋子さんは「準備期間が1年増えるので、より入念に天体の観測を行い、打ち上げに備えたいです」と話しています。
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