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連載

#5 知っておきたい相続のこと

「子ども名義の口座」に親が貯蓄、税金がかかるケースは?節税対策も

相続問題に詳しい税理士に、相続ポータルサイト「相続会議」の編集長が聞きました

「子ども名義の口座」に親が貯蓄する際の注意点とは?(画像はイメージです)
「子ども名義の口座」に親が貯蓄する際の注意点とは?(画像はイメージです) 出典: Getty Images

目次

子ども名義の銀行口座をつくって、お金を振り込んでいる親は多いことでしょう。

「将来の子どものために」と考えてのことだと思いますが、所有者は親? それとも子ども? また、お金を子どもに渡すことに対し税金はかからないのでしょうか?

数多くの相続・贈与案件を扱う古尾谷(ふるおや)裕昭税理士に、相続ポータルサイト「相続会議」の岩井建樹編集長が聞きました。

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古尾谷裕昭(写真右)
ベンチャーサポート相続税理士法人(相続サポートセンター)代表税理士。年間1800件以上の相続税申告を行う。相続に関するYouTubeチャンネルを運営をしている。

岩井建樹(写真左)
相続会議編集長。お金について学ぶことで、お金の悩みを和らげられると考えている。子ども名義の口座に、お祝い金や児童手当などを振り込んでいる。

「口座の名義人=お金の所有者」ではない

ーー岩井編集長:子どもたち名義の口座を作って貯金しています。将来そのまま渡そうと思っているんです。

古尾谷税理士:その口座、誰が管理していますか?

ーー私です。

それだと、いわゆる「名義預金」にあたる可能性がありますね。

ーー名義預金とは?

預金の本当の所有者と、名義人が異なる預金のことです。

岩井さんの場合、いくら口座の名義人が子どもになっていたとしても、実際はその口座の出入金を岩井さんが管理しているのだから、岩井さんが所有者とみなされます。

ーー名義預金とみなされると問題はありますか?

注意点としては、子どもの口座を管理している親が亡くなった場合、その口座に入っているお金も相続税の課税対象となります。あくまで、そのお金は親の財産ですから。

したがって、相続税を減らすために、名義預金をたくさん作ってお金を移動させておいたとしても、自身の財産が減るわけではないので効果はありません。

ーー名義預金とみなされないようにするには?

名義人である子どもに口座やカードの管理を任せれば、その預金の所有者は、親ではなく子ども自身とみなされるようになります。子どもが実際に引き出した記録を残しておけば、証拠になるのでより確実です。

ーーなるほど。名義預金で相続税以外に注意することは?

さきほども説明しましたが、通帳の管理を子どもに任せてはじめて、預金の所有者は親から子どもに移ります。その時点で贈与も成立するので「親から一括してお金をもらった」とみなされ、預金の総額次第では贈与税がかかる恐れがあります。

ーーその金額は?

贈与税の非課税枠である110万円を超えた場合です。

ーー成人祝いに通帳を子どもに渡そうと思っていましたが、それまでに110万円を超えるかもしれません。

そうでしたら、110万円を超える前に、子どもに通帳の管理を任せましょう。110万円以内であれば、贈与税はかかりません。ある程度、子どもが分別のつく年齢になったら検討しましょう。お金を管理する勉強にもなります。
 

年110万円までならお金をあげても、非課税

ーー「贈与」との言葉がさきほどから出ていますが、詳しく教えて下さい。

自分の財産を譲ることを「贈与」と言います。贈与は、財産を渡す側の「あげる」という意思と、受け取る側の「もらう」との合意があれば成立します。

年間110万円までの贈与は非課税となり、それを超えると贈与税がかかります。なお、贈与税を支払うのは、あげる側ではなく、もらう側です。

ーーでは、母方と父方の2人のおじいちゃんから110万円ずつ、孫がもらっても非課税なんですね!

違います(笑)。もらった金額が基準になります。従って、この場合、孫は計220万円をもらったわけですから、110万円を超えるため贈与税がかかります。

ーー父方のおじいちゃんが、孫2人にそれぞれ110万円渡した場合はどうですか?

それは非課税です。もらった金額はそれぞれ110万円以内に収まるので。

ーーなるほど。お金持ちの祖父母から110万円以下であれば、毎年お金をもらっても非課税ってことですね。

そうです。ただし、注意点があります。いくら110万円以下は非課税だからといって、毎年決まった金額をもらうと、贈与税がかかる可能性があります。

例えば、祖父が毎年110万円を10年間にわたって、孫に送り続けたとしましょう。これだと「贈与を始めた時点で1100万円の金額を贈与するつもりだった」とみなされ、1100万円の一括贈与があった場合と同じ税金がかかる恐れがあります。

このような事態を避けるためには、贈与の金額を毎年変えるようにしたほうがよいでしょう。
 
【相続メモ】
その年の1年間で、贈与額が110万円以下なら贈与税がかからない仕組みのことを、正確には「暦年贈与」という。配偶者や子ども以外の人に行うこともできる。

贈与する側としては生前に財産を減らせるので、相続税対策として有効な手段となっている。

なお、贈与から3年以内に、贈与した人が亡くなった場合は、その贈与は無かったものとみなされ、相続税の対象となる(2024年からこの期間が「7年」に変更される)。

お互いの口頭の合意でも贈与は成立するが、第三者から「本当に贈与があったのか」と疑われないためにも、「贈与契約書」を作成するとよいとされている。
古尾谷さんが監修した著書「相続・贈与の超基本」(朝日新聞出版)がこのほど、出版された
古尾谷さんが監修した著書「相続・贈与の超基本」(朝日新聞出版)がこのほど、出版された 出典:『相続・贈与の超基本』(朝日新聞出版)

結婚、授業料、生活費の支援に税金はかからない

ーー子どもが遠方の大学に進学した場合、授業料、家賃、生活費の仕送りで、あっという間に110万円を超えてしまいそうです。この場合、贈与税はかかりますか?

教育費や生活費の援助であれば、仮に110万円を超えても非課税です。結婚費用の援助も同様に課税対象となりません。

ただし「必要な都度」が条件です。数年分の費用を先払いでまとめて渡せば贈与税はかかります。

ーー孫の生活を支援した場合は?

祖父母と孫の関係でも、「必要な都度」の生活援助は非課税です。

ーー年110万円の非課税枠以外に、税金を支払わずに、子どもや孫にお金を渡す方法があったら教えて下さい。

子どもや孫が住宅を購入するための頭金の援助金であれば500万円~1000万円までの贈与が非課税となる「住宅取得等資金の非課税制度」、教育費としての援助であれば最大1500万円まで非課税となる「教育資金の一括贈与」があります。

また贈与するときは最大2500万円まで非課税だけど、贈与した人が亡くなった時に贈与したお金を相続税の計算に足し戻す「相続時精算課税制度」という仕組みもあります。この制度を利用すると、年110万円以下まで非課税となる「暦年贈与」を使えなくなるという大きなデメリットがあります。

しかし、2024年から、2500万円の非課税枠とは別に、年間110万円までの贈与が非課税となる仕組みが、相続時精算課税制度の中に追加されます。使い勝手がよくなるため、利用者が今後増えるでしょう。

ーー難しい……いろいろな制度があることだけはわかりました(笑)。こうした制度をフル活用することで、お金持ちは節税するんですね。

そうですね。

ただし、それぞれの制度には適用条件があったり、注意点があったりします。贈与者の年齢、資産状況、家族構成によって、どの制度を活用すればいいかも異なります。

自己判断で利用してみたけど、「制度を十分に理解できていなかったばかりに、思ったほどの節税につながらなかった」なんてこともよくある話です。
 
ベンチャーサポート相続税理士法人(相続サポートセンター)の古尾谷裕昭税理士
ベンチャーサポート相続税理士法人(相続サポートセンター)の古尾谷裕昭税理士
ーーそもそも贈与ってバレるんですかね? 子や孫に手渡しでお金を渡してしまえば、バレないのでは?

バレるのは贈与のタイミングではなく、相続税申告のタイミングです。そのときに、税務調査(税務署による調査)に選ばれたら、過去10年分の預金通帳の出入金の履歴が調べられますので高い確率でバレます。

国税庁は「国税総合管理(KSK)システム」と呼ばれるシステムを使って、国民の相続税を含む過去の納税情報を一元的に管理し、税務調査の対象者の選定に活用しています。「手渡しなら、バレないだろう」と安易に考えてはいけません。

ーー税務署ににらまれたら、丸裸にされるってことですね... ちなみにバレたらどうなりますか?

ペナルティが科せられます。申告したけど納めた税金が少なかったのか、そもそも申告さえしていなかったのか、意図的に隠蔽したのかで重さが変わりますが、追加で税金を払わないといけなくなります。

制度を活用して税金を抑えることは問題ありませんが、ルールを守らない場合は、脱税です。絶対にやめましょう!!

ーー名義預金の話から、贈与、税務調査までと話しが広がりましたが、ルールを知っているかどうか、そのルールをうまく活用できるかが重要だと改めて感じました。

贈与や相続には税金を抑えるためのルールがあります。税理士であれば、税金を抑えることから税の申告までトータルに対応できますので相談してみて下さい。
 
相続会議> 
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