連載
#22 小さく生まれた赤ちゃんたち
1000g未満で誕生「生きていることが当たり前ではない」親の思い
アンケートには、500g台で生まれた本人からの声も届きました
息子は28週、700gで生まれました。
母親になった実感もないまま抱っこもできず、ただひたすら搾乳をする日々は本当につらく悲しいものでした。
我が子なのに、自分は何もしてあげられていない焦りや悔しさでいっぱいになりました。
体重が1g増えては喜び、綿棒で母乳を口に運ぶと一生懸命に吸う姿に日々希望を持てるようになっていきました。
やっと退院の日が決まった頃に、早産の原因となった病気がもとで生後2ヶ月で小児がんになり、そのまま抗がん剤治療が始まりました。
文字にするにはとても語れない入院生活でしたが、治療を乗り越え今6歳です。少し体の小さい笑顔のかわいい我が子は、たくましく成長しています。(兵庫県 女性 30代)
子どもは533g、23週4日で誕生しました。その1週間後に緊急オペをして人工肛門になり、合計3回の手術をしました。
人工肛門を閉じるまで7ヶ月の入院生活をしましたが、今は元気に幼稚園の年少さんでプールを習っています。身長、体重共に小さいですが元気です。(埼玉県 女性 40代)
2011年に次男は747gの超低出生体重児として誕生しました。切迫早産の疑いで妻が緊急入院してから約1カ月での出産でした。
帝王切開で誕生した我が子を初めて見たとき、正直ショックを受けたことを思い出します。体じゅう管だらけで、赤黒い肌の次男を見た時は不安しかありませんでしたが、幸い大きなトラブルもなく今を迎えています。
成長はゆっくりでしたが、現在は中学2年生になりサッカー部で毎日走り回っています。体つきは小柄ですが、部活に勉強に生活できている姿を見ると、小さく生まれたことに不安を抱いていたのがうそのようです。子どもの力は無限です!(長野県 男性 40代)
28週800g台で息子を出産しました。
まずはお母さんにほかの子と同じように「おめでとう」と声をかけてあげてほしいです。
命の危険があるため当然かもしれませんが、急な出産に戸惑い、体調も悪い中、リスクばかり説明されると本当に気持ちが落ち込みます。
我が子に会えてうれしいはずが、不安と心配ばかり。無事に退院するまでは周りに出産報告もできませんでした。せめて「おめでとう」の言葉を聞きたかったです。
ようやく1歳になりますが、成長は遅いです。育児本は全くあてになりません。それでも息子なりにゆっくり成長しています。早産児のお母さんたちに希望を持ってほしいです。
(広島県 女性 30代)
第2子を24週6日で出産しました。754gの女の子でした。
当時、まさか自分が緊急帝王切開をしなけばいけない重篤な状況だとは分からず、出産前後、不安で現実を受け止められませんでした。
そんな娘も小学校2年生。全く不安がないわけではありませんが、出産前後の不安は自ずと減りました。
あの時もっと、症例や事例を教えていただいていたら、安心してゆとりある子育てができたかも……とふと思います。(福岡県 女性 40代)
26週550gで生まれた息子が、中学生になりました。
胎児の発育遅延で緊急入院になった妊娠中、子どもは生きて生まれてくれるのか、どれぐらいの確率で無事に育つのか、障害が残るのか、病室のベッドの上でぐるぐると考え続けました。
その結果、「生きてくれたら、他のことは全部受け入れられる。生きてくれることだけを考えよう」と心が決まりました。
大きな問題はなく成長した息子ですが、体が弱くて心配なことだらけで、何度も寿命が縮む思いをしました。それでも、「生きていることが当たり前ではなかった、ありがたい」と思う気持ちがずっと支えになっています。(東京都 女性 40代)
次男は660gで生まれました。もうすぐ5歳になりますが、心配事ばかりです。
日々次男に対して「ごめんね」という気持ちが付きまといますが、毎月の受診で先生に「この子はこの子なりに成長してるよ!」と言ってもらい励まされています。
ただただ、「生まれてきてくれてありがとう」と家族みんなで感謝しています。大事な命を大切に育てていきたいです。(滋賀県 女性 40代)
私は23週3日526gで生まれ、181日で病院を退院しました。
現在は弱視がありますが、運動面などはいたって健康です。23年前生きるか死ぬか分からなかった私に、一生懸命蘇生措置をしてくれた先生方、ありがとうございました。
これからも困難なことはたくさんあるかもしれませんが、頑張っていけたらと思います。(東京都 女性 20代)
2500g未満で生まれる赤ちゃんは、「低出生体重児(ていしゅっせいたいじゅうじ)」と呼ばれます。日本人の平均出生体重は約3000gですが、約10人に1人が2500g未満で小さく生まれており、その割合は近年横ばいです。
低出生体重児の中でも、1500gに満たない赤ちゃんは「極(ごく)低出生体重児」、1000gに満たない赤ちゃんは「超低出生体重児」とされ、小さく生まれるほど病気や障害のリスクは高くなると言われています。
人口動態統計によると、2022年に生まれた日本人の子どもは77万759人。そのうち、低出生体重児は7.3万人(9.4%)で、1975年の5.1%から増加しています。極低出生体重児は0.7%、超低出生体重児は0.3%でした。
小さく生まれる背景には、早産や、双子などの多胎児の増加、妊婦への体重制限(やせ)や病気などが関係していますが、はっきりとした原因が特定できないこともあります。
背景のひとつである早産は、年間およそ20人に1人と言われています。早産は予防できるものではなく、母親が何かをしたから早産になるということではないそうです。
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