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#164 ○○の世論
岸田首相の内閣改造 副大臣と政務官は女性ゼロ、世論の受け止めは…
大臣の女性起用は最多タイ
先の内閣改造では、大臣に起用された女性が、これまでの最多と並ぶ5人に増えました。一方、あわせて54人いる副大臣と政務官の女性は、計11人からゼロに。内閣改造と自民党役員人事を、支持率アップにつなげたかった岸田文雄首相。そのもくろみは、うまくいったのでしょうか。9月16、17の両日に実施した世論調査で探ってみました。(朝日新聞記者・磯田和昭)
これまでの内閣で、女性が5人いたのは、2001年4月発足の小泉純一郎内閣と、2014年9月に安倍晋三首相が改造した内閣です。今回は、これらと並びました。
岸田首相も目玉をつくろうと、女性の大臣起用を増やしたようです。
調査では、女性を5人に増やしたことについては、「評価する」が62%で、「評価しない」(30%)をかなり上回っています。
5人に増やしたことを評価するかどうかが、岸田内閣の支持・不支持にどう関係しているのか見てみました。
「評価する」人では、内閣支持が49%と、全体の37%よりも高く、一定の支持押し上げ要因になったようです。
ただ、「評価する」人の中でも内閣不支持が43%と、かなりのボリュームを占めています。
大臣への女性登用というだけでは、5月の主要7カ国(G7)広島サミットの後、低迷が続いてきた内閣支持を大きく好転させる材料にはなっていません。
女性起用をめぐっては、改造の翌々日、驚きのニュースが飛び込みます。
54人いる副大臣・政務官が男性ばかりで、女性がひとりもいないのです。こんなことは2001年の副大臣・政務官ポストの導入以来、初めてです。
自民党に、そもそも女性議員が少ない、当選回数でみて「適齢期」の女性議員があまりいないという事情もあるようです。
けれど、首相官邸で撮った記念撮影が男性ばかりなのは、少し異様な感じもします。
この女性起用ゼロについて、どの程度問題だと思うか、4択で聞いてみました。
すると「問題だ」という回答は「大いに」(19%)、「ある程度」(34%)をあわせて53%。一方、「問題ではない」は、「あまり」(34%)、「全く」(9%)の計43%で、問題視する方がやや多い結果でした。
今回の調査で、岸田内閣の支持率は前回8月の33%から37%へと、やや上がりました。
仮に、副大臣・政務官に一定数の女性を起用していれば、「女性閣僚5人」による押し上げ効果が、さらにくっきりと表れた可能性もあります。
ちなみに、女性起用ゼロについて男女別に見ると、女性の方が問題視する割合がやや多いですが、傾向には男女差がそれほどありません。
女性起用といえば、自民党4役のひとつ、選挙対策委員長に小渕優子さんをあてたのも話題を呼びました。
調査の設問では、「4役」という表現では分かりにくいと思い、「自民党の重要ポスト」に起用したと説明したうえで、評価するかどうか質問しました。
結果は、「評価しない」が47%で、「評価する」の37%よりも多くなりました。
小渕さんは2014年、経済産業大臣になった直後に政治資金の不明朗な処理が発覚して大臣を辞任。関連する記録があったとみられるパソコンを事務所側がドリルで壊したとして、「ドリル優子」の異名をとりました。
今回の質問では、この件に触れていませんが、役員人事のあとも調査までに当時の様子がかなり報道されたため、評価があまり高くならなかったのかもしれません。
小渕さん起用は、男性で「評価しない」が52%で、女性より厳しめに見ています。
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