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#1 連載・移住リアリティー「子連れ脱出記」

徳島への〝子連れ移住〟は正解だったのか…激変した他者からの見え方

この夏、東京から移住したウェブメディアの編集長がつづります

連載・移住リアリティー「子連れ脱出記」:Z世代女性向けエッセイ投稿メディア「かがみよかがみ」編集長・伊藤あかりさんが、1歳の息子を連れて移住した先・徳島での生活をつづります
連載・移住リアリティー「子連れ脱出記」:Z世代女性向けエッセイ投稿メディア「かがみよかがみ」編集長・伊藤あかりさんが、1歳の息子を連れて移住した先・徳島での生活をつづります

目次

この夏、1歳の息子を連れて東京から徳島に移住した、ベンチャー企業でウェブメディアの編集長を務める伊藤あかりさん。移住を決めた理由や移住して気づいた〝価値〟についてつづります。

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<伊藤あかり>
Z世代女性向けエッセイ投稿メディア「かがみよかがみ」編集長。
2009年朝日新聞社入社。奈良、徳島で警察、高校野球、県政、災害などを記者として取材。紙面編集者を経て、2017年にミレニアル女性向けウェブ「telling,」の立ち上げに携わる。2019年に社内の新規事業コンテストに応募、「かがみよかがみ」を立ち上げ編集長に。事業移管により、2023年4月からサムライトへジョイン。現在徳島ミライラボ長として、「Z世代×地方創生×女性活躍」を軸に関西・四国から事業展開を始めている。
 

リモートワーク、1歳児の育児、消える家賃…

コロナ禍の功績として語られるリモートワークの普及。これによって、出社は週1~2回になった。

朝8時、子どもを保育園に送り届け、家で仕事。そして18時すぎにお迎えに行く。

気づけば、家と保育園の往復しかしていない。

東京の超ド真ん中に住んでいたこともあり、家賃がアホみたいに高い。この家賃はなんのために支払っているのか。

コロナ前なら「職場に近い方がいいモン!」と思えたし、出産前は「夜遊びしてもタクシーで帰れるモン!」「休みの日は気軽に映画館や美術館に行けるモン!」と納得して、高い家賃分の恩恵を受けていた。

だが、出社しなくてよし、小さい子どもがいるとなると、都心に住んでいる意味がない。逆に言うと、どこに住んでもやっていける、ということに気づいてしまった。

となると、私はどこに住みたいか。

もう答えは出ていた。

10年前に住んでいた、徳島に住みたい。

気持ちが決まってしまえばあとは早い。

ひらめいてから半年後、私は今、徳島市を代表する山・眉山(びざん)を一望するオフィスでこの原稿を書いている。

問い合わせ急増。私って人気者?

地方移住を決めてから、1歳の息子の保育園と、家探しに何度か徳島に通った。

そのたびに、徳島の友達が大歓迎会をしてくれた。

“徳島の友達”と軽く言ったが、政治家や起業家、地元のキーマンと、たかが私のためになぜこんな人たちが集まってくれているのか?と不思議だった。

実際に移住してからも、「Z世代マーケティング、地方創生、女性活躍に注力するための拠点を徳島にだす」と書いたプレスリリースを読んだ地元の新聞社、行政、企業の方からの問い合わせが相次いだ。

本来なら、私がドアノックでごあいさつに行くところを、なんと先方から「会いたいです! 会いに行きます!」と言ってくれるくらいだったのだ。

ちょっと待って。もしかして、私ってすごい人なの????

もちろん、そんなことを言いたいわけではない。

東京では埋没しがちな「ウェブメディアの編集長」も「Z世代マーケティング」も、徳島では珍しいのだ。そこに価値を感じて来てくれる方もいる。

「よう知らんけど東京からきた珍しい人」ブランディングがされているようにも思う。

私自身は変わらないけれど、他者からの見え方が変わった。

「どこで」「誰と」「何をするか」 優先順位は?

“人生の重要な決定事項は、3つあると僕は常々考えています。それは「どこで」「誰と」「何をするか」。〈中略〉そして一番大事なのが「どこで」。”

独立研究者・著作家・パブリックスピーカーの山口周さんは『どこでもオフィスの時代』(日本経済新聞出版)で言っていた。

確かに、「どこで」を変えただけで、「誰と」「何をするか(何ができるのか)」が大きく変わったように思う。

人も多いし、やることも多いし、やれることも多いのが東京だけれど、その分、マッチングがうまくいかないのが東京。

地方にも、東京で展開されているサービスを利用したい人はいるけれど、そのサービスは東京でしか利用できない。

そもそも「ない」から、顕在化されていないだけで、必要なニーズもあると思うのだ。

例えば、今、私は車がないのでカーシェアでもしようと思ったが、徳島で借りられるところは駅前の超一部。そして、シッターさんもいまだ見つからない。でもきっと、徳島にもシッターさん候補はたくさんいるはずなのである。

自分の仕事に引きつけると、私がこれからやろうとしているZ世代マーケティングは、東京で注目されている領域の一つだ。

一方で、地方では「この町にZ世代はいるかね?」みたいなことを聞かれたりもする。

いやいや、いけてるZ世代がたくさんおりますぞ! むしろ、日本全体で考えれば地方のZ世代の方が数は多いはず。

AI とかで技術や知識がコモディティー化(一般化)している昨今、場所を軸にした組み合わせ、マッチングに知恵を絞ることが、競争力になるんじゃないか。

「きっとZ世代はこういう感じ」と、東京のZ世代をみてバクッっとくくってしまいがちだけど、そこではすくいきれないニーズが、地方のZ世代にもあるはず。

すごくもなんでもない私が地方のお役に立てるとしたら、東京でやっていることを地方でやろうとしていることにあるのかなと思うのです。

日本の寿司職人が、アメリカに行った途端、破格の待遇で迎えられるのもそんな感じなのかもしれない。場所を変えるだけで、自分の価値は変わるのだ。

移住前に想定していたメリット……例えば
子どもの教育によさそう!(土日は山や川で遊び放題)
生活費も安く済む!(家賃が3分の1に、広さは1.5倍になりました)
おいしい食べ物がいっぱい!(野菜嫌いの息子がトマトを食べられるようになりました)
などなど。

それら以外のメリットもたくさん見えるようになってきた。

私が選んだ「どこで」は今のところ大正解!

とはいえ、まだまだ移住して1カ月。

これからこの連載では東京から地方に移住して感じたことなどを書いていきたいと思います。

◆伊藤あかりさんのXアカウント @korapea(https://twitter.com/korapea)
◆伊藤あかりさんが編集長を務めるメディア
「かがみよかがみ」https://mirror.asahi.com/
   ◇   ◇   ◇

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Z世代女性向けエッセイ投稿メディア「かがみよかがみ」編集長・伊藤あかりさんが、1歳の息子を連れて移住した先・徳島での生活をつづります。不定期連載。

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