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「休んでいるわけじゃない」 警察官が制服で買い物OK、始めた理由
「今日からは制服を着たまま、警察官がコンビニなどで買い物をします」。福井県警は15日から、こんな取り組みを始めました。このニュースは、ネット上で好意的に受け止められる一方、「今まではダメだったの?」と驚きの声も上がりました。実は「制服での買い物解禁」の流れは他の都道府県警でも続いています。福井県警の担当者に話を聞くと、取り組みの狙いや背景が見えてきました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)
5月15日から、福井県警ではパトロールなどの途中で警察官が制服のまま、コンビニなどで買い物をする取り組みを始めました。
地元のテレビ局などがこのニュースを取り上げたところ、SNSでも話題に。
「むしろ今までダメだったのがびっくり」「福井県警だけの話なのかな」「うちの地元では前から制服姿で買い物していた」など、様々な反応が寄せられています。
どうしてこのような取り組みを始めたのでしょうか。
福井県警警務課の広報担当者によると、これまでも制服姿での買い物を明確に禁止していたわけではないものの、「『仕事中なのに休んでいる』と誤解を招く恐れがある」ことから、実際には私服に着替えたり、制服が見えないようにジャンパーを羽織ったりしていたそうです。
また、パトロールの途中で買い物をしなくても済むよう、1日分の飲食物を買い込んでから出発するという運用も多かったそうです。
ただ、夏場のパトロールでは、汗をかいて追加の飲料購入が必要になったり、買い込んだ食料が暑さで傷んだりするリスクもありました。
内部では「私服に着替える時間が業務の効率を落としている。事件事故の発生時に遅れを招く恐れもある」という指摘もあったそうです。
防犯の上でも、制服姿での買い物にはメリットがあると言います。
一つは、制服を着た警察官の姿をあえて見せることで、万引きや強盗などの犯罪を思いとどまらせる抑止力になるという効果です。
また、大きな問題になっているのが、コンビニで買えるプリペイドカードなどを利用した特殊詐欺。
コンビニ店員の機転が被害の未然防止に役立ったケースも多く、県警では買い物の際に店員に呼びかけをすることで、注意喚起につなげたいという狙いもあるそうです。
広報担当者によると、今のところ、県民からは好意的な反応がほとんどだと言います。
担当者は「市民の安全、安心が一番の目的だと伝えていきたい」と話しています。
「制服OK」とする都道府県警は他にもあります。
ここ数年、メディアに取り上げられた事例だけでも、19年には三重県警、21年には長野県警、22年には大分県警が制服での買い物を解禁しています。
レジでの会計の際に店員に対し「ATMの前で電話している人がいたら声をかけて」といった注意喚起をするなど、パトロールの一環という役割も果たしています。
警察官が効率的に仕事をできるようになるだけでなく、防犯上のメリットもある「制服OK」。
取り組みを知った人からは「全国で当たり前になればいいな」といった声が上がっています。
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