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#5 「健康にいい」の落とし穴

健康診断「年2回」の人はなぜ? 「健診」「検診」どう違う?

勤め人にとっては定期的に健康を意識する機会になるが……。※画像はイメージ
勤め人にとっては定期的に健康を意識する機会になるが……。※画像はイメージ 出典: Getty Images

目次

新入社員に向けた健康診断が済み、5~6月は勤め人にとっての健康診断シーズンとされます。この健康診断は年1回の人と、年2回の人がいることを知っているでしょうか。また、よく見かける「健診」と「検診」の違いは。身近でありながら、実はよく知らないこともある健康診断の素朴な疑問に答えます。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
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「健診」「検診」どう違う?

そもそも、健康診断、あるいは健康診査とは、厚生労働省によれば、「体の健康状態をある尺度で総合的に確認するプログラム」のこと。略して「健診」と呼ばれます。

健康診断には大きく2つの種類があります。1つは労働安全衛生法などの法律によって実施が義務づけられた「法定健診」(定期検診)、もう1つは個人が任意で受診する「任意健診」です。

「法定健診」は従業員以外にも、乳児、妊婦、市民など、対象によって内容が定められます。検査項目は問診(既往歴や業務歴、自・他覚症状の有無を確認)、身体測定、視力・聴力検査、血圧測定、便および尿検査、胸部X線検査など10数項目に及びます。

また、生活習慣に起因する病気の予防のために、40歳以上には「特定健康診査」(いわゆる“メタボ健診”)として、血液検査、肝機能検査、血中脂質検査、空腹時血糖、心電図検査なども加わります。

一方、「任意健診」とは、いわゆる“人間ドック”などのこと。法定健診よりも多く、高度な検査が行われますが、費用が自己負担で高額になるため、健康保険などからの補助や法定健診と併せて実施することで費用の軽減を図る場合もあります。

ちなみに、「検診」は例えば「がん検診」など「特定の病気を検査するために体のある部位を検査すること」で、健診とは違うものです。

「年2回」の人はどんな人?

この健康診断、実は「年1回」の人と「年2回」の人がいることを知っているでしょうか。従業員に対しての健康診断は労働安全衛生法に基づき行われ、事業者は従業員に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。また、従業員は、事業者が行う健康診断を受けなければなりません。

ここで、事業者が実施しなければならない健康診断は「雇入時健康診断」「一般健康診断」「特定業務従事者健康診断」の3つ。

このうち、一般健康診断では「常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施する必要があります」とされます。そして、特定業務従事者健康診断では「有害業務に常時従事する労働者に対して、6カ月以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を実施する必要があります」とされます。

ここで言う有害業務とは、「深夜業務」「暑いところや寒いところでの業務」「有害物質を取り扱う業務」「通常とは異なる気圧や振動に曝される業務」など。こうした業務を担当する従業員は、健康診断が年2回になることがあります。

また、こうした業務を担当しなくても、あるいは「常時」の基準(深夜業務なら午後10時から午前5時までの間の業務を1週に1 回以上、または1カ月に4回以上)を満たさなくても、福利厚生として会社負担の健康診断を行う企業もあります。

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世の中で「健康にいい」と言われていることや、イメージされることは、よく考え直してみたり、正しい知識を持ったりすると、実は“そうでもない”ばかりか、かえって健康から遠のいてしまうことも――。身近なトピックをフカボリします。

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