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おやゆび姫みたい! 座ると〝花〟に包まれるイス 「食虫植物」感も
子どもを対象にしていますが、大人も座れます
「かわいい」「シュール」「おとぎの国」ーー。アンデルセン童話「おやゆび姫」の世界をイメージした子ども用のイスが、SNSで話題です。座ると、〝花〟に包まれるようなイスが誕生したきっかけを聞きました。
作者のつちやさんによると、「おやゆび姫の椅子」は座面がオレンジ色と黄緑色の2種類あり、未就学児か小学校入学ごろの子どもを主な対象としています。
小学校入学前後の子どもが座ることによって体重がかかり、「ふわぁっと閉じる」ように設計されているそうです。
大人も座れるサイズですが、勢い良く座ると〝花〟が急に閉じるため、「スリルがあってびっくりする人もいる」といいます。
童話のような世界観のイスは、何をきっかけに作られたのでしょうか?
つちやさんは、「カリモク家具さんから、製品を作ったときに出る端材で何か作れないかと依頼をいただいたことがきっかけです」と話します。
イスを作ったのは2019年のこと。家具メーカー「カリモク家具」(以下カリモク)とのコラボレーション企画で、販売用ではなく子ども向けのイベントに展示する作品として5、6案デザインした一つが「おやゆび姫の椅子」でした。
「カリモクさんからもらった端材の資料の中に、弧を描く面の端材があり、包み込む感じで使えないかと考えました。端材というと『余り物』のイメージですが、『余り物』からお姫様を包み込むお花を作れたら意外性があっていいかなって」
設計図をカリモクへ提案すると職人さんの心に火が付き、「端材ではなく、新しい木材を使っていちから作りたい」と言われたそうです。
当時つちやさんはほかの作品の制作でスケジュールが埋まっていたため、「おやゆび姫の椅子」はデザインと図面のみ担当し、制作はカリモクの職人さんが担いました。
デザイン当初は端材の形を最大限生かして、座ると花びらが開くイスをイメージしていたつちやさん。
しかし、新しく作りたいと提案された際、「座ったら開くのと、座ったら閉じていくののどちらがドキドキするか検討した」といいます。
「おやゆび姫の物語としては花びらが開いていくほうが正しいのですが、迷った末、座ったときに包まれたほうがびっくりもするし、安心するだろうなと思って今の形にしました」
しかし、包まれるときに「壁」が迫ってくると閉塞感が強く安心できなくなるため、迫ってきても柔らかいイメージになるように「花びら」ではなく「おしべ」に変更したそうです。
こだわったのは、「座った人がかわいく見えること」。存在感のあるイスですが、あくまでも主役は座る人です。
「私の作品全般に言えることですが、『お客さんが来て、参加することで初めて作品が完成する』をテーマにしています。『おやゆび姫の椅子』は、座った方を演出する一部になるようにと考えました」とつちやさんは話します。
そのうえで指が挟まれるなど危険がないように、背もたれ周辺の形状は何度も職人さんと話し合い、安全面には気を配りました。
来場者が実際に座れる「おやゆび姫の椅子」ですが、新型コロナの影響もあり展示できたのは2019年のイベントとその後1回のみだったそうです。
今回ツイートしたのは、「コロナが落ち着いてきたので、次の個展には出したいな」という軽い気持ちから。思わぬ反響に驚きと喜びがありました。
「作品を知っていただけてありがたいです。今後もほかの作品をツイッターにあげていきます」とつちやさんは話します。
まだ具体的に個展の計画は決まっていませんが、開催の際にはHPやSNSで告知していくそうです。
カリモク家具コラボレーションのおやゆび姫の椅子。コロナもあってしばらく展示できてないけど、また展示したいなぁ。大人も座れるんですよ。
— つちやあゆみ (@ayumi__tsuchiya) April 10, 2023
#作品紹介 pic.twitter.com/dHFxHVuyjo
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