連載
#153 ○○の世論
春からマスクは外す?着用の機会「減る」「減らない」地域で顕著な差
3月13日から「個人の判断」
新型コロナウイルスの対策のうち、3月13日からはマスクの着用が「個人の判断」となります。以前は人の往来がまばらな場所でもマスクの着用姿が見慣れた風景でしたが、最近、公共の場所でもマスクをつけていない人が目につくようになりました。2月の定例世論調査では、マスクの着用について尋ねてみました。(朝日新聞記者・藤方聡)
2月の全国定例世論調査(電話)で、「あなた自身は、マスクをつけることが減ると思いますか。減らないと思いますか」と聞いたところ、ともに49%となりました。
男女別で違いが若干見られ、男性の「減る」51%に対し、女性の「減る」は47%。「減らない」は男性46%、女性は51%でした。
次に年齢別でみてみます。マスクの着用が「減る」と答えたのは高年層がやや多く、50代で54%、60代では55%となりました。若い世代の18歳~29歳は51%でした。
一方、マスクの着用が「減らない」は、働き盛りの年代がやや高く、30代では55%、40代で53%となりました。70歳以上は51%でした。
男性の年代別では興味深い数値が出ています。
男性の若い世代18~29歳では、マスク着用「減る」41%に対して「減らない」56%。
一方、50代以降の中高年層では「減る」が「減らない」を上回るケースが目立ち、70歳以上では「減る」52%、「減らない」45%となりました。
女性の70歳以上では男性と正反対の傾向が見られ、「減らない」54%、「減る」42%となりました。
男性については、「高齢者ほどマスクを着ける」という見方は、今回の調査を見る限りさほど当てはまらないようです。若者は素顔をさらすことに抵抗感があるのでしょうか。逆に中高年層はマスク着用に負担を感じるのでしょうか。
3月13日以降の街角の風景がどう変わるか興味深いです。
地域別では、関東のマスク着用「減る」「減らない」は同数で、49%となっています。近畿では「減る」54%が「減らない」45%を上回りました。
九州では近畿と反対の数値となっており、「減らない」58%、「減る」38%。マスク着用をめぐり、地域差が顕著に見られました。
5月の大型連休では、人の流れが加速化します。ある地域では多数の意見が、別の地域では少数となる可能性もあることが、今回の調査からうかがえます。
「個人の判断」となる3月13日以降、マスク着用をめぐり、顧客と個々の施設の間でトラブルが発生する懸念があります。同じ場所でも、人が密集する時間帯とまばらな時間帯も存在します。
しかし、政府からの一律の指針よりも、個別・具体的な状況を見ながら個人がマスク着用を判断する方が、「成熟した社会」に見合う姿勢だと思います。
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