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#152 ○○の世論

少子化対策に「期待できない」7割超 岸田首相に世論は冷ややか

経済政策、賃金アップに「結びつかない」も7割超

衆院本会議で施政方針演説を行う岸田文雄首相=2023年1月23日、国会内、西岡臣撮影
衆院本会議で施政方針演説を行う岸田文雄首相=2023年1月23日、国会内、西岡臣撮影 出典: 朝日新聞

目次

岸田文雄首相が年頭の記者会見で掲げた二枚看板、「経済政策」と「少子化対策」への期待感は乏しい――。1月21、22の両日に実施した朝日新聞の全国世論調査(電話)を分析すると、岸田首相は年始からさっそく冷や水を浴びせられたかたちです。

首相は23日の施政方針演説で「決断」についても再三強調しましたが、昨年7月の参院選後の一連の対応や判断は不評続きです。内閣支持率を下支えしたソフトな好感度も薄れています。(朝日新聞記者・君島浩)

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「期待できない」は73%に達する

1月4日の会見で、岸田首相は「日本経済の長年の課題に終止符を打つ」と述べ、「インフレ率を超える賃上げ」の実現を訴えました。さらに「異次元の少子化対策に挑戦する」と力説しました。

1月の調査では、この点について、国民の期待感を探りました。

首相の熱意とは裏腹に、冷めた見方がいずれも7割を超えました。

足元の自民支持層でさえ、経済政策に「期待できる」は37%、賃金引き上げに「結びつく」は25%、少子化対策に「期待できる」は32%と、少数派でした。

 

3問のうち、経済政策の評価については、一昨年10月の内閣発足直後から6回にわたり聞いています。

当初は「期待できる」は42%で、「期待できない」の28%を上回っていましたが、「その他・答えない」が30%を占め、「なかなか見極められない」という国民の空気を表していました。

その後、「期待できる」は減り続け、昨年10月は25%。そして今回は20%までに落ち込みました。

「期待できない」は73%に達するとともに、「その他・答えない」は7%に減少。国民は、迷いなくだめ出しをしているように思えます。

首相は23日の施政方針演説で「新しい資本主義の取り組みを次の段階に進めたい」と意気込みましたが、物価高や電気・ガス代の負担増に悩まされている国民の中には、首相の言葉が空しく響いた人もいることでしょう。

不支持理由「政策の面」うなぎ登り

岸田内閣の支持率は就任当初から昨年初めまでは4割台、不支持率は2割台、「その他・答えない」が3割前後で推移。当時、「4割・2割内閣」と指摘したこともありました。

支持率は3月に50%に達すると、5月には59%に上昇しましたが、参院選大勝後に急落。10月以降は逆に不支持率が50%台に張り付いています。

 

背景として考えられることは、首相の対応が軒並み不評だったことです。

参院選中に亡くなった安倍晋三元首相の国葬については、否定的な意見が次第に強まり、昨年10月の調査では「評価する」は35%で、「評価しない」は59%と多数を占めました。

これはまだ悪くはない方で、政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題で岸田首相の対応を「評価する」は8~11月は21~23%、「評価しない」は65~67%でした。

物価高に対する首相の対応も同様に8~10月で「評価する」は19~21%、「評価しない」は67~71%と低評価が続きました。

昨年末に決まった防衛増税についても、1月の調査では「賛成」24%、「反対」71%。

首相は23日の施政方針演説で「決断」を再三強調しましたが、経済政策や少子化対策も含め、その判断は必ずしも奏功せず、プラス評価2割・マイナス評価7割が基調になっているとも言えます。

こうした特徴は、内閣不支持理由にも見てとれます。

不支持率が夏から秋にかけて上昇するのと比例するように、不支持理由(全体比)の「政策の面」も急増。7月は8%だったのに、11、12月には33%と4倍以上になりました。

同様の質問を第2次安倍政権時代の2016年参院選直後から続けていますが、「政策の面」が30%を超えた例は、安倍内閣時代は皆無(平均は17%)。

菅義偉内閣時代に政権末期の21年8月に31%を記録した例があるだけです(同20%)。岸田内閣は2カ月続けて3割を超えているので、事態は深刻です。

「好感を持たない」無党派層の8割に迫る

昨年後半以降、内閣支持率の低下とともに、支持の理由(全体比)としての「他よりよりよさそう」も5月の32%から12月は16%、今年1月は18%と減少しています。

調査では、首相の好感度も薄れている様子が明らかになりました。

 

昨年4月の調査で、首相の国会や記者会見での受け答えについて聞いたところ、「大いに好感を持つ」は4%と少ないものの、「ある程度好感を持つ」が53%を占めました。

「好感を持つ」は合わせて57%と6割近くにのぼり、「あまり」32%、「全く」7%を合わせた「好感を持たない」の39%を上回りました。

しかし、1月の調査では、「好感を持つ」は「大いに」2%、「ある程度」32%で計34%に減少。

「好感を持たない」は「ある程度」49%、「全く」14%を合わせて63%と6割を超えました。評価は一変したわけです。

昨年4月には、立憲支持層や維新支持層の「好感を持つ」も5割を超え、無党派層でも「好感を持つ」「好感を持たない」が45%対47%と拮抗していました。

岸田内閣の支持率は当時55%と好調で、首相のソフトな物腰と相まって「広く薄い」好感に支えられていた、という印象です。

ところが、今年1月の調査では、立憲の「好感を持つ」は2割を切り、維新支持層も4割を切りました。無党派層の「好感を持つ」にいたっては22%に半減。「好感を持たない」は76%と8割に迫っています。

岸田首相は施政方針演説で「信頼と共感の政治を本年も進める」と表明しましたが、信頼と共感を取り戻すには前途多難です。

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