MENU CLOSE

連載

#151 ○○の世論

悪質な寄付の勧誘を規制…「救済新法」への期待は?世論調査から分析

5日に施行された不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)。写真は米国で記者会見する岸田文雄首相=2023年1月14日、米ワシントン、井手さゆり撮影
5日に施行された不当寄付勧誘防止法(被害者救済新法)。写真は米国で記者会見する岸田文雄首相=2023年1月14日、米ワシントン、井手さゆり撮影 出典: 朝日新聞

目次

昨年夏の安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題が明るみに出ました。昨年12月の通常国会では、悪質な寄付の勧誘などの被害者を救済するための法律(不当寄付勧誘防止法)が成立し、今月5日に一部の規定を除いて施行されました。

朝日新聞社が12月17、18の両日実施した全国世論調査(電話)で、救済への期待や岸田文雄首相の対応について評価を尋ねると、世代や内閣を支持しているか、していないかによって、受け止めが異なっていました。(朝日新聞記者・大崎浩義)

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

被害者の救済、期待はいまひとつ

内閣支持率が下げ止まらないなか、昨年12月、政府は不当寄付勧誘防止法を成立させました。

しかし、この法律が被害者の救済に期待できるかを尋ねると、全体では「期待できる」が35%なのに対し、「期待できない」は57%となり、厳しい見方をしている有権者が多いようです。

 

男女別に見ても、男性で「期待できる」が36%、「期待できない」が56%で、女性でも「期待できる」34%、「期待できない」57%と、全体とあまり違いは見られませんでした。

年代が上がると期待は薄い傾向

次に年代別でみると、「期待できる」が18~29歳と30代では42%、40代で34%、50代で40%でしたが、60代では30%、70歳以上で27%まで下がりました。

 

一方で「期待できない」は18~29歳の45%が最も低く、30代で51%、40代60%、50代54%。

60代が最も高く64%、70歳以上は60%と、おおよそですが世代が上がるほどこの法律への期待感が薄くなる傾向がみてとれました。

内閣支持層の期待は厚い?

内閣支持層、不支持層別に法律への期待度をみてみます。

内閣支持層では「期待できる」は51%で、「期待できない」の41%を上回りました。

一方で内閣不支持層では「期待できる」28%と、「期待できない」の66%を大きく下回りました。支持政党別で見ると、自民支持層では「期待できる」は45%、「期待できない」は48%と割れました。

無党派層では「期待できる」は28%、「期待できない」は61%と、内閣不支持層とさほど変わらない結果となりました。

 

この法律は霊感商法のように、不安や恐怖をあおるなどして、勧誘相手を困惑させる行為を禁止しています。

しかし、宗教団体へ入信した場合、信者はマインドコントロール状態にされ、寄付する際にはそもそも困惑はしておらず、自主的に行っていることが多いとされています。

法律への期待が薄いのは、こうした指摘があるからかもしれません。

成立、岸田首相への評価はまずまず

岸田首相は被害者を救済する法案を臨時国会で成立させようと、与野党の協議を経て、国会で審議入りしてからわずか5日で成立にこぎつけました。

今回の調査では、この法律をめぐる岸田首相の対応を評価するかどうかも聞きました。

全体では「評価する」が58%で、「評価しない」の34%を上回り、男女では「評価する」がともに58%で、「評価しない」は男性35%、女性34%でほぼ同じでした。

 

年代別にみたところ、「評価する」は18~29歳で最も高く66%、30代で57%、40代で56%、50、60代で60%。70歳以上で最も低く54%になりました。

一方で、「評価しない」と答えたのは、18~29歳で最も低く25%、30代で33%、40代で最も高く38%、50代で31%、60代で37%、70歳以上で37%になりました。

法律への期待度と同じく、年齢が上がるとともに、プラス評価は下がる傾向がみてとれました。

内閣不支持層でもそれなりの評価

岸田首相の対応評価を内閣支持・不支持に分けてみると、内閣支持層では「評価する」は79%で、「評価しない」の16%を大きく上回りました。

内閣不支持層では「評価する」48%、「評価しない」46%と割れました。

同様に支持正当別で見ると、自民支持層では「評価する」は72%で、「評価しない」の23%を大きく上回り、無党派層では「評価する」は51%、「評価しない」は38%と、法律の期待度に比べて、それなりに良い結果となりました。

 

今回の調査では、岸田首相の対応を評価する一方で、法律への期待は薄いという結果になりました。

今後も法律の実効性を検証し、より多くの被害者を救済できるようブラッシュアップしていく必要がありそうです。

連載 ○○の世論

その他の連載コンテンツ その他の連載コンテンツ

全連載一覧から探す。 全連載一覧から探す。

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます