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〝伊達巻ラスク〟でバズった宮城のヒーロー 12年前、子どもの一言

みんな生きるのに精いっぱいだった

伊達巻きをクッキングシートにのせて…
伊達巻きをクッキングシートにのせて…

目次

「伊達巻を一本買いして後悔している、そごの君!」
宮城県大崎市のご当地ヒーロー「オダズナー」がつぶやいた「伊達巻きラスク」のレシピが、三が日の間に広く拡散されました。レシピを思いついたきっかけや、東日本大震災の1カ月前に始めた、ご当地ヒーローとしての活動について聞きました。

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「伊達じゃない!素晴ラスク」

宮城県大崎市のご当地ヒーロー「オダズナー」は釜神(宮城県や岩手県の一部に伝わる家の神様)の化身。決めぜりふは「おめぇだづ!おだづなよ!(おまえたち、ふざけるなよ!)」です。

ツイッターでは普段、宮城県の情報を発信したり、オダズナーの趣味についてつぶやいています。その中でも評判がいいのは料理に関するものだといいます。

1月2日、伊達巻きを「毎年半分くらい余しますね(余らせてしまいますね)」というオダズナーは、余った伊達巻きを使ってお菓子のラスクが作れるレシピを思いつき、投稿。瞬く間に拡散され、4万以上の「いいね」がつきました。
中には「これは伊達じゃない!素晴ラスクて感動してる」とうまいこと言った返信も。

反響の多さにオダズナーも驚きを隠しません。
「んでも、その中で伊達巻でラスク作ってみだって呟きがこんなに反響あるどは思って無くて、いぎなり(ものすごく)驚いでます」

ちなみに、レシピにある「オープン」は「オーブン」、「キッチンペーパー」は「クッキングシート」の誤り。
普段から誤字脱字多めのオダズナー。続くツイートで「全国に宮城県大崎市にはアホのローカルヒーローがいるのがバレた件」と、ちゃめっ気を発揮しています。

「伊達巻を一本買いして後悔しているそごの君!余った伊達巻は薄切りにしてキッチンペーパーに並べて砂糖かげでオープンで20分焼くとラスクになるぞ!のののののののののののの…って感じ」
「伊達巻を一本買いして後悔している
そごの君!
余った伊達巻は薄切りにして
キッチンペーパーに並べて砂糖かげで
オープンで20分焼くとラスクになるぞ!
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のののの
のののの…って感じ」 出典:オダズナーのツイッターより

スタート1カ月後に震災…「生きるのに精いっぱいだった」

オダズナーが活動を始めたのは、2011年2月3日。あと1カ月ほどで活動13年目に入ります。
元々は、大崎商工会青年部・三本木支部の中で、「地域を盛り上げたい」と産声を上げたオダズナー。最初の舞台は地域の幼稚園の豆まき行事で、鬼を倒すことでした。

その行事は無事に終えた約1カ月後、3月11日に東日本大震災が起きました。

「発災直後はヒーローなんかやっている場合じゃなくて、みんな生きるのに精いっぱいだった」と話すのは、オダズナープロジェクト代表の、手代木福太郎(てしろぎ・ふくたろう)さん(42)です。

震災から1カ月ほどが経ち、ライフラインも徐々に復活してきた頃、同県女川町のご当地ヒーロー「リアスの戦士 イーガー」が、避難所で子どもたちを激励したという記事を目にしました。

これを見た手代木さんは「同じ時期にヒーローを立ち上げた者として協力しなければならないと奮起した」といい、「リアスの戦士 イーガー」のプロデューサーに連絡をしました。

イベントで活躍するオダズナー=手代木福太郎さん提供
イベントで活躍するオダズナー=手代木福太郎さん提供

俺がいま、できることはこれだ」

すると、先方は「イベントをしたいんだけど、津波で流されて何もない。テントやパイプ椅子どころか、商工会すらない」。

それを聞き、手代木さんたちは、大崎商工会からありったけのテントやパイプ椅子、音響設備をワンボックスの車に積んで女川町に向かい、イベントのサポートを買って出ました。

そのイベント会場で会った子どもから、「オダズナー、おうち流されちゃって毎日泣いてたけど今日は楽しかったよ」と伝えられたことを、手代木さんは覚えています。

「俺が今、出来ることはこれだと思った」

仲間内で台本を考えてヒーローショーを開催するようになり、宮城県内の復興イベントには無償で出演していました。
その後は、地元のテレビ番組に出演したり、県内のイベントでヒーローショーをしたり、はたまたヴィジュアル系バンドのライブにゲスト出演したり――。

手代木さんは「基本的に何でもしてますね。気がついたら10年以上やってました」と話します。
イベントはコロナ禍で一時なくなりましたが、昨年、地元の夏祭りで約2年半ぶりのヒーローショーができました。

地域の行事に参加するオダズナー=手代木福太郎さん提供
地域の行事に参加するオダズナー=手代木福太郎さん提供

はらこがBB弾みたいに…

息長く活動を続ける、人気者のオダズナーにせっかく連絡が取れたので、色々聞いてみました。

――どんなお正月料理を食べましたか。

「宮城県の風習なんだげども、お雑煮は『ハゼ出汁』で『セリ』ど『はらこ(イクラ)』入れるんですよ」

「んでも宮城県って寒いじゃないですか。お雑煮食べでるどすぐ冷めるんで、鍋に戻してもう一回温め直すど、『はらこ』がBB弾みだいに硬くなるんで、好き嫌いが分がれます(笑)」

「あと、年越しに子持ちナメタガレイの煮付け食べるんですよ、宮城県民は。そんなに高級魚でないのに年末になるど宮城県では何故か値段がいぎなり高騰するんです」

「いい具合の田舎だ」

――「BB弾」、「なぜか値段が高騰」……。地元ヒーローならではの豆知識と、愛あるいじりを聞けました。ハゼ出汁のお雑煮を食べつつ、どんなお正月を過ごしたのでしょうか。

「今年は久しぶりに行動規制の無いお正月どいうことで、昼間は宮城県名物の『仙台初売り』に行き、夜は『残響』(大崎市・新澤醸造店)を飲んでベロベロになってました」

――ご当地ヒーローもお酒飲むんですね! 最後に、大崎市について教えてください。

「宮城県の東西に広がる大きな市で、温泉の横綱とも呼ばれる鳴子温泉があり、日本に存在する11の泉質のうち、9種の泉質が湧いている温泉なんだ!」

「大崎耕土(大崎平野の農地)では美味しい米が育ち、ラムサール条約湿地の「蕪栗沼(かぶくりぬま)」には天然記念物のマガンの飛来地にもなる美しい自然がある!」

「いい具合の田舎だ」

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