連載
#77 夜廻り猫
サンタ来なかった…社会には「もらえない人」もいる マンガ夜廻り猫
「サンタに何もらった?」「もらってない」「サンタ来たことないの!?」。お散歩中の保育園児たちの会話を聞いて、男性が感じたことは……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、ツイッターで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、クリスマスプレゼントにまつわるエピソードです。
ある日、買い物帰りの男性が見かけたのは、保育園の子どもたちのお散歩でした。
「サンタに変身ベルトもらったんだー」「おれはすみっこハウス」「リナはプリキュアだった」
口々に子どもたちがクリスマスプレゼントを披露し合っています。
「みーくんは何もらった?」。そう聞かれた男の子は、「もらってない」と答えます。
男の子が「サンタ来たことない」と伝えると、子どもたちは「みーくんサンタ来たことないんだって」「え~!?ないの!一回も!?」と驚きます。
その様子を寂しそうに見守っていた男性。家に帰って、「クリスマスプレゼントも、学費も伴侶も、もらえるやつともらえないやつがいるんだよな……」とひとりごちます。
年末年始の夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵に、その経緯を話して「でも大丈夫だよ 全ての問題は年を取れば相対的に小さくなる」と語りかけた男性。
遠藤は「きっといい大人になる」と笑顔で答えたのでした。
作者の深谷かほるさんは、「よく『良い子のところには、サンタが来るよ』と、親が子どもに諭すといいますよね。近頃では、『何歳まで子どもにサンタを信じさせておくべきか』といった議論もあるようです」と話します。
しかし深谷さんは、自身の子どもにサンタを信じさせようとはしなかったそうです。
「クリスマスプレゼントをもらえない子どももいるのに、はしゃいでいいのか。そんな気持ちがありました」と振り返ります。
「でも、歳をとった今になると、人間の不平等ポイントは無限にあり、ひっくり返すチャンスも無限にあるので、はしゃげる時には、はしゃいでいいんだという気もします」と言います。
「でもやっぱり、子どもは全員、プレゼントをもらえてほしいです」
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