連載
#102 コミチ漫画コラボ
ラーメン?もつ鍋?いや、ごぼ天!福岡県民の「うどん愛」描くマンガ
おすすめのラーメン店を聞かれてもネットで検索を…
地元の名物やおすすめの店、観光地を聞かれたら、なんと答えますか? 他県民の持つイメージと現地の人との感覚にズレがあることは珍しくありません。福岡県在住のイラストレーター・オムスビさんは、「おすすめのラーメン屋」を聞かれ、答えに困ったときの経験を漫画にしました。
「オムスビさんって福岡出身ですよね? おすすめのラーメン屋とかあります?」
実体験がもとになっている漫画は、そんな一言から始まります。
30代のオムスビさんは、生まれも育ちも福岡県。他県出身の同僚や友人に、たびたび福岡のおすすめ店や観光スポットを聞かれるそうです。
特に多いのは、「とんこつラーメン」と「もつ鍋」のおいしい店を知りたいというリクエスト。きっと地元民に愛される名店を知っているはず……と思いきや、オムスビさんは「あー…」と目を伏せます。
「あんま詳しくないんだよね…でも、どの店もおいしいと思うヨ」
ラーメンももつ鍋もそれほど食べず、明太子もたまにしか食べないというオムスビさん。
「じゃあなに食べるんですか?」と問われ、すかさず「うどん」とかぶせ気味に答えます。
「福岡県民(わたしたち)はうどんを愛しています!」
うどん愛とはどういうことなのでしょうか? 漫画の作者・オムスビさんに話を聞くと、「地元ではラーメンよりうどんのほうが食べられている気がします。福岡には、うどんの上にごぼうの天ぷらがのった『ごぼ天うどん』というソウルフードがあるんです」と話してくれました。
「いろんなうどんを食べますが、特に食べるのが『ごぼ天うどん』です。きつねうどんのように当たり前にあるメニューで、福岡のうどん屋さんには必ずと言っていいほどあるのではないでしょうか」
取材の前日にも、うどん屋さんで「ごぼ天うどん」を食べたというオムスビさん。現在は家族で月2回程度うどん屋さんへ行きますが、一人暮らしのときは毎週ランチや夜ごはんにうどんを食べていたといいます。
なぜ「ごぼ天うどん」が定番になっているのか、2017年4月9日の朝日新聞福岡版にはその歴史が紹介されていました。
オムスビさんは友人に福岡の名物を聞かれたとき「うどんもおいしいよ」とすすめていますが、なかなか興味を持ってもらえないといいます。
一方、ラーメンやもつ鍋などのおすすめの店を伝える場合はインターネットで検索するそうです。全国展開している有名店を紹介することもあるといい、「福岡県でなくても食べられるけど……」と断りを入れます。
福岡と言えば屋台も有名ですが、30年以上住んでいて1度も行ったことはありません。同じく福岡で生まれ育った夫も2回ほどしか行っていないそうです。
「屋台は機会があれば行ってみたいですが、どちらかというと一部の人にとってよく行く場所なのかも」と考えています。
「正直、私は『知る人ぞ知るお店』は分かりませんし、おすすめはありませんが、この店は交通アクセスがいいよという情報は伝えられます」と笑います。
今回の漫画を描いた背景には、福岡のうどんをもっと知ってほしいという思いがありました。
オムスビさんは、「福岡は田舎と都会が隣接する、暮らしやすい土地です。『1回住んでみませんか?』とおすすめしたいですし、福岡に来るならぜひ『ごぼ天うどん』も食べてほしいです」と話しています。
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