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#133 #父親のモヤモヤ

外出で授乳、おむつ替え…もう困らない!ベビーケアルーム「ママロ」

母親だけでなく、父親も使えます

設置型ベビーケアルーム「mamaro(ママロ)」
設置型ベビーケアルーム「mamaro(ママロ)」

目次

#父親のモヤモヤ
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赤ちゃんと一緒に出かける際、外出先で気になるのは授乳やおむつ替えスペースです。ある調査では、多くの母親が「授乳室や授乳に適した場所が見つからない」と回答しました。授乳室の多くは女性専用で、おむつ交換台が設置された男性トイレも多くないため、父親もミルクやおむつ替えの場所を見つけるのに苦労します。そんななか、設置型ベビーケアルーム「mamaro(ママロ)」が注目されています。

ユーザー層の変化がきっかけ

「これまで、カーテンの仕切りにイスが置いてある簡素な授乳室はありましたが、あまり環境が良くないのではないかとmamaroを導入しました」

2021年9月にmamaro2台を導入したショッピングモール「新百合丘オーパ」(神奈川県川崎市)の久保春比さんはそう説明します。

mamaroは高さ200センチ、幅180センチ、奥行き90センチの、移動可能な個室型ベビールーム。1畳ほどのスペースに、ソファやモニター、コンセントが設置され、授乳やミルク、おむつ替えなどに利用できます。無料で使え、1回の利用目安は20分。防犯の観点などから、時間を超えると通知されます。

授乳室やおむつ交換台の場所を探せるアプリなどを展開する「Trim(トリム)」(横浜市)が開発し、2017年に販売を始めました。

新百合丘オーパは近年ファミリー層の利用が増えていて、2021年の調査では40、50代に次いで30代が多いという結果に。出産を経験したスタッフの提案をもとに、より子育て世代が使いやすい施設にするため、授乳室の整備を決めたといいます。

「お子さん連れの利用が増え、ベビーカーを押していらっしゃる方が多くなっている実感もあります」と久保さん。

mamaroは比較的家族連れが多く利用する3階と5階に設置しました。同施設で父親がおむつ替えに使えるのはmamaroか多目的トイレのみ。利用者の多くは母親ですが、父親が使っている姿を目にすることもあるそうです。

エレベーターホールに設置されているmamaro
エレベーターホールに設置されているmamaro

母親「人目を気にしなくていい」

もともとカーテン仕様だった授乳室がmamaroに変わったことを、ユーザーはどのように思っているのでしょうか。

8カ月の長男と新百合丘オーパを訪れた母親(35)は、「以前の授乳室も使っていましたが、カーテンだったので隣に人がいると気になってしまいました」と話します。「mamaroは個室で中から鍵を閉められるし、安心感がありますね」

7カ月の長女の授乳でmamaroを使った別の母親(31)は、「カーテンで仕切るだけだったり、広い授乳室でほかの人もいたりするとケープをかけて授乳をしなければいけません。個室だと人目を気にしないでいいので楽です」と話しました。

育児用品の販売などを手がけるピジョン(東京都)の2022年の調査では、78.1%の母親が「外出先の授乳や授乳室の利用で困ったことがある」と回答し、そのうち15.6%が「人の目が気になって授乳ができない」と答えました。また、「授乳室や授乳に適した場所が見つからない」と答えた母親も56.4%という結果が出ました。

mamaroを利用する親子
mamaroを利用する親子

父親も「積極的に使いたい」

ミルクや離乳食、おむつ替えできる場所が見つからないという意味では、父親が抱える課題も同じです。授乳室の多くは女性専用ですが、mamaroの利用は母親だけに限りません。

都内の施設でmamaroを使ったことのある父親・ミトスさん(37)は、「室内がかなりきれいで雰囲気が良く落ち着きますし、積極的に使っていきたい」と話します。

2022年5月に娘が生まれ、現在育休中です。寝返りをしたり笑うようになったりといったささいな成長を感じながら、子育てを楽しんでいるといいます。

mamaroは最寄り駅近くの商業施設に設置されていて、数回おむつ替えに利用しました。

1人で外出中に偶然mamaroを見つけたミトスさん。「哺乳瓶のマークから育児系であると分かりました。育休中でアンテナを張っていたからキャッチできたのだと思います」。娘と2人で出かけるときは、おむつ替えだけのためにmamaroが設置されている施設を訪れることもありました。

男性育休や男性育児が広まってきているとはいえ、男性トイレにおむつ交換台が設置されている施設はまだまだ多くないと感じます。普段は多目的トイレに入りおむつ替えをしますが、やや清潔感が気になってしまうそうです。

娘と2人で遠出した際、ミルクや離乳食はベンチに座ってあげる機会が多いとのこと。父親と赤ちゃんで出かける人が珍しいからか、視線を感じることもあります。「授乳室に男性は入れませんし、ベンチではゆっくり落ち着いて食べさせられません。極力人目につかない場所を探しています」と話します。

mamaroは個室で安心感がある一方、「入ってしまうと外の様子が見られないので、待っている人がいないか気になってしまうかも」と話します。それでも、期待感は大きいといい、「今後はミルクや離乳食をあげるときに使いたいですし、駅の改札内などにも導入してほしい」と願っています。

mamaroには「授乳」「おむつ替え」「男性可」などと書かれています
mamaroには「授乳」「おむつ替え」「男性可」などと書かれています

販売元「父親の負担も減らしたい」

mamaroを開発したTrimによると、2022年11月1日現在、全国で440台が設置されているといいます。商業施設のほか、自治体の役所や道の駅、スーパー、神社などに導入されているそうです。

ユーザーの9割は母親ですが、長谷川裕介代表は「父親がお子さんとお出かけするときの負担も減らしたい」と話します。

「mamaroは授乳室だと思われることが多く圧倒的に母親の利用が多いのですが、私たちは極力『授乳室』という言い方は避け、『ベビーケアルーム』と変えていっています。そういった言葉が普及していくとより自由度が増し、父親にも積極的に使っていただけるかと思います」

一方で、男性が利用できることに不安を感じる女性もいますが、「母親だけが使える環境にしてしまうと、父親側の意識も『母親に任せっきり』になってしまったり、『使いたいけど母親しか入れないから』という言い訳になってしまったりするかもしれません」と長谷川代表。「女性も男性も使いやすく工夫し、バランスをとっていきたいと思います」と話しています。

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記事の感想や体験談を募ります。いずれも連絡先を明記のうえ、メール(dkh@asahi.com)で、朝日新聞「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。
 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。
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