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連載

#144 ○○の世論

岸田内閣、発足1年 支持率は最低の40%…すっかり色あせた「看板」

不支持率は最高の50%、世論調査を分析

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との電話会談を終え、取材に応じる岸田文雄首相=2022年10月6日、首相官邸、上田幸一撮影
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との電話会談を終え、取材に応じる岸田文雄首相=2022年10月6日、首相官邸、上田幸一撮影 出典: 朝日新聞

目次

岸田文雄内閣は10月4日に発足1年を迎えました。しかし、1~2日に実施した朝日新聞の全国世論調査(電話)では、内閣支持率はこれまでで最低の40%、不支持率は最高の50%を記録しました。安倍晋三元首相の国葬や、宗教団体の「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の問題などが政権を直撃したためですが、岸田首相が高らかに掲げた「聞く力」が色あせた様子も調査から浮かび上がりました。(朝日新聞記者・君島浩)

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「分からない」内閣から「嫌われる」内閣に

1年前の誕生直後の岸田内閣の支持率は45%。朝日新聞が現行方式の世論調査に切り替えた2001年の小泉内閣以降、発足直後の内閣支持率では最低でした。

一方で、私たちが呼ぶところの「DK」は35%を占め、この20年間で最高となりました。DKとは「支持する」「支持しない」以外で態度を明らかにしない人のことで、英語の「(I) don't know」の略称からそう呼称します。

「どんな人か分からない」「答えられない」と首をかしげた人がかなりの数にのぼったことを裏付けます。

DKは年明けまで3割前後を行き来しましたが、その後、次第に減少。代わりに支持率が徐々に上がり、政権発足7カ月後の5月には59%にのぼりました。

7年8カ月の最長政権となった第2次安倍政権でも発足から6カ月半後の支持率は59%で、その後の7年間はそれを上回ったことがないことを考えると、異例の上昇ぶりです。

 

4月の調査で首相の国会や記者会見での受け答えについて聞いたところ、「大いに好感を持つ」は4%と少ないものの、「ある程度好感を持つ」が53%と半数を超えたのが印象に残っています。

「好感を持たない」は「あまり」32%、「全く」7%にとどまり、野党第1党の立憲支持層でも「ある程度好感を持つ」が5割を占めました。

ソフトなイメージ、広く薄い好感に下支えられた岸田政権は、7月の参院選で大勝しました。

国政選挙が向こう3年なく、首相にとっては世論を気にせず、枕を高くして眠れる「黄金の3年間」が到来したはずでした。

しかし、好事魔多し。安倍元首相の国葬や旧統一教会を巡る対応への批判などが高まり、支持率は急落。DKも10%に減り、不支持率は50%に達しました。

当選確実の候補者の名前に花をつける自民党総裁の岸田文雄首相(右)=2022年7月10日、東京・永田町の自民党本部、福留庸友撮影
当選確実の候補者の名前に花をつける自民党総裁の岸田文雄首相(右)=2022年7月10日、東京・永田町の自民党本部、福留庸友撮影 出典: 朝日新聞

第2次安倍政権で不支持率が50%台を初めて記録したのは政権発足から5年半近く経ってからでした。

退陣直前の20年7月の不支持率も50%だったことを考えると、岸田政権も危機的状況に陥りつつあると言えるかもしれません。

「分からない」内閣から半年で「嫌われない」内閣に成長したものの、1年後には「嫌われる」内閣に転じてしまいました。

聞く力「発揮している」を「思わない」が逆転

調査ではこうした変化の底流にあるものが、浮かび上がってきました。

10月調査で、岸田首相は政策を実行する上で、人の意見に耳を傾ける「聞く力」を発揮していると思うかどうか、尋ねたところ、「発揮していると思う」と答えた人は34%で、「そうは思わない」の58%が上回りました。

昨年12月の調査で同じ質問をした際には、「発揮している」は48%で、「そうは思わない」の29%より多かったので、逆転したことになります。

 

第2次安倍政権とその後の菅義偉政権の9年近くには、ややもすると、両首相の「上から目線」「高飛車」と受け取れる言動が批判されることもありました。

これに対し、岸田首相はポスト安倍を争った20年9月の総裁選で「聞く力」をアピール。

首相就任後も「丁寧な説明」や「対話」を繰り返してきました。しかし、有権者は首相が看板としている「聞く力」に疑念を膨らませているようです。

衆院の議院運営委員会で、立憲民主党の泉健太代表の質問に答弁する岸田文雄首相=2022年9月8日、国会内、上田幸一撮影
衆院の議院運営委員会で、立憲民主党の泉健太代表の質問に答弁する岸田文雄首相=2022年9月8日、国会内、上田幸一撮影

支持政党別にみると、10月に自民支持層では聞く力を「発揮している」は54%で、昨年12月の66%に比べると、明らかに減りました。

10月に立憲支持層では80%、無党派層では66%が「そうは思わない」と答えました。

昨年12月の調査では、立憲支持層で39%対41%、無党派層で36%対35%と伯仲していたのと比べると、首相の唱える「聞く力」はすっかり化けの皮がはがれた、との思いを強めている人が少なからずいる、と考えられます。

 

「壊れたテープレコーダー」繰り返す?

岸田内閣、菅前内閣のそれぞれ内閣発足1年間の岸田首相と菅前首相のぶら下がり取材の回数を比較した朝日新聞の記事によると、菅内閣は計126回だったのに対し、岸田内閣は計172回でした。

時間では海外でのぶら下がり取材を除くと、菅前首相は計約7時間だったのに対し、岸田首相は倍以上の約15時間半にのぼりました。

菅氏は安倍氏と同様、官僚の用意した答弁メモを読み続けたり、質問に正面から答えなかったりして「壊れたテープレコーダー」と批判されたこともありましたが、岸田首相の説明も「繰り返し」「はぐらかし」ばかりでは、同様のそしりを免れません。

言語が明瞭なだけでなく、意味も意志も意欲も明瞭な「語る力」。それを求めるのは国民にとって、ないものねだりなのでしょうか。

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