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〝クソどうでもいい〟けど〝最高〟筒の底からポテチがせり上がる発明
「筒の奥にあるチップスがせり上がる『チップスリフター』を作りました」――。そんな文言とともに投稿されたツイッターの動画が反響を呼びました。「クソどうでもいい機能だけど一瞬幸せになる機械」と発明品自体が絶賛されただけでなく、自作した紹介動画の「顔芸」にも注目が集まりました。本人に取材しました。
「チップスリフター」の制作者で、本人出演の動画をアップしたのは、カズヤシバタさん(27) @seevua 。「ギリギリ役に立つ発明」をモットーに、SNS上で新作を発表しています。
「チップスリフター」は、9月22日の投稿で紹介しました。
筒状の容器に入ったポテトチップスに、指が届かない――。そんなお悩みを解決する発明品で、筒内に装着した小型のフックによって、チップスがせり上がる仕組みです。動力は外付けのモーターで、筒内の小型フックと磁石でつながっています。
いらなそうで、実はニーズがある。一見すると粗雑だが、技術が詰まっている。そんなギャップも魅力の発明品に、「めっちゃ無駄に、めっちゃ最高過ぎる!!!!!」「クソどうでもいい機能だけど一瞬幸せになる機械」と絶賛のコメントが寄せられました。
動画は、170万回以上再生されています。
筒の奥にあるチップスがせり上がる「チップスリフター」を作りました。 pic.twitter.com/NF89eRubqZ
— カズヤシバタ(KAZUYA SHIBATA) (@seevua) September 21, 2022
シバタさんによると、制作のきっかけは「筒の中に指が届きにくい」という声を実際に聞いたからだそうです。「これはやらないと! と思いました」
シバタさんが発明を手がける基準は、「なぜかどこの企業も作らない、でも役に立つもの」かどうかです。
「企業が、ギリギリ選ばない。でも、役に立つ。そこを狙っていくことで、まだ社会がイメージしていないけれど、あったらいいなと思うものが生み出せると思っています」。そうした基準に合致したのが、「ポテトチップスが食べづらい」という課題でした。
「見たことがないものを楽しんでもらえたらと、いつも考えています」
一見すると、ネタのような発明品ですが、確かな技術で作られています。
シバタさんは、近畿大学理工学部卒。今はフリーのエンジニアで、企業でロボット開発に携わっていたこともあります。「チップスリフター」は、コンピューターソフトで綿密にシミュレーションした後、3Dプリンタを使って製造しました。
「試行錯誤を重ね、改良しました。試作品用に近所のスーパーでポテチを買いまくっていたら、需要があると思われたのか、その商品の在庫が一時的に増えましたね」
ポイントは、筒の内部をシンプルにしたことです。「実際の商品ならば、筒内部の衛生面が課題だと思いました。そのため、機械部分のモーターは外付けにして、内部はチップスを持ち上げるリフターのみ入れる構造にしました」
制作は、缶詰状態で丸3日間。費用は計3千円ほどだそうです。
「見た目はおもしろおかしくても、技術はしっかりしている。そう思ってもらえることを心がけています」
今回、「筒の底のポテチがせり上がる」という発明とあわせて注目を集めたのが、シバタさんの「顔芸」でした。ツイッターでも「発明品をつかったご自身の顔芸のプロモーション」「顔芸が何よりもの発明」「守りたいその笑顔」といったコメントが寄せられています。
シバタさんは、テレビショッピング番組好き。自身の発明品の紹介動画のエンターテイメント性を高めるために、「顔芸」も研究してきました。
「実際に、テレビ番組などを参考に、おもしろい顔を画像保存して研究するなどしてきました」
シバタさんは、「これからも、発明から紹介動画まで、すべてに取り組んでいきます」と話します。
割り箸が全自動で割れるぞ
— カズヤシバタ(KAZUYA SHIBATA) (@seevua) November 5, 2021
やったぁ!pic.twitter.com/AJ5HOmAJ73
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