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連載

#18 #ふしぎなたてもの

エメラルドの湖上にひょっこり〝秘境駅〟 少ない利用者でも黒字の謎

大井川鐵(てつ)道の奥大井湖上駅は「秘境駅」としてSNSでしばしば話題になる。
大井川鐵(てつ)道の奥大井湖上駅は「秘境駅」としてSNSでしばしば話題になる。 出典: 朝日新聞社
南アルプスの山あいを縫って通る大井川鐵(てつ)道。その駅「奥大井湖上駅」​​が絶景も相まって「秘境駅」としてSNSで度々、話題になっています。この路線、利用者数こそ多くありませんが、過去に何度も黒字を出しているとのこと。その理由を運営会社に聞きました。(withnews編集部・朽木誠一郎)
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「秘境駅」存続を支えるトーマス列車

南アルプスに源を発し、静岡県を流れる大井川。この川に沿って二路線(大井川本線・井川線)が走るのが大井川鐵(てつ)道です。鉄道と共に上流へと遡ると、そこには雄大な自然が。

中でも長島ダムの人工湖「接岨(せっそ)湖」に浮かんだように見える「奥大井湖上駅」はSNSで度々、「秘境駅」として話題になっています。

エメラルドグリーンの湖と、赤い列車・橋のコントラストが美しく、人気のスポット。数々の映画やドラマの撮影舞台にもなっています。JR金谷駅から乗り換え2時間以上かかりますが、訪れた人を魅了する絶景があります。

奥大井湖上駅の標高は490m。同駅に至る区間は赤いトロッコ列車が走り、一部では急勾配を上るための「アプト式」の車両がそれを押し上げます。

1931年に大井川本線が全線開通した大井川鐵道は、地域の産業の柱だった林業を支えてきました。90年に大井川をせき止めて長島ダムが造られると、ダムを避けるように新たに線路が引かれました。

集落とともに水没するはずだった駅は廃止せず、改名の上、新線に移転することに。こうして湖に浮かぶ珍しい駅が誕生したのです。

この大井川鐵道、全国的に利用者が少ない鉄道路線が経営難にあえぐ中、実は2010年代に複数回、特に中盤以降に連続して黒字を出したことでも知られています。いかにこれを実現しているのか、同社に話を聞きました。
 
新金谷駅のホームにトーマス号が入線すると、多くの親子連れたちが写真を撮った=2018年6月9日
新金谷駅のホームにトーマス号が入線すると、多くの親子連れたちが写真を撮った=2018年6月9日 出典: 朝日新聞社
大井川鐵道は「きかんしゃトーマス」シリーズの意匠をまとった複数のキャラクターの蒸気機関車を運行してきたことでも有名。その世界観の高い再現度で子ども連れ客などから好評を博しています。同社担当者によれば、​​こうした観光列車の運賃などの収入、そしてお土産などグッズ類の売上があるということでした。

同社は大井川本線で1976​​年から本格的にSL列車​​を観光列車として走らせるなど、こうした事業に長年、注力していました。そして、「きかんしゃトーマス」シリーズの運行開始が2014年。

同社の全利用者数に占める観光列車の利用者数は大きく上がり、営業利益において関連する収入が主なものの一つになるなど、黒字化に大きく貢献したということです。

同社は「きかんしゃトーマス」のマスターライセンスを保有する株式会社ソニー・クリエイティブプロダクツの承認を経た上で、2022年も「きかんしゃトーマス」の運行を継続しているということでした。

同社担当者も、近年はコロナ禍の影響があり、特に県外からの旅行者数が大きく減っていると認めます。地域の人々の移動手段、そして美しい景色を守るため、鉄道会社がうったユニークな施策。多くの人がまたその目で見て、体験できる日が早く来ることを願ってやみません。
 

【連載】#ふしぎなたてもの

何の気なしに通り過ぎてしまう風景の中にある #ふしぎなたてもの 。フカボリしてみると、そこには好奇心をくすぐる由縁が隠れていることも。よく見ると「これなんだ?」と感じる建物たちを紹介します。

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