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アワビに顔?! まるで「ウルトラ怪獣」、「もう食えん」嘆きの声も

みなさんはアワビの顔、見たことがありますか?

殻側から見たアワビです
殻側から見たアワビです 出典: 森久拓也 @眼遊

目次

「みなさんはアワビの顔、見たことがありますか?」。この一言とともにSNSに投稿された写真が注目を集めました。その姿はまるで、「ウルトラマン」に出てくる怪獣のようです。投稿主と専門家に話を聞きました。

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アワビに顔がある、知らない人が多数

話題になったのは、生き物を中心に撮影している写真家の森久拓也さん(43)がツイッターに投稿した写真です。

みなさんはアワビの顔、見たことがありますか?
森久拓也さんのツイッターより
ツイートには「知らなかった」「ウルトラ怪獣にいてもおかしくない風貌」「意外とオチャメ」「もうアワビ食えん」というコメントが寄せられ、いいねは1.6万を超えています。

現在、長崎県対馬市の「対馬魚類図鑑」の写真を担当している森久さん。アワビに顔があることは知っていましたが、実際に見たのは撮影がきっかけでした。

「アワビの写真を撮っているときに顔をのぞき込んだところ、きれいな青い目でおもしろい顔をしていて、とても感動しました。この感動はぜひ共有したいとツイートしました」 

「アワビってこんな顔をしていたのか!」という声が寄せられることを想像していましたが、実際は「アワビに顔があったのか!」という「そもそも」部分への反応が多く、とても驚いたといいます。

「食材として認知されている生物の、生き物としての姿は案外知られていないのだということが分かり、もっと生き物の姿を発信していこうと励みになりました」
 
左側が「顔」部分です
左側が「顔」部分です 出典: 森久拓也 @眼遊

専門家「アワビは巻き貝です」

アワビについて、岡山大学農学部の福田宏准教授(軟体動物学)に話を聞きました。

ーーアワビには顔があるのですね。

アワビは巻き貝です。巻き貝には基本的に「顔」があります。専門的には「頭部」と言いますが、「眼(め)」もあって「口」もあるので顔のようなものです。

ちなみに、視力もあります。アワビは巻き貝の中でも原始的なグループなので、眼の発達は進んでいませんが、明暗しか分からないわけではなく、だいたいのものはぼやっと形を認識できるくらい見えています。

ーー口も触角もありますね。

アワビは海藻を食べます。口でものをかじり、そしゃく程度はしますが、味は口の中では感知していないと思います。

ツイートの写真にある中央の黒ずんでいるところを開き、歯を出しながら海藻をかじってちぎって、のみ込んでいきます。

触角の機能は巻き貝によって全く違います。水流を感知したり、前方に障害物がないか触れて確かめたり様々ですが、アワビの場合はどこまでの機能として使っているか、厳密には明らかになっていません。
アワビの「顔」。眼も口もあります
アワビの「顔」。眼も口もあります 出典: 森久拓也 @眼遊
(眼、口の注は編集部でしています)
(眼、口の注は編集部でしています) 出典: 森久拓也 @眼遊
ーー恥ずかしながら、私もアワビが巻き貝と知りませんでした。

今回SNSの反響を聞いて驚いたのは、アワビと二枚貝の区別がついていない方が多いということです。

実は、アワビはカタツムリやアメフラシと同じ仲間、軟体動物門腹足綱(ふくそくこう)といいます。カタツムリも巻き貝というと驚かれますが、巻き貝以外の何物でもありません。

二枚貝は、アサリやシジミ、カキなどです。「頭」に相当するところはありません。

見慣れたアサリなどの二枚貝には顔らしきものを見たことがないので、アワビもそうなのだと捉えているのではないかと思いますね。

ーーどういうときに頭を見られるのでしょうか?

実はアワビは相当活発なので、とれたてで活きがよければ見えるはずです。置くと頭の方向にはっていくわけですから、ここが頭なんだなとすぐにわかると思います。

食べるときは死んでいたり、冷凍だったりするので、みなさん活きのいいアワビを見る機会がないのかもしれません。

日本で食用とされるアワビのうち、最も大型で代表的なものは、クロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビの3種。クロアワビが一番ポピュラーです。

ーーそういえばアワビの生態についても考えたことがありませんでした。

アワビは昼間は岩の隙間に潜んでいて、夜になると海藻を食べに出てきます。

貝は基本的には長生きで、アワビは数十年生きると言われています。じっとしていて消耗が少なく、あまり動かない生き物は長生きするんです。

人目に触れずに生き続けると、30cmを超えるくらい大きくなるという話もあります。

みなさん貝を食材としてしか見ていませんが、この機会にぜひ、アワビは生き物なんだという目で見てみてください。

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