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#5 選挙 若者の疑問
国会質問で議員「元気ですか?」のおかしさ 内閣とは…中学生の疑問
時々、妙に総理大臣を持ち上げた質問をしている議員もいますが…
参院選が6月22日に公示されました。選挙について、若者たちから疑問を募ると、選挙の基本をおさらいしたいというものから、「言われてみると、確かにわからない」といった疑問が集まりました。「内閣と国会の違いは?」。林尚行政治部長に聞きました。
ニュースをみていると、いまの内閣のトップ・内閣総理大臣である岸田文雄さんが国会に来て、国会議員の質問に答えているシーンがすごく多いので、内閣と国会がどういう関係性なのかというのを疑問に思われるのかもしれません。
これは議院内閣制というものを考えるといいと思います。
日本の政治のリーダーは首相ですよね。正式名称は内閣総理大臣です。
内閣総理大臣の選び方は、まず私たちが国会議員を選んで、その国会議員が私たちに代わって内閣総理大臣を選ぶという仕組みです。
国会から選ばれた内閣総理大臣は、その後、閣僚(大臣)たちを選ぶ「組閣」をします。大臣は財務省や厚生労働省といった各省庁を監督するトップを務めるので、「内閣」は行政の推進母体みたいなものです。
まとめると、内閣総理大臣は国会から選ばれ、その内閣総理大臣は、閣僚(大臣)を選んで「内閣」を作ることができるということです。
じゃあなぜ、国会中継を見ていると分かるように、岸田さんたちが国会に現れるているのかというと、自分たちを選んだ国民の代表である国会に、自分たちのやっている施策について説明しに来ないといけないからなんです。
国会には、国政調査権という権利があります。国がどんな政(まつりごと)をしているかということを調査する権利です。
だから、国政を預かっている内閣総理大臣をはじめとした大臣たちは、国会議員に呼ばれたら国会に行き、政の説明をしないといけません。そして、その説明が妥当かどうかが問われないといけないという仕組みになっています。
国会が大臣を呼んで、「君たち、何をどうしようとしているんだ」と聞いているのが、みなさんがニュースでみる国会での質疑の様子です。総理大臣や閣僚(大臣)が、「それは答えられません」とか「検討します」とか言っていますよね。
議員は「代議士」ともいいます。私たちに代わって、行政の推進母体である内閣に質問しているのが国会議員です。つまり、国会議員の質問はそのまま、国民の質問だということだと思います。
時々、妙に総理大臣を持ち上げた質問をしている議員もいますが、これって本来はおかしいですよね。国会議員が向くべき方向は国民であって、国民が感じている疑問をちゃんと吸い上げて、それを閣僚たちにぶつけるのが仕事なので。「元気ですか?」とか、必要以上に「ありがとうございます」とかやっているのは、困るなと思っています。
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