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#2 選挙 若者の疑問
「議員にはお金や名誉目当ての人もいる?」中学生の疑問に政治記者は
国会議員だから「先生」って呼ぶというのはちょっと変。
参院選が6月22日に公示されます。選挙について、若者たちから疑問を募ると、選挙の基本をおさらいしたいというものから、「言われてみると、確かにわからない」といった疑問が集まりました。「参院議員になりたい理由は?」。朝日新聞の林尚行政治部長に聞きました。
じっくりと腰を落ち着けて、ライフワークを実現したい人は参院議員になってほしいなと思います。
ただ、参院議員は国会議員で、日本に248人しかいません。
国会議員が「先生」と呼ばれてしまうことが示すように、「偉い存在」と受け取る人もいるかもしれませんね。そのことから、中には名誉を欲しがって議員になる人がいるというのも事実です。
ちなみに朝日新聞の記者は、国会議員のことを「議員」、「代議士」、あるいは肩書で呼ぶのが取材の基本です。
自分にとっての師匠だというのなら「先生」と呼んでもいいですけど、国会議員だから「先生」って呼ぶというのはちょっと変ですよね。
もう一つ、理由があります。それは「衆院議員になれないから参院議員になりたい」というものです。ちょっと消極的ですよね。
特に自民党は、衆院の中でも多数を占める党。なかなか新たな人が立候補するチャンスがありません。後援会がなく、親が議員だったという「世襲」でもないとなると、まず参院にポストがあいたとき、そこから国会議員になる人がいないとはいえません。
また、参院議員になるデメリットとまで言えるかはわかりませんが、衆院との一番の違いは「事実上、総理大臣になれない」ということです。
参院は解散がありません。一方、総理大臣になると、衆院を解散する権限を持ちます。
もし参院議員の総理大臣がいても、衆院を解散してはいけないと決まっているわけではありません。でも、自分の首をかける立場にない人が総理大臣になって、衆院を解散しちゃっていいの?ということになります。
衆院と参院は尊重し合う関係なので、「自分はクビにならないのに、逆の院を解散する総理大臣でいいんですか?」という議論はずっとあります。
だから、参院から総理大臣は出さないという暗黙の了解がある状況です。
実際、「鞍替え」というかたちで、最近参院から衆院に移った人がいます。自民党の林芳正さんです。
林さんは、元々は参院議員が長かったんです。でも、彼は自民党のエースとも言われてきました。総理大臣としての呼び声も高く、参院議員のときに、総裁選にも出ました。ただ、そのとき彼は「自分の限界を感じた」とも言っています。
その林さんは、「総理大臣を目指したい」「そのためにはこのまま参院にいてはいけない」と、2021年の衆院選で衆院に鞍替えしました。そんなケースもあります。
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