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連載

#14 #ふしぎなたてもの

巨大な渦を巻く螺旋階段「吸い込まれそう」 降りた先には〝魚の道〟

30mの螺旋階段を降りて地上を仰ぐ。この先に“魚の道”があるというが……。
30mの螺旋階段を降りて地上を仰ぐ。この先に“魚の道”があるというが……。 出典: 朝日新聞社
東京都奥多摩町にある、高低差30mの巨大な螺旋階段。一部の愛好家に知られ、​​その迫力ゆえに人気です。ユニークなのは、この階段を降りた先にあるのが、日本最大級とされる“魚の道”だということ。一体どういうことなのか、奥多摩町を取材しました。(withnews編集部・朽木誠一郎)
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西多摩エリアの自然を守る仕組み

その螺旋階段は、豊かな自然が人々から愛される、東京都の西多摩エリアにあります。設置されているのは、西多摩郡奥多摩町にある白丸調整池ダム。

電気事業も営む東京都交通局によれば、このダムは多摩川の水をせき止めて、下流の多摩川第三発電所に発電用の水を送るために造られました。また、このダムによってせき止められたのが白丸調整池です。​​
白丸調整池ダムと白丸調整池。
白丸調整池ダムと白丸調整池。 出典: 朝日新聞社
白丸調整池ダムと多摩川。
白丸調整池ダムと多摩川。 出典: 朝日新聞社
螺旋階段について、奥多摩町の担当者を取材しました。この階段は、白丸調整池の高さから、ダム下流の川の高さまで降りるためのもので、高低差は約30mあります。
螺旋階段の入口。
螺旋階段の入口。 出典: 朝日新聞社
30mの螺旋階段。
30mの螺旋階段。 出典: 朝日新聞社
そして、これを降りた先にあるのが、ダム建設によって阻まれた魚たちの遡上を可能にするための“魚道”と呼ばれる仕組み。白丸調整池ダムにあるのものは、白丸魚道と呼ばれており、2002年4月に東京都建設局の西多摩建設事務所により建設されました。

ダム下流の川から調整池まで、ヤマメやウグイ、イワナなどの魚の遡上を可能にするもので、高さは当然、階段とほぼ同じです。高低差27m・全長約330mという規模の魚道は、日本最大級ということでした。

階段式魚道や潜行式魚道​​といった無骨なコンクリート製の水路により、西多摩エリアの自然を守る仕組みを、自分の目で確かめることができます。
多摩川とつながる魚道。
多摩川とつながる魚道。 出典: 朝日新聞社
魚はここを遡上していく。
魚はここを遡上していく。 出典: 朝日新聞社
担当者によれば、螺旋階段自体を目当てに来る人も多いということでした。その魅力を「非日常的な空間で、実際に訪れた人にわかる独特の迫力があり、吸い込まれそうな感覚です」と表現します。

土日を中心に、無料で見学を受け付けており、5月や7、8月は開放日(見学可能な日)も増えます。奥多摩町公式サイトの「魚道開放日のお知らせ」というページにスケジュールが公開されており、事前の確認が必要です。

ダムや魚道、周辺の自然も含めて、この階段も観光の目玉の一つとなっており、「立ち寄った際はぜひ奥多摩町の魅力を楽しんでください」とのことでした。
周辺の様子。よく見ると白丸調整池ダムの姿が覗く。
周辺の様子。よく見ると白丸調整池ダムの姿が覗く。 出典: 朝日新聞社

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何の気なしに通り過ぎてしまう風景の中にある #ふしぎなたてもの 。フカボリしてみると、そこには好奇心をくすぐる由縁が隠れていることも。よく見ると「これなんだ?」と感じる建物たちを紹介します。

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