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「なぜそんな頭に」アルパカ、毛刈り後に衝撃 新潟の「毛刈り師」
こだわったのは「もふもふフワフワ感」
夏に向けて毛を刈った「アルパカ」の姿が、ツイッター上で話題になっています。「なんでそこを残した?」「重心が崩れないの……?」と、数々の疑問も上がった毛刈り後の姿。実は新潟県の”毛刈り師”がこだわって刈ったスタイルだと言います。飼育員らに理由を聞きました。
画像には、横たわりながら、頭を支えられ、気持ちよさそうに毛を刈られる1頭のアルパカ。
しかし頭以外の毛は見事に刈られ、一瞬、本当に「アルパカ」なのか目を疑ってしまう姿です。
「驚きを奪いたくないので」と配慮された投稿ですが、「十分驚きました!」「身ぐるみはがされている!」と反響が寄せられました。
なぜこんな姿に……。
アルパカ6頭の毛刈りを行いました。
— 市川市動植物園(公式) (@ichikawa_zoo) June 13, 2022
見に来てくれた人の驚きを奪いたくないので、今日は毛刈りの様子を1枚だけ。
注:この子はマシュではありません。#市川市動植物園#アルパカ pic.twitter.com/LacLUUMB4B
湧き上がる疑問を、飼育員の橘亜希さんに聞きました。
まず気になるのは、「なぜ頭だけ残すの?」という点。
橘さんによると、アルパカは暑さに弱い動物で、毛が伸びた状態だと熱中症になってしまうそうです。
そのため、本格的に暑くなる前の5~6月に毛刈りをしているそうですが、「体自体の毛を刈ることができれば問題ないので、頭や足の毛は、個体らしさやかわいさを出すために残しています」とのこと。
なんと、オシャレだったんですね。
頭だけもっさりしている姿には「重心が崩れませんか?」と心配する声も上がりましたが、「アルパカの毛はすごく重いものではないので、大丈夫です」と橘さん。
ちなみに今回は、1頭で1キロ超の毛を刈ったとのこと。集めた毛は障がい者支援施設に依頼して、グッズを作って販売したり、園内の看板に利用したりしているそうです。
毛刈り後の、心もとない姿に「梅雨寒ですが、風邪をひかないか心配です」との声もありましたが、橘さんによると、アルパカの生息地である南米のアンデス山脈は、朝はマイナス20度まで冷え込む高地。「梅雨ぐらいの寒さでは体調は崩さないと思います」
毛刈りには、爪切りや歯のチェックなどを含めて、20~40分ほどかかるそうです。アルパカに負担をかけないように、いかにスムーズに行えるかが肝になります。
「市川市動植物園では、『山古志アルパカ牧場』(新潟県)の方に来て頂いて、手早く素敵にカットして頂いてます」と橘さん。
「毛刈りの極意」を知るという山古志アルパカ牧場にも話を聞きました。対応してくれたのは代表の青木勝さんです。
「うちの飼育員2人が要請を受けて、この時期は県内外にアルパカの毛刈りの手伝いに行きます。今日は那須に行っています」
「山古志アルパカ牧場」がある新潟県長岡市山古志の集落は、2004年の中越地震で大きな被害を受けました。
「地域が元気になる役に立てば」と、震災後にアメリカのコロラド州からアルパカを贈られたことがきっかけで、アルパカ牧場ができたそうです。
「最初は不慣れ」だったという飼育員。でもアメリカに渡って学んだり、長年習熟したりして、毛刈りの腕は県内外の施設から信頼を集めるまでになりました。
毛刈りで気を遣っているのが、「アルパカの『もふもふフワフワ』感を残すこと」。
毛を刈り過ぎると「アルパカに見えない」と、お客さんががっかりしてしまうかもしれません。それぞれのアルパカが特長的なヘアスタイルをすることで、個体を判別するのにも役に立つそうです。
毛刈りをするときは、それぞれのアルパカの体つき、毛の状態を見極めて、そのアルパカに似合ったヘアスタイルにします。モフモフ感を残すのは、主に頭や、手足、しっぽなど。
夏前に刈られた毛も、寒くなってくるとまた全身生えそろうそうです。
「毛刈り後もかわいいですが、アルパカが一番モフモフな状態は春です。最大限のモフモフふわふわを楽しみたい人は、春先を狙ってください」と青木さん。
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