連載
#12 #ふしぎなたてもの
「絶妙に異界感」「現実味が狂う」ドラマで話題、実在の〝3本の塔〟

戦時中の旧海軍の無線関連施設
ロケ地として選ばれたのは、長崎県佐世保市。そして“3本の塔”とは、太平洋戦争で真珠湾攻撃を命じる「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」の暗号電文を中継したとされる、同市の「旧佐世保無線電信所」(針尾送信所)です。長崎県観光振興課と長崎県観光連盟に話を聞きました。
鉄筋コンクリート製の3本の無線塔は、正三角形を描いて並び、1本の高さは136m。当時、主流だった長波を遠くに飛ばすには、高さが必要だったためです。

千葉県や台湾にあった旧海軍の無線関連施設は戦後、壊されています。今では唯一、残った無線塔ということでした。
戦後も海上保安庁や海上自衛隊が使用し、1997年まで現役でした。解体が検討されたこともありましたが、地元で“歴史の証人”として保存を求める運動が広がり、撤回された経緯があります。2013年には国の重要文化財に指定されました。
同連盟の担当者は「ドラマをきっかけにSNSで大きな反響を頂いています」とし、「すでにご存知の方には懐かしい風景、目新しい方には驚きとともに、長崎の魅力が多くの人に伝わったのでは」と話しました。
【連載】#ふしぎなたてもの
何の気なしに通り過ぎてしまう風景の中にある #ふしぎなたてもの 。フカボリしてみると、そこには好奇心をくすぐる由縁が隠れていることも。よく見ると「これなんだ?」と感じる建物たちを紹介します。