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地元

アメリカと中国の関係、どっちが重要?復帰50年、沖縄の人たちの本音

アジアとの架け橋「果たせる」半数

あでやかな衣装をまとった琉球国王と王妃役の「出御」イベントが行われた首里城祭=2020年10月31日、那覇市、吉本美奈子撮影
あでやかな衣装をまとった琉球国王と王妃役の「出御」イベントが行われた首里城祭=2020年10月31日、那覇市、吉本美奈子撮影 出典: 朝日新聞

目次

沖縄はかつて琉球王国の時代、海洋交易国家として栄えました。日本列島から台湾、そしてフィリピンなど東南アジアをつなぐ「弧」の一角を占めるとともに、東シナ海をはさんで中国に相対する立地を存分に生かしたのです。5月で日本復帰50年になるのにあわせ、沖縄の人たちに朝日新聞などが実施した郵送世論調査では、逆にその地理的特徴に翻弄される姿が浮かびました。大陸からの風圧を、ひしひしと感じているようです。(朝日新聞記者・磯田和昭)

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観光頼み、根強く

沖縄の立地を最大限に生かそうという意気込みは、15世紀につくられ、首里城正殿にかかっていたと伝わる「万国津梁の鐘」の銘文にもありました。「津梁」とは、渡し場、架け橋といった意味です。近年、沖縄で知事たちが県の役割として「アジアと日本の架け橋」になることに再三ふれてきたのも、そうした歴史をふまえてのことです。

そこで、沖縄タイムス、琉球朝日放送と合同で3~4月に実施した県民世論調査では、これからの沖縄が「アジアと日本の架け橋になる」という役割を、今以上に果たせると思うかどうか聞いてみました。結果は「果たせる」50%、「そうは思わない」42%と、ほぼ真っ二つに割れました。男性では回答が拮抗しているのに対し、女性では「果たせる」と期待を寄せる方が多くなっています。

沖縄がアジア、とりわけ中国に期待しているのは観光客の来訪です。この点、コロナ禍で大きな打撃を受けたのですが、調査では観光業の今後について聞いてみました。
観光業への依存度が高いと指摘したうえで、「県経済に占める観光業の割合」をどうするのがよいか質問すると、「いまぐらいでよい」が58%と多い結果でした。「増やすのがよい」が22%、「減らすのがよい」は17%でした。観光業依存からの脱却が必ずしも支持されているわけではないようです。

 

日中で一番問題は「領土」

中国については、「日本にとって一番大きな問題」を5つの選択肢から1つだけ選んでもらいました。「領土をめぐる問題」が31%で最も多く、沖縄県の尖閣諸島周辺などで続く中国の海洋進出が意識されているようです。

「軍事力の増強」も27%と、領土問題に迫る多さでした。次いで「強大な経済力」18%、「歴史認識の問題」12%、「情報技術の利用」7%と続きました。男女でやや違いがあり、男性では「軍事力の増強」を選んだ人が34%で一番多いのに対して、女性では「領土をめぐる問題」が30%で目立っています。

日米関係と日中関係では、日本にとって、どちらが「より重要か」聞くと、日米関係は77%、日中関係が7%と大差がつきました。

 

台湾有事に巻き込まれ「大いに不安」44%

台湾をめぐる米国と中国の武力衝突(台湾有事)が起きて、沖縄が巻き込まれる不安をどの程度感じるか聞いてみました。沖縄県民を対象にした調査で、初めて聞く質問です。その結果、「大いに感じる」44%、「ある程度感じる」41%と、不安感がきわめて強いことがはっきりしました。

調査期間は、2月下旬に始まったロシアによるウクライナ侵攻と折しも重なりました。ロシアがウクライナの首都キーウ(キエフ)周辺から後退するなど苦戦していることもあって、安全保障の専門家の中には、「中国も簡単には台湾侵攻を進められないと学んでいるのではないか」といった見方もあります。

しかし、凄惨な被害を日々目にしてもなお国際社会がロシアに決定打を打てないでいる中、沖縄の人たちが不安を感じるのは当然でしょう。

沖縄の米軍基地が「日本の安全保障」にとって、どの程度必要だと思うかたずねると、「大いに」20%、「ある程度」49%を合わせて69%が「必要だ」と答えました。調査手法が異なるため単純に比べることはできませんが、2015、19年調査(いずれも電話)で同じように聞いた際には、ともに「必要」が53%でした。

台湾有事に巻き込まれるのが「大いに不安」という人で見ると、米軍基地が日本の安全保障にとって「大いに必要」が25%と、全体で見た場合よりやや多くなっています。沖縄をめぐる安全保障環境が昨今厳しくなっていることが、米軍基地への見方にも影響している可能性がうかがえます。

また沖縄を含む南西諸島で、自衛隊が防衛力強化を進める「南西シフト」についても、その評価を聞いてみました。「よいことだ」という答えが57%と半数を超え、「よくないことだ」は26%でした。

これとは別に、今後の沖縄の自衛隊をどうするのがよいか選択肢から選んでもらうと、「現状でいく」が50%で最も多くなりました。「強化する」が33%で、「縮小する」「撤去する」はそれぞれ11%、2%と少ない結果です。

沖縄では、かつて自衛隊配備に強い抵抗感がありました。太平洋戦争末期の沖縄戦で、旧日本軍に見捨てられたといった思いも関係していたといいます。復帰前年の1971年の世論調査(面接)では配備そのものの賛否を聞き、「反対」が56%で、「賛成」(22%)の倍以上の多さでした。それからすると、半世紀あまりがたつなか、自衛隊への見方が大きく変わったようです。

 

復帰式典のあった5月15日、玉城デニー知事は、この先10年間を見通した沖縄振興計画を岸田文雄首相に渡しました。その中で「アジアの結節点として発展しうる独自の可能性と潜在力」をうたっています。それが実際に発揮できるか。ひとえに「四海、波静か」であるかどうかに、かかっています。 

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