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連載

#69 夜廻り猫

「強いから長生きすんじゃない」祖母の言葉がお守り マンガ夜廻り猫

学校を休みがちだった女性が、新年度に思い出すのは……
学校を休みがちだった女性が、新年度に思い出すのは……

目次

「新年度が、ちょっと大変でね……」。さまざまな変化が起きる春。そんな時に女性が思い出すのは、祖母が話してくれた「ある言葉」です。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、ツイッターで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、祖母との思い出を支えにする女性のエピソードです。

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疲れる春、思い出すのは祖母の言葉

きょうも夜の街を夜周り中の、猫の遠藤平蔵。心の涙の匂いに気づきます。

「もしそこなおまいさん、泣いておるな? 心で」。そう話しかけると、女性は「新年度がちょっと大変でね…」と答えながら、子どもの頃の思い出を語り始めました。

小さな頃から学校を休みがちだったという女性。家にいづらくて、近所の祖母のところによく通っていたといいます。

山歩きについていくと、「これはうまい」「こっちは毒」「ケガして血が出たらこの木の皮を巻く」……。

何でも知っている祖母。「強いねぇ 私は弱くてダメなんだ」と伝えると、祖母がこう言ったのです。

「強いから長生きするんじゃない 長生きしたから強くなんだ」

祖母の言葉を励みにしてほほ笑む女性に、思わず遠藤も笑い返すのでした。

ついつい心配モードになる4月

作者の深谷かほるさんは、子どもの頃に幼稚園になじめなかったそうです。「数カ月もの間、毎朝、幼稚園の玄関で泣いて嫌がって、とうとう行かないことになりました」と振り返ります。

登園しない生活に戻り、心からほっとしたという深谷さん。しかし大人たちがそんな自分への対応に困っていることは伝わってきたといいます。

日々、心の中で「次のスタートからは、なじもう、なじまなければ……」と言い聞かせながら、1人で葉っぱや砂で遊んでいたそうです。

「新しい環境になかなか適応できない子ども時代を送ったせいか、今も4月というのはついつい皆さんへの心配モードになってしまいます」と話す深谷さん。

「特効薬はありませんが、どうかみんなが焦らずに動けますように」

【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞、単行本8巻(講談社)を2021年11月22日に発売。講談社「モアイ」で月・金曜夜に「夜廻り猫」を、講談社「コクリコ」で木曜に夜廻り猫スピンオフ「居酒屋ワカル」を連載中。

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