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お金と仕事

労組って嫌われてませんか? トップの胸中「いいことやっても…」

聞きづらい質問をしてみました

聞きづらい質問にも答えてくれた「ものづくり産業労働組合JAM」会長の安河内賢弘さん
聞きづらい質問にも答えてくれた「ものづくり産業労働組合JAM」会長の安河内賢弘さん

目次

この時期、よく耳にするのが「春闘」「賃上げ」などといった言葉です。これらのある意味、主役が労働組合、いわゆる労組ですが、いまいち、その正体が何なのかわからない人もいるかと思います。労組って何のためにあるの? 労組がない職場はどうすれば? そして、今、労組は世の中の逆風にさらされている現実も……。この際、そもそもの疑問を「中の人」にぶつけてみました。

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労組ってなんですか?

話を聞いたのは「ものづくり産業労働組合JAM」会長の安河内賢弘さん(50)です。安河内さんは農機を設計する会社員から、労働組合で長く働くようになったという経歴の持ち主です。

――労組ってなんですか?

「……難しい質問ですね。働いている仲間がお金を出し合って、自分たちで労働条件の向上のために動く組織。学校のボランティア活動みたいなイメージと思ってもらってもいいかもしれません」


――労組が取り組む労働条件の向上とは?

「賃金アップもそうですし、子育てや介護を両立しやすい環境作り。あらゆるハラスメントをなくしていく対策も重要な課題です」


――それは労組がないと難しいものですか?

「上司と直接話しても、『それぐらい当たり前』『おまえが悪い』と言われてしまうかもしれない。労組であれば会社と対等な立場で話して改善していきやすくなります」


――労組がない職場はどうすれば?

「僕たちの労組でも個人で加盟できるJAMゼネラルユニオンがありますが、あちこちに個人加盟できるユニオンがあります。ただ、自分たちの職場は自分たちで良くするのが基本で、職場のメンバーで労組をつくって会社と協議していくことが重要だと思っています」

年末年始の「年越し支援・コロナ被害相談村」も、労働組合と弁護士らが実行委員会をつくって相談体制をつくった
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労組どうやったら作れる?

――今の時代、そもそも、職場があわなかったら労組に頼らず転職すればいい、と考える人も多いかも……。

「みんなが転職でステップアップできるわけではありません。転職が多いとされる外資系の大手企業の社員でも労組を作っているケースもあります。現実的に、今いる職場を良くしていこうとするのが労組です」


――どうやったら作れるのですか?

「労働組合は2人いれば作れます。2人だけでも大会をやって、議事録があれば法的に認められます。事前に会社に言う必要はありません」

――そんなに簡単なんですね。

「実は日本の法律は他の国に比べても労働組合が作りやすいのです。僕たちのところにも『職場に作りたい』と相談が寄せられ、お手伝いしています。最近では年間で最大22の組合づくりのお手伝いをしました。その後、組合同士で連携していれば、どんなことが課題になっているか、どう要求していけばいいのか、お互いに情報を共有しながら、相談にものっていけます」


――労組に関わると会社に目をつけられると不安になる人もいます。

「労組に入ると不利益を被るのではと心配する方もいらっしゃりますが、法律に守られています。1年たつと会社も『あって良かった』と思ってくれることがほとんどです」

「労働組合は2人いれば作れます」
「労働組合は2人いれば作れます」

なんで嫌われている?

――社会として労働組合的な機能が必要なのはわかりました。でも、労組全体の推定組織率は16.9%で、働く人の8割以上が労組に入っていません。なぜ広がらないのでしょう。

「……僕たちが嫌われちゃっている面があるのかもしれません」


――聞きづらいのですが、なんで嫌われているんだと思いますか?

「いいことをやっていても、見えていない。イメージもあるのかもしれません」


――個人的にですが、労組の言葉にとっつきにくさを感じるときがあります。

「先輩たちからの言葉ですし、思いを込めているので、変わらないとは思います。ただ労組で大事にしているのは仲間作り。あと原点は共済に象徴されるように助け合いです」


――なにが課題だと思っていますか。

「いま最大の問題は非正規のみなさんに、運動を十分に広げられていないことです。日本最大の労働組合の中央組織でる連合の組合員700万人中130万人が非正規のみなさんです。非正規の人のなかから労組のリーダーが出てきて、連合の中で発言していくこと。そうした形にしていければと思っています」

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